中心静脈圧を推定するときは,患者さんの上半身を45°起こした半坐位で,胸骨角から外頸静脈の見える上端までの高さを測り(cm),それに5cm足した数値とする。この推定法をLewis法とよび、外頸静脈上端−胸骨角間垂直距離が3cm(推定圧は3+5=8cmH2O)以上あれば中心静脈圧上昇と判定する(陽性尤度比9.0)1).Lewis法では胸骨角から垂直距離5cm下方をゼロ点と定めているが、このゼロ点は実際の右房とは体位により差がでること9)や心不全患者では半坐位〜坐位で頸静脈上端が正常人より大きく下降するなどの理由で,仰臥位カテーテル法での中心静脈圧に比べ過小評価されやすい10).そのためLewis法では具体的な圧の値を知ろうとするよりも,頸静脈上端−胸骨角間垂直距離が3cm以上かどうか,つまり上昇しているかどうかだけに注目した方がよい. <文献> 1)Steven, R. McGee:Evidence-Based Physical Diagnosis, W. B. Saunders, philadelphia, 2001 9)Seth, R, et al.:How far is the sternal angle from the midright atrium? J. Gen. Intern . Med., 17:852, 2002 10)McGee, SR.:Physical examination of venous pressure:a critical review. Am. Heart. J., 136(1):10-18, 1998