病理学の「総論」に重点をおいた内容構成だから,はじめて読む教科書として最適!実際の症例も紹介し,病気の成り立ちの全体像がよくわかる.看護等医療系学生の授業用,医学生の自習用としてお勧め.オールカラー.
目次
総 論
1章 はじめに -病気,老化,死と病理学【田中伸哉】
1. 病気とは
2. 老化とは
- 生理的老化と病的老化/個体の老化に伴う形態的変化/細胞の分裂・再生能/細胞老化/早老症
3. 死と病理学
2章 細胞傷害・再生【豊國伸哉】
1. 適応と傷害
2. 変性と細胞死
- 変性と壊死/さまざまな変性像/さまざまな壊死/壊死とアポトーシスの違い/オートファジー
3. 酸化ストレス
4. 生体内色素
- 外因性生理的/外因性病的/内因性生理的/内因性病的
5. 鉄代謝と赤血球
6. 萎縮・肥大・化生
7. 細胞・組織の形成
- 細胞増殖と細胞周期/細胞と間質/成長因子とシグナル/創傷治癒・ケロイド/ES細胞・iPS細胞
8. 症例をとおして学ぶ
3章 炎症【伊藤彰彦】
1. 炎症という生体反応
- 炎症とは/炎症の原因/炎症はカスケード反応/炎症の名称
2. 炎症巣の構造
- 炎症巣の概要/炎症巣をつくる細胞/その他の構成員/炎症巣の基本構造/炎症に随伴する組織所見
3. 炎症を制御する液性因子
- 血漿由来の炎症メディエーター/細胞由来の炎症メディエーター
4. 急性炎症
- 急性炎症とは/血管系の変化/細胞の反応/急性炎症の転帰
5. 急性炎症の種々相
- 漿液性炎/線維素性炎/化膿性炎/出血性炎/壊死性炎と壊疽性炎
6. 慢性炎症
- 慢性炎症とは/慢性炎症の要因/単核球の相互作用/マクロファージの働き/肉芽組織の形成と慢性炎症の終息
7. 慢性炎症の形態像
8. 症例をとおして学ぶ
4章 免疫 -免疫系,アレルギー,移植【宮崎龍彦】
1. 免疫系の概要
- 炎症と免疫の関係/自然免疫とToll様受容体/マクロファージ・抗原提示細胞による免疫系の制御=免疫応答/免疫反応:液性免疫と細胞性免疫
2. 免疫とアレルギー
3. 自己免疫疾患
- 免疫応答異常による難治性炎症の誘導/代表的な自己免疫疾患
4. 移植免疫
- 同種移植拒絶反応/移植片対宿主病(GVHD)/免疫抑制剤による病変
5. 免疫不全
- 原発性免疫不全/二次性免疫不全/後天性免疫不全症候群(AIDS)/免疫不全による合併症(日和見感染と悪性腫瘍)
6. 症例をとおして学ぶ
5章 循環障害【宇於崎 宏】
1. 浮腫
2. 充血とうっ血
3. 出血
- 定義/大きさによる呼び方の違い/出血傾向をもたらす病態/例
4. 血栓・血栓症
- 定義/原因/血栓のでき方,溶かされ方/できやすい状態/例/特殊な血栓症-DIC
5. 塞栓と梗塞
- 塞栓の定義/さまざまな塞栓/梗塞の定義/諸臓器の梗塞
6. ショック
7. 症例をとおして学ぶ
6章 先天異常・遺伝性疾患【田中文彦】
1. メンデルの法則
2. 先天異常
- 遺伝子病/配偶子病(染色体異常)/ 胎芽病/胎児病
3. 症例をとおして学ぶ
7章 感染症【林 祥剛/大澤佳代】
1. 感染症とは
- 病原体/感染と感染症/感染経路/感染の成り立ち/宿主の感染防御機構
2. 病原体と主な感染症
- 病原細菌と細菌感染症(一般細菌)/真菌/ウイルス/寄生虫
3. 感染症の治療
- 抗細菌薬/抗真菌薬/抗原虫薬/抗ウイルス薬/薬剤耐性
4. 感染症の現状
- 食中毒/人獣(畜)共通感染症/性感染症/輸入感染症/菌交代症/日和見感染/院内感染/再興・新興感染症
5. 感染症予防と感染制御対策
6. 症例をとおして学ぶ
8章 環境因子・栄養【酒々井眞澄】
1. 環境因子
- 化学的因子による疾病/物理的因子による疾病/生物学的因子による疾病
2. 栄養
- 三大栄養素の燃焼/栄養過多が原因で起きる病気・病態/栄養欠乏が原因で起きる病気・病態
3. 症例をとおして学ぶ
9章 腫瘍【田中伸哉/小田義直】
1. 腫瘍とは
2. 腫瘍の名称
3. 腫瘍の形態的特徴
4. 腫瘍の分類
- 腫瘍の発生した臓器や部位による分類/腫瘍の悪性度による分類/腫瘍の広がりの程度による分類/腫瘍の分化傾向による分類/腫瘍の起源による分類
5. 腫瘍の種類
- 良性上皮性腫瘍/悪性上皮性腫瘍(癌腫)/非上皮性腫瘍/上皮性・非上皮性混合腫瘍/奇形腫
6. 腫瘍の増殖
7. 腫瘍により引き起こされる病態
8. 悪性度と病期など
9. 腫瘍の原因
10. 腫瘍発生メカニズム
11. 腫瘍と臨床病理学
12. 症例をとおして学ぶ
10章 生活習慣病【川村公一】
1. 生活習慣病の考え方
- はじめに/生活習慣病とは/生活習慣病はなぜ増えているのか/病気の原因/人の寿命/健康寿命/生活習慣病の後遺症
2. 生活習慣の改善
- よい生活習慣の形成/食習慣/運動不足/ストレス/喫煙/飲酒/生活習慣病と遺伝子
3. 生活習慣病の進み方
- 肥満からメタボリックシンドロームへ/脂質の吸収と体内での動き/肥満のはじまり/糖尿病/脂質異常症(高脂血症)/高血圧症/メタボリックシンドローム
4. 動脈硬化性病変
- 生活習慣病と動脈硬化/粥状動脈硬化症/細動脈硬化症/メンケベルグ型中膜硬化症/動脈瘤と動脈解離/閉塞性動脈硬化症/虚血性心疾患/脳卒中
5. 生活習慣病と癌
- 癌の自然史/癌の一次予防/遺伝する癌と遺伝しない癌
6. 症例をとおして学ぶ
11章 難病【宮崎龍彦】
1. 難治性炎症性疾患
- 全身性エリテマトーデス/関節リウマチ/全身性硬化症/皮膚筋炎・多発性筋炎/結節性多発動脈炎/リウマチ熱/シェーグレン症候群/肉芽腫形成性多発血管炎(ウェゲナー肉芽腫症)/顕微鏡的多発血管炎/高安病(大動脈炎症候群)/サルコイドーシス/ベーチェット病
2. 代謝性疾患
- 糖尿病(血管傷害としての見方)/痛風/アミロイドーシス/ゴーシェ病(先天性酵素欠損症として)
3. 症例をとおして学ぶ
各論への扉
12章 さまざまな臓器の疾患と病態【宇於崎 宏/後藤明輝】
1. 循環器の疾患
- 心臓の構造/心奇形/弁膜症/狭心症/心筋梗塞/心筋症/大動脈瘤/大動脈解離/静脈瘤/静脈血栓症
2. 造血器・リンパ節・脾臓の疾患
- 血球の種類/貧血/白血病/骨髄異形成症候群(MDS)/リンパ節炎/悪性リンパ腫/形質細胞腫/脾腫
3. 肺・胸膜・縦隔の疾患
- 肺・胸膜・縦隔の構造/慢性閉塞性肺疾患(COPD)/気管支喘息/感染性肺炎/肺結核/肺血栓塞栓症/肺癌/悪性胸膜中皮腫/縦隔腫瘍
4. 消化管の疾患
5. 肝臓・胆道・膵臓の疾患
- 肝臓・胆道・膵臓の構造/黄疸/肝うっ血/ウイルス性肝炎/脂肪肝/肝硬変/肝癌/急性膵炎/慢性膵炎/膵癌/胆石症,慢性胆嚢炎
6. 内分泌臓器・乳腺の疾患
- 内分泌臓器の種類/下垂体の病変/甲状腺の病変/副腎の病変/膵臓ランゲルハンス島腫瘍/乳腺の病変
7. 腎・泌尿器の疾患
- 腎臓・泌尿器の構造/腎臓障害時の症状/糸球体腎炎/間質性腎炎/急性尿細管壊死/水腎症/腎盂腎炎,膀胱炎/腎嚢胞/腎細胞癌/尿路癌:腎盂癌,尿管癌,膀胱癌
8. 女性生殖器の疾患
- 女性器の構造/外陰部と膣の病変/子宮の病変/卵管および卵巣の病変/胎盤の病変
9. 男性生殖器の疾患
- 男性器の構造/前立腺肥大/前立腺癌/男性不妊/精巣腫瘍/精巣上体炎
10. 中枢神経系の疾患
- 中枢神経系の構造と疾患の分類/中枢神経系の腫瘍/中枢神経系の血管障害/中枢神経系の感染症/中枢神経系の変性疾患/中枢神経系の外傷
11. 運動器の疾患
- 骨・関節の構造/骨粗鬆症/骨髄炎/骨肉腫/変形性関節症/関節リウマチ/椎間板ヘルニア/筋萎縮
12. 頭頸部・感覚器(耳・眼)の疾患
- 頭頸部・感覚器(耳・眼)の構造/唾液腺の疾患/鼻腔の疾患/咽頭・喉頭の疾患/耳の疾患/眼の疾患
13. 皮膚の疾患,軟部腫瘍
- 皮膚と軟部組織の構造/皮膚の炎症性病変/皮膚の腫瘍性病変/軟部腫瘍
14. 小児の疾患
- 小児の発達と疾患/小児の感染症/小児の腫瘍/小児の消化器,肝疾患/小児の心疾患/小児の内分泌,代謝疾患
Column
- 外因と内因の二重奏 ―C型肝炎ウイルスとインターフェロン療法
- 臨床に活かされる剖検 ―新型インフルエンザ感染症
- 病理学者は分類好き
- 鉄の不思議
- マクロファージの種々相
- 音楽と免疫機能
- 手の冷たい人は心が温かい?
- ミイラの親子鑑定
- 東洋溝
- 癌幹細胞
- 酒の強さは遺伝子で決まる
- リポタンパク質は運搬船
- 糖尿病の歴史
- 上手に死ねる社会
- 国の難病対策と患者会
- 看護師、理学療法士、作業療法士などのコ・メデイカルの教育における「病理学」はいわゆる病理学総論を対象にしていますが、これまでの教科書はそのほとんどが医学生を対象とした病理学を踏襲し、病理学総論と病理学各論を記述しており、教科書の半分のみを講義するということになりがちでした。(病理学各論の内容はいわゆる「疾病論」などで、臨床所見や診断・治療と併せて教育されることが多いようです。)このような観点から、本書は総論に重点をおいた構成をしているので、授業に用いやすいと思います。また、価格的にも標準的な教科書より数百円程度安価で、学生の負担も少ないように思われます。以上の理由から、本年度の教科書として採用いたしました。(前田邦彦[山形県立保健医療大学])
- 薬科大学の3年生の講義に用いています。イラストが豊富でカラーもきれいだったので採用いたしました。(私立大薬学部)
- 写真が多く、病理学を理解させやすい。(公立大リハビリテーション学部)
- 実写の図やコンパクトな説明があり、初学者向けにとてもいい本です。(医療系専門学校)
- 大変よくわかるイラストが豊富に用いられています。医療系病理学講義の教科書として、使いやすいと思います。(私大医療衛生学科)
- イラスト、写真が多いので分かりやすい。基礎的なものを確認する時によさそう。(医療系専門学校)
- カラー図も豊富で病理学の記載もまとまっている。(公立大看護学部)
- カラーイラストや写真が多く理解しやすい。概論には内容が最適で、比較的新しい知見もあり、研究志向の学生にはよい。(国立大学医学部教員)
- 読みやすい構成だと思います。「生活習慣病」の章は非常にユニークで内容が豊かだと感じました。(国立大学教授)
- 総論向けの教科書として有効と思う。カラー写真や図が多くわかりやすい。(医療系専門学校 教員)
- 大変良いです。総論を重視してあり、医療系の学生さんにはもう少し知って欲しいときに読んでもらえるし、医学生の通読にも適しています。総論を分からせるという意図は大いに賛成です。(大学病院 副部長)
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- 【本書名】はじめの一歩のイラスト病理学
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(2021年8月23日)
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