姿勢と動作の評価からつなげるストレッチングとエクササイズ〜動画と画像で学ぶ段階的な治療介入

姿勢と動作の評価からつなげるストレッチングとエクササイズ

動画と画像で学ぶ段階的な治療介入

  • 澤渡知宏,三木貴弘/編
  • 2022年07月07日発行
  • B5判
  • 284ページ
  • ISBN 978-4-7581-0259-9
  • 7,700(本体7,000円+税)
  • 在庫:あり
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第2章 頚椎・胸椎

2 ストレッチング・エクササイズ

戸塚賢司,澤渡知宏
(有栖川整形外科)

頚椎・胸椎の機能不全に対するエクササイズ

  • 頚部の機能障害における治療アプローチの目標は頭部-頚部-胸椎のアライメントを改善し,頚部の機能を獲得することである.一般的に徒手療法と運動療法を組み合わせた方法を支持するエビデンスがあり,徒手的な治療手技で痛みや症状を軽減・緩和し,運動療法によって機能障害を改善できることが報告されている1)
  • 頚椎に関連する治療アプローチは,徒手的アプローチや運動療法に加えて,不良姿勢から生じる問題に対する人間工学的アドバイス,疼痛のメカニズムに対処するための患者教育などがあげられる.
  • 治療とエクササイズプログラムの進行は,症状の改善,障害と機能の変化に基づいて行われるべきである.機能評価によって問題点を特定し,その問題に対応する治療手技やエクササイズを選択・処方した後に再評価を行い,選択・処方した治療介入がどのように改善したかどうかを効果判定する.
  • 症状が改善しない場合には,症状の根本的な原因をさらに特定するために関連部位(例えば頚椎・胸椎では肩関節など)へのアプローチを試みることが奨励される.
  • 本稿では,主に頚椎の機能不全によって引き起こされる症状に対して徒手的アプローチからストレッチ,安定化コントロールエクササイズをSTEP01〜STEP03に分けて段階的に紹介していく(図1).

STEP01:徒手的アプローチ

  • 徒手的アプローチは,重度の可動性に制限がある場合において適応となる.関節の制限に対して関節モビライゼーション,筋・筋膜の制限因子においては軟部組織リリースなどが一般的である.しかし,これらの徒手的アプローチは高度なテクニックが求められるため,本章では頚椎-肩甲帯に付着する筋への他動ストレッチや胸椎の徒手的な治療方法を紹介していく.

STEP02:セルフリリース/ストレッチング

  • ストレッチは徒手的アプローチによって可動域の制限因子を取り除けた場合や,軽度の可動域制限が認められた場合に適応となる.頚椎におけるセルフリリースやセルフストレッチは主に後頭下筋群や胸鎖乳突筋,肩甲挙筋などである.胸椎の可動域制限があれば,その領域も含めストレッチエクササイズを処方していく.

STEP03:安定化コントロールエクササイズ

  • 機能評価において可動性の問題が認められない場合や,徒手的アプローチやストレッチなどで獲得した可動域に対して,運動出力や神経筋コントロールの低下を伴う状態では,安定性と神経筋コントロールを改善するエクササイズ介入が有効である.最初は頚部深部の安定化を図るアプローチ行い,症状が軽減に伴い,頚椎の安定性と上肢の動きを分離させた統合的なアプローチに移行していく.
  • 症状が重い場合や運動に対する恐怖心が強い場合,初期のエクササイズでは,静的な位置で頚椎の神経筋制御を確立することに焦点を当てたエクササイズを行い,徐々に動的な運動へと進めていき,姿勢の教育や日常生活のタスクをとり入れたエクササイズに発展していく.

 STEP01:徒手的アプローチ

後頭下筋群のリリース
【補足】
  • この徒手的なアプローチで頚椎の可動性が向上し,症状が軽減した場合,または症状が安定している場合,屈曲方向の動きを高める手技や後頭下筋群に対するセルフリリースを提案し,セルフエクササイズにつなげていく.
胸鎖乳突筋の徒手的ストレッチング
斜角筋の徒手的ストレッチング
僧帽筋上部線維の徒手的ストレッチング
肩甲挙筋の他動ストレッチング
頚椎屈曲の可動性を高める手技
頚椎回旋の可動性を高める手技
胸椎の可動性を高める手技 ①
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姿勢と動作の評価からつなげるストレッチングとエクササイズ〜動画と画像で学ぶ段階的な治療介入

姿勢と動作の評価からつなげるストレッチングとエクササイズ

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