39尿・便が着⾊する薬⼀覧
尿が着色する主な薬一覧
便が着色する主な薬一覧
尿が着色する薬
薬の影響で尿が着色することがある.もし赤い尿が出たら,血尿じゃないか?腎臓の病気じゃないか?と不安になるだろう.激しい運動の後でも尿の色が赤っぽくなることはあるが,薬の影響で尿が赤くなることがある.薬の影響と知らなければ病気と勘違いする恐れもあるので必ず伝える.
しかし,薬の副作用や血尿などで赤っぽくなることもあるので注意を要する.血尿が出たときに止血薬のアドナ®が処方されることがあるが,アドナ®の副作用に「だいだい黄色がかった着色尿があらわれることがある.」と記載されており,着色尿の原因が血尿なのか副作用なのか判断が難しい.
また,コムタン®のように副作用に横紋筋融解症などがある薬だと,尿が赤っぽくなるという横紋筋融解症の兆候に気付きにくいこともある.
便が着色する薬
薬を飲んで便の色が変わることがある.しかし,通常,自分の便をまじまじと見ないので,便の色が多少違っても気づかない.ただ,おむつをつけている子供の場合,親は便の色を気にする.小児にセフゾン®細粒小児用や,フェロミア®顆粒が処方されていた場合は,あらかじめ説明しておかないと,おむつ交換の際に気にするだろう.
一方,病気で便の色が変わることもある.便の色が茶色になるのは,肝臓でつくられる胆汁色素のビリルビンが便に含まれているからである.胆汁は肝臓でつくられた後,胆のうに蓄えられ,十二指腸に流れていくが,この胆汁の通り道である胆管がつまったり,胆汁をつくる肝臓の働きが悪くなると白い便になる.胆道閉鎖症や肝臓がんなどで白い便になる.また,ロタウイルス感染症でも胆汁がうまく分泌されず,米のとぎ汁のような白色の下痢便が出る.
赤い便で,血の色が混じっているような場合は,下部消化管,肛門に近い部位での出血が考えられる.痔であることが多い.イチゴジャムに似た粘血便が出たときには腸重積の可能性がある.
黒い便が出るのは鉄剤を飲んで黒い便が出るのと同じで,血液中の鉄分が酸化されて黒くなったものである.上部消化管(食道,胃,十二指腸)からの出血であれば,時間が経過しており,赤色ではなく黒色になっている.
赤ちゃんの場合,緑色の便が出ることがある.乳児の便は,黄色の胆汁色素であるビリルビンにより黄色っぽいが,ビリルビンが腸内の空気に触れて酸化すると緑色のビリベルジンに変化し,便が緑色を呈するようになる.そのため,排便回数が少なかったり,授乳の際に多量の空気を飲み込んだりしていると,便が腸内で空気に触れやすくなり,酸化して緑色になることがある.また,抗菌薬を経口投与しているときには腸内細菌の分布が変化し,腸内にビリベルジンが増え,便が緑色に着色することがある.
このように,尿便の色調変化は,薬の影響のみならず,さまざまな要因が考えられる.
参考文献
- 各医薬品添付文書