第1章 上部消化管
4 内視鏡のコントロール
- 3つの内視鏡の動きをマスターしましょう
- 「C字曲線」をしっかりと理解して内視鏡を効率よくコントロールしましょう
1内視鏡の動きの基本
内視鏡をしっかりとコントロールするには,内視鏡の「動きのメカニズム」を理解することからはじめましょう.内視鏡の動きは,「前後動作」,「回転動作」,「上下左右アングル動作」という3つの動きから成り立っています(図1).この3つの動きを確実かつ正確に組み合わせることで,内視鏡を精密にコントロールすることができます.このセクションが基礎技術のなかで最も大事です.しっかりと習得しましょう.
2前後動作
内視鏡の前後動作は口から約15〜20 cmの位置を軽く握り,内視鏡を押し引きすることで行います(図2).検査台を調整し右手と口を同じ高さにすると,前後動作が干渉されず,スムーズに内視鏡を動かすことができます.最初に学んだ「検査台の調整」(→第1章-2,p.22)がここでもつながってきます.
3回転動作
内視鏡の回転は「右手の捻り」,「左手首の屈曲・背屈」,「左前腕の屈曲・伸展」の動作で行います(図3).
上部消化管内視鏡検査・治療時は,主に「左前腕」と「左手首」の動きを用います.左手首による内視鏡の回転は,左前腕の回転に比べて小さいものとなるので,必要な回転の大きさに合わせて使い分けをしましょう.また,両方の動きを組み合わせることにより内視鏡を360°回転させることができます.
右手の捻り
基本的に右手を捻る動作は用いません(図4).右手を捻ることで視野を確保した場合,右手を離すことができなくなり生検鉗子などを自分の右手でコントロールできなくなるためです(図5).
左手だけで内視鏡を安定してコントロールできる癖をぜひ身につけましょう.
ただし大腸挿入時などでは有用なテクニックです.
左手首の屈曲・背屈
左手首を屈曲・背屈させることで内視鏡を回転させることができます(図6).内視鏡を小さく回転させることができるので,生検・止血などでデバイスを使用するときの「ターゲット位置の微調整」には左手首を用いての回転が有用です.反転操作では手首を屈曲することにより後壁側に,背屈することにより前壁側に内視鏡を回転させることができます.