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書 評
濱岸 利夫
(中部学院大学看護リハビリテーション学部理学療法学科)
理学療法士・作業療法士をめざす学生のための新定番教科書、PT・OTビジュアルテキストシリーズに『小児理学療法学』が加わった。「イラスト・動画を活用」した、オールカラーの教科書である。
今回、編集をご担当された3人の先生方は、「小児理学療法」の研究・教育に情熱を傾けている。ほかの執筆された方々も養成校教員、大学病院や子ども病院(施設)だけに限らず、小児用補装具専門株式会社やリハビリ訪問看護ステーションなど各方面でご活躍されている。編集ご担当者が幅広く執筆を依頼された意図がわかる。
構成は、「子どもの定型発達過程と評価」に始まり、「小児理学療法概論」、「疾患・障害別各論」、「ライフプランを見越した理学療法」からなる。学生が苦手とする「子どもの発達」をカラーのイラストを使用することで、なじみやすいように工夫されている。そして、「疾患・障害別各論」では臨床における理学療法場面の写真と動画を多く取り入れてあり、臨場感が増している。「ライフプランを見越した理学療法」では、最新の「歩行支援型のロボット機器」も紹介してあり、使用・治療効果についても論文を引用し言及されている。また、環境調整のための車椅子や座位保持装置など、補装具については、これまでは業者からの「画像」提供が少なかったが、多く掲載されていることが嬉しい。
今後は版を重ねていくだろうが、小児理学療法の発展を追究し、学生がより親しみやすい内容になっていくことを楽しみにしている。