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第1章悪性腫瘍(食道)
2扁平上皮癌②:進行癌
2扁平上皮癌②:進行癌
疾患の概要
- 食道癌の深達度が筋層あるいはそれ以上に深くまで広がっていると推定される病変(T2~T4)を「進行型」としている.
特徴的な所見と診断
鑑別のピットフォール
- 扁平上皮癌(進行癌)の鑑別としては,腺癌,腺扁平上皮癌,腺様囊胞癌,神経内分泌癌,悪性リンパ腫(図4)などがあげられる.
- 生検で扁平上皮癌(進行癌)の診断がついた後,CTやPET検査などにより臨床的ステージ(cStage)分類を行う.
- cStage Ⅱ/Ⅲ期に対する治療は,耐術能があれば術前化学療法+手術が標準治療である.耐術能がない,または手術を希望されない場合には化学放射線療法や放射線療法,化学療法などを選択する.cStage Ⅳ期について,performance status(PS)が良好であれば,cStage Ⅳa期では化学放射線療法が,Ⅳb期では化学療法が選択される.PS不良であれば緩和的対症療法が中心となる.
- 食道癌終末期患者に対する緩和治療の1つとして,食道狭窄や食道気管瘻に対する金属ステント留置術がある(図5,6).患者のQOLを向上させる一方で,出血や穿孔といった偶発症のリスクもあるため,その適応には慎重な判断が求められる.
参考文献
- 「食道癌診療ガイドライン2022年版 第5版」(日本食道学会/編),金原出版,2022