2章 パラグラフライティングの基礎
2章では、いよいよパラグラフライティングの基礎を学びます。「パラグラフ」とは何か、そしてパラグラフの要素である「トピックセンテンス」、「サポート」などをここでしっかりと押さえておきましょう。
2-1パラグラフとは?
パラグラフライティングのパラグラフって何ですか?
パラグラフは、あるトピックに関する文のまとまりであり、英語で書かれるすべてのアカデミックライティングの最小単位です。ある文のまとまりがパラグラフと認識されるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
パラグラフライティングにおいては、英語で書かれるすべてのアカデミックライティングの最小単位がパラグラフであると考えられています。
パラグラフ(paragraph)という英語は、日本語で「段落」と訳されることがありますが、パラグラフライティングにおけるパラグラフは「段落」とは大きく異なる概念ですので混同しないよう注意しましょう。日本語の「段落」は単に、いくつかの文の集まりを指しますが、パラグラフライティングのパラグラフは詳細かつ厳格な条件を満たした、いくつかの文のかたまりを意味します(→p.31)。
パラグラフのレイアウト
パラグラフは、図1のように最初の部分を何文字分か(通常は半角スペース5文字分)を字下げして空白にします。この空白をインデントとよび、インデントがあると新しいパラグラフがはじまったことが一目でわかるようになっています。
または、図2のように直前のパラグラフとの間に1行、直後のパラグラフとの間に1行空けることによって、どこからどこまでが1つのパラグラフなのかを読み手にわからせることもあります。
1つのパラグラフの途中では、改行はしてはいけません。1つのパラグラフが終わったら改行し、次のパラグラフをはじめます。
このように、いくつかの文のかたまりがパラグラフであることは見た目からもすぐにわかるように書かなければいけませんが、見た目がこのようになっているからといって、パラグラフライティングのパラグラフであるとはいえません。パラグラフライティングのパラグラフにとって重要なのは、見た目よりも中身(構造と要素)なのです。
なお、パラグラフの長さについては特に決まりはありません。パラグラフライティングのパラグラフである限り、必ずトピックセンテンスとサポートという要素を含んでいなければなりませんが(→p.33)、文の数についての決まりはありません。あまり長いとパラグラフが読みにくくなるので、読みやすさを考えて5〜10文程度で書かれることが多いです。
One topic, one paragraphルール
パラグラフライティングのパラグラフは見た目だけではなく、中身についても細かい条件が定められていて、それらのすべての条件を満たしている必要があります。
例1は、「クワガタ」について書かれたパラグラフの例です。
クワガタのオスとメスは外見が異なる。まず、クワガタのオスは敵との戦いに使用する大きく発達した顎をもっている。これに対し、メスの顎は用途が異なるため、オスのようには発達しない。オスとメスでは体の大きさも異なる。オスは交尾の機会を得るために他のオスと競争する必要があり、メスよりも大きくなる。メスはオスよりも小さく、スリムな体型をしている。また、オスの触角は大きく派手で複雑な形状をしているが、メスの触角はオスよりも小さく単純な形状をしている。
パラグラフは、ある主題について書かれたいくつかの文のまとまりです。この主題をパラグラフライティングではトピック(topic)とよびます。
そして、1つのパラグラフは1つのトピックについてのみ説明し、かつそのトピックについて十分に説明しきらなければいけません。これをパラグラフライティングにおけるOne topic, one paragraphルールといいます。このルールはパラグラフライティングのもっとも基本的なルールです。
パラグラフのトピックはパラグラフのはじめに明示します。パラグラフの最初にトピックが書かれていることによって、読み手はパラグラフがそのトピックについてのみ書かれていること、パラグラフがそのトピックを十分に説明していることを確認することができます。
例1のパラグラフのトピックは、パラグラフの最初に書かれている「クワガタ」です。
パラグラフの要素
パラグラフライティングにおけるパラグラフは、①トピックセンテンス、②サポート、③コンクルーディングセンテンス、という3つの要素から成り立っています(図3)。2-2からそれぞれ詳しく見ていきましょう。