動画×書籍で学ぶ解剖学・生理学7日間で総復習できる本

動画×書籍で学ぶ解剖学・生理学7日間で総復習できる本

  • 町田志樹/著
  • 2023年04月10日発行
  • B5判
  • 278ページ
  • ISBN 978-4-7581-0267-4
  • 4,950(本体4,500円+税)
  • 在庫:あり
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5日目|4 胃

解 剖 学

胃の構造

消化管の最も膨らんだ部分で,食道と十二指腸の間にある.摂取せっしゅした食物を一時的に貯蔵し,少しずつ小腸に送り出す役割をもつ.胃には以下の部位がある.

噴門ふんもん:胃の入り口に相当する部位で,T11(もしくは左第7肋軟骨)の高さにある.

胃底いてい:胃の左上方に広がった領域で,横隔膜や肝臓,脾臓ひぞうと接している.

胃体いたい:胃の本体に相当する部位である.

幽門部ゆうもんぶ:胃の右下にある細くなった領域で,L1の高さにある.幽門部の手前は幽門洞ゆうもんどう(幽門前庭),奥の細くなった部分は幽門管ゆうもんかんとよばれる.また,幽門管の遠位端は幽門口ゆうもんこうとよばれ,輪筋層が発達して括約筋かつやくきんとなって胃の出口をせばめている(幽門括約筋ゆうもんかつやくきん).

大弯だいわん:胃の左側にある大きくカーブした部位で,大網だいもうが付着している.

小弯しょうわん:胃の右側にある小さくカーブした部位で,小網しょうもうが付着している.

角切痕かくせっこん:小弯の鋭く凹んだ部位で胃体と幽門部の境にあり,その遠位部には幽門洞(幽門前庭)が位置している.胃癌や胃潰瘍いかいようの好発部位である

胃壁の構造

表層から順に漿膜しょうまく腹膜),筋層粘膜の3層からなる.

①漿膜(腹膜):胃の表面を包む腹膜で,大弯では大網,小弯では小網に移行する.

②筋層:浅層から順に縦筋層輪筋層斜線維からなる.また,輪筋層は幽門で肥厚し,幽門括約筋を形成する.

③粘膜:縦に走行する胃粘膜ヒダが多数みられる.胃粘膜ヒダは胃壁の収縮時にはみられるが,食物をたくわえて拡張した際には消失する.

生 理 学

蠕動ぜんどう運動と消化

噴門から胃に入った食物は蠕動運動により,胃液と撹拌かくはん(混ぜ合わせること)されてかゆ状液となる.胃壁の運動は筋層の間にあるアウエルバッハ神経叢しんけいそうのニューロン,さらに迷走神経(Ⅹ)によって調整を受ける.消化において胃は以下の役割を担う.

①食物を一時的に収納して消化し,少量ずつ十二指腸へ送る.

②ガストリンにより,胃酸の分泌を促進する.

③胃酸による殺菌作用,酵素の活性化(ペプシノゲンなど),鉄のイオン化※1などを行う.

④ペプシンにより,タンパク質をポリペプチドに分解する.

⑤粘液により,胃壁を保護する.

⑥内因子により,ビタミンB12の吸収を促進する.

胃腺とその分泌物

胃の粘膜の表面は胃小窩いしょうかというくぼみが多数みられ,胃腺いせんの開口部となっている.胃腺には以下の腺細胞が存在している.

①副細胞:胃腺の開口部付近に多く,粘液を分泌する.胃の上皮細胞の表面を覆い,胃酸やペプシンによる障害を防ぐ.

②壁細胞:胃酸と内因子を分泌する.胃酸は塩酸ともよばれ,pHが約1前後の強酸性となっている.食物とともに胃に入った細菌を滅菌する働きをもつ.また,内因子はビタミンB12の吸収に関与している.

③主細胞:ペプシノゲン(塩酸によって分解され,ペプシンというタンパク質分解酵素になる)を分泌する.

また,幽門部には幽門腺があり,ガストリン(塩酸の分泌を刺激する)を分泌するG細胞が多数存在する.

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