ICUから始める離床の基本〜あなたの施設でできる早期離床のヒケツ教えます!
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ICUから始める離床の基本

あなたの施設でできる早期離床のヒケツ教えます!

  • 劉 啓文,小倉崇以/著
  • 2019年07月05日発行
  • A5判
  • 224ページ
  • ISBN 978-4-7581-1853-8
  • 定価:3,850円(本体3,500円+税)
  • 在庫:あり
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ICUで離床を始めたい医師やメディカルスタッフ必携!患者の社会復帰をめざした早期離床プロトコールを大公開.離床を行うためのしくみ作りから実践的スキルまで,対話形式でやさしく楽しく学べます!

目次

はじめに【劉 啓文】

第1章 PICSと早期離床の基礎知識

1.PICS(Post Intensive Care Syndrome)

2.早期離床

第2章 早期離床の実践

1.エビデンスを実臨床の世界に 〜Quality Improvement キャンペーンのモデル

2.実践編①人を集めよう 〜対PICSの戦略会議

3.実践編②院内整備をしよう 〜施設のバリアをクリアした前橋早期離床プロトコールの作成

4.実践編③実際にやってみよう 〜そして成功症例は共有する

5.実践編④評価し,さらなる向上につなげる 〜常に流動性のあるフィードバックシステムを

第3章 病態ごとの離床のヒケツ

1.鎮痛・鎮静・せん妄・睡眠の整備 ~PADIS 2018

2.敗血症の離床 〜カテコラミンを恐れない

3.CRRT中の患者の離床 〜デバイスを恐れない,患者は動きたいと思っている

4.脳卒中の離床 〜離床のタイミングと脳循環の管理がポイント

5.静脈血栓症のある患者の離床 〜一体いつまで寝かせているんですか??

6.各離床レベルでの工夫・注意点 〜明日から使える離床のTips

7.ECMOの離床 〜高い安全性の維持がECMO離床のキモ

第4章 早期離床のこれから

1.多様化するバンドル!のるか?そるか? 〜ABCDE・FGHIバンドル

2.早期離床の可能性 〜患者をよくし,病院を変える

3.ICUで生活する

4.家族も支えを必要としている

5.日常生活をとり戻し,明日をきりひらく

おわりに【小倉崇以】

付録

索引

column

①用語の整理

②抑制帯は必要?不必要?

③早期離床の歴史その1 〜戦争と早期離床

④早期離床の歴史その2 〜20世紀と現代の早期離床:ICUの昔と今

⑤いろいろな離床器具

⑥リハ科が参戦!前橋ICLS(心肺蘇生コース)

⑦本音シリーズその1 〜医師,看護師,理学療法士の本音

⑧早期離床・リハビリテーション加算

⑨離床困難症例

⑩早期離床は有害!?

⑪本音シリーズその2 〜患者の本音

ICUから始める離床の基本 ICUから始める離床の基本 ICUから始める離床の基本 ICUから始める離床の基本 ICUから始める離床の基本 ICUから始める離床の基本
書評・感想
  • 今は昔,私が医師になりたての頃は,集中治療室(ICU)というと,患者さんはみなどっぷり鎮静されていて,多くはきっちり筋弛緩までかかっていて,身動きするものはなく,ただモニターの音だけが規則正しく聞こえるというような環境で,それが当たり前と思っていました.そのようななか,呼吸不全やショックからは回復したけど,意識や筋力が元に戻らず,気管切開になったり,自宅ではなく施設への退院になったりする患者さんが多くいらっしゃいました.
    そんな集中治療が当たり前のなか,私にとって転帰となる出会いがありました.研修で私が訪れた病院では,急性呼吸不全で人工呼吸器を装着していようと,ショックで昇圧薬を使用していようと,鎮静は使わずに積極的に離床していたのです.それまでに見たICUでは,原疾患がよくなっても,患者さんは長らく元の状態に戻れないことが多いのに,この病院ではICUから退室した患者さんの多くが,元気に自宅に帰って行かれました.もうかれこれ15年ほど前のことです.その後,紆余曲折を経て現在勤務しているのがそのときの病院です.そういうわけで,私はすっかり早期離床信者です.そういう人の書いた書評だというのを考慮して,ここからを読んでいただければと思います. 一口に離床すると言っても,そのやり方やどのタイミングでどの程度行うかは施設によって異なりますし,臨床試験でも大いに違いがあります.そのようななかで,「元気に家に帰ってもらうために離床したい!」と思っても,実際のところ,何から始めてよいのか,どこまでやってもいいのか,迷うのではないでしょうか.劉先生と小倉先生のこの本は,そのような悩める医療者にとって,「ここまでやっていいんだよ」と背中を押す貴重な本です.
    いざ,病院で離床を始めようとすると,「そんなことしてどんな意味があるの?」や「よいのはわかるけど,うちの病院は人手が足りなくて…」などの意見にぶち当たるかもしれません.というか,まあ,当たります.この本では,離床のやり方だけにとどまらず,なんと,離床を院内にとり入れるにあたって遭遇するであろう障壁の乗り越え方にも言及しています.こんなに先回りして丁寧に教えてくれる本はなかなかありません.正直,医師だけに読ませておくのはもったいないので,ぜひ医療に携わるどの職種の人にも読んでもらいたいです. 早期離床は,医師だけでも,看護師だけでも,理学療法士だけでも,作業療法士だけでも,言語聴覚士だけでも,臨床工学技士だけでも,薬剤師だけでも,栄養士だけでも,その他どんな職種の人であっても,単独でできるものではありません.患者さんの治療に携わるすべての業種が,自らの専門分野の知識と技術を駆使して,力を合わせてはじめて安全に遂行できるのです.チーム力を問われます.逆に言うと,どの職種の人も貢献できる貴重な機会でもあります.
    集中治療というのは,ICUから退室できればそれで「めでたしめでたし」ではありません.患者さんが無事に元の生活に戻れてはじめて完結します.そのためには,昇圧薬や人工呼吸器,腎代替療法などの急性期医療を行っている間からも,どうすれば患者さんにとって長期的に最善な結果になるかに思いを馳せながら医療を行う必要があります.早期離床というのは,そのための1つの手段で,職種にかかわらず医療者みんなで参加できる(しなければできない)ことです.
    この本を参考にやってみて,「ここまでやっても大丈夫だった」という感触が摑めれば,さらに上をめざし,最終的にはこの本に書いてあるよりも「もっと積極的に行うようになった」「もっと患者さんが元気になった」なんてことになれば,筆者の先生方の望まれるところではないでしょうか.急性期にかかわる医療者は,この本にあるような長期的視点をもって医療を行って,患者さんにとってさらによい医療を提供できるようになりたいですね.

    『レジデントノート2019年12月号』より転載

    田中竜馬(Pulmonary & Critical Care Medicine, LDS Hospital)

  • 劉先生と先輩である小倉先生の対話としてとてもわかりやすく、読みやすくまとめて頂いており、重症患者さんの離床について勉強しやすい内容と思います。章立ても4章として、基本事項、実践的な内容、疾患ごとの具体的な対応、そしてこれからの本内容の展望と、224頁の中に充分な内容となっており素晴らしいです。参考文献も適切と思います。そして、必要な評価スケールが、付録としてまとめられています。素晴らしい一冊として、看護師さん、医師等に紹介し、推薦させて頂きます。早期離床について224頁の完成本です。

    松田直之(名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野)

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