脊椎保存療法のリハビリテーション〜豊富な画像とイラストで「何をすればいいのか?」がわかる!

脊椎保存療法のリハビリテーション

豊富な画像とイラストで「何をすればいいのか?」がわかる!

  • 河重俊一郎/編
  • 2024年06月27日発行
  • B5判
  • 357ページ
  • ISBN 978-4-7581-1004-4
  • 定価:6,160円(本体5,600円+税)
  • 在庫:あり
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書 評

松村将司
(杏林大学保健学部リハビリテーション学科理学療法学専攻)

本書が届いた際にまず感じたのは「分厚い」であった.なお,編集の河重先生を見た際に感じたのも「分厚い」(トレーニーへの私なりの最大限の誉め言葉)であった.「そうか,分厚い人が編集すると,本も分厚くなるのか」と妙に納得した… というのは冗談で,「脊椎の保存療法だけでこんな厚さになるだろうか?どれだけの内容が含まれているのだろう?」と思いページをめくりはじめた.

本書の構成は,第1章で脊椎リハビリテーション概論として,脊椎の解剖学・運動学,脊椎リハビリテーションに対する共通した考え方,レッドフラッグスの理解から始まる.ここで読者の基礎知識の底上げ,共通言語の獲得を促し,第2・3章へとつながっていく.

第2・3章では,代表的疾患,機能的症状・非特異的症状の解説が始まり,「必要な知識」,「評価・介入」,「症例」の順で構成されている.「必要な知識」は最低限の内容とし,詳細は他の書籍を参考に…というパターンが多いが本書は違う.かなりの情報がカバーされており,それぞれの疾患や症状をあらためて調べなくても大丈夫な内容となっている(もちろん詳細は自分で調べるべきであるが).続く「評価・介入」では各疾患や症状に対するものが豊富にまとめられている.豊富がゆえに「評価・介入」の羅列になってしまい,どのように臨床で活用すればいいのかわかりにくくなることが多いが,本書では次に続く「症例」で「評価・介入」をどのように活かせばいいかのイメージをつけることができるのが特徴である.そのため,本書は各疾患,症状について興味のある部分を,しっかりと最初から読んでいくことを強く推奨したい.なお,各所に図や写真が豊富に用いられているので,視覚的に理解しやすく,読むのが全く苦にならない工夫もされている.

ここまででかなりの情報量であることが伝わっていれば幸いであるが,まだ終わらない.本書では各所に「Pitfall」も記載されており,臨床で出会う注意すべきポイントもわかってしまう.また,「memo」には執筆者からのアドバイスやポイントが記載してある.思わず頷いてしまうような内容から,臨床に役立つ豆知識まで豊富に記載されている.加えて,非常に参考になると感じた部分として,各症例に記載された「患者への説明」がある.実際にセラピストが患者に説明しているような文言で書かれており,どのような説明・アドバイスをすればいいのかわかる点が素晴らしい.

各執筆者がそれぞれの分野の第一線で活躍されているのは間違いないが,編集の河重先生もまさに脊椎を専門とする病院の第一線で活躍されている.なにせ所属病院名が「あいちせぼね病院」である.多くの脊椎疾患の方を担当された経験を基につくられた本書は,脊椎疾患に対する基礎知識からマネジメントまでわかりやすくまとめられた代表的な1冊となることは間違いない.この書籍を手にとったセラピストの方々が,脊椎疾患で困っている方を救っている光景が目に浮かぶ.そんな期待をもたせてくれる至高の1冊である.

書籍概略はこちら
脊椎保存療法のリハビリテーション〜豊富な画像とイラストで「何をすればいいのか?」がわかる!

脊椎保存療法のリハビリテーション

豊富な画像とイラストで「何をすればいいのか?」がわかる!

  • 河重俊一郎/編
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