麻酔科研修20日ドリル〜書き込み式で臨床に役立つ力を身につける!

麻酔科研修20日ドリル

書き込み式で臨床に役立つ力を身につける!

  • 青山和義,讃岐美智義/著
  • 2022年06月21日発行
  • A5判
  • 141ページ
  • ISBN 978-4-7581-1123-2
  • 3,300(本体3,000円+税)
  • 在庫:あり
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8日目 μg/kg/分( γ ガンマ )で薬剤を投与しよう

  • ある一定の濃度の薬液を,シリンジポンプを使用して,⬚μg/kg/分の速度で投与できる
  • 学習時間に余裕がある人はチャレンジドリルに挑戦:シリンジポンプにより1 mL/時間で注入したとき,0.1(または1)μg/kg/分となるように,薬液濃度を調節できる
『麻酔科研修チェックノート 改訂第7版』第3章-1,第6章-3
  • 麻酔でよく使用する静注薬には,1回注入(ボーラス注入)を行うものや,精密持続静注を行うものがある.
  • 精密持続静注を行う薬の中には,シリンジポンプ(図1)を用いて,μg/kg/分という単位[1分間に患者体重1 kgあたり⬚μg:いわゆるγ(ガンマ)]で持続静注を行うものがある.
  • シリンジポンプは,通常1時間あたり◯mL投与(◯mL/時間)にセットするため,◯mL/時間→ ⬚μg/kg/分という変換が必要になる.これには,以下の2種類の方法がある
    • 方法①:ある一定の濃度(△μg/mL)の薬液を「0.1(薬剤によっては1)μg/kg/分で投与する時,◯mL/時間で注入するのか」を計算する.この投与量(◯mL/時間)を基準にして,⬚μg/kg/分で投与するには,◎mL/時間で注入するのか,を計算する(図1).
    • 方法②:1時間あたり1 mL(1 mL/時間)で注入したとき,0.1(薬剤によっては1)μg/kg/分となるように,濃度を計算して薬液を希釈する(図2).
  • レミフェンタニル(アルチバ®)は,0.1〜0.5μg/kg/分の速度で,麻酔導入から手術終了まで精密持続静注される(手術侵襲,患者状態により適宜増減).通常,濃度が100μg/mLとなるように溶解し,投与量を計算して注入する(方法①,図1).
  • 重要な昇圧薬であるノルアドレナリン(ノルアドレナリン®)は1 mg/1 mL/1Aで,その使用量は0.05~0.5μg/kg/分である.方法①(図1),方法②(図2),どちらも使用する.
  • 重要な昇圧薬であるドパミン(イノバン®など)は,製剤により濃度はさまざまだが,3~10(ときに1〜20)μg/kg/分で使用する.方法① (図1),方法②(図2),どちらも使用する.

ドリル①

レミフェンタニル(アルチバ®は1バイアル(1 V)2 mg,または5 mgの粉末である().通常,2 mg製剤は生理食塩液20 mLに,5 mg製剤は生理食塩液50 mLに溶解して使用する.この場合,どちらもレミフェンタニルの濃度は100μg/mLとなる.

体重50 kg,60 kg,またはX kgの患者に,0.1μg/kg/分で投与するために,シリンジポンプで1時間あたり〇 mL(〇 mL/時間)で注入する,という方法を考える(図1).空欄に当てはまる数字を書きなさい.

  • 体重50 kgの患者に,レミフェンタニルを0.1μg/kg/分で投与する場合, 1時間あたりの投与量は0.1μg×50kg×60分=【❶     】μgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❷     】mL/時間で注入する.レミフェンタニルを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❸     】mL/時間で注入する.
  • 体重60 kgの患者に,レミフェンタニルを0.1μg/kg/分で投与する場合, 1時間あたりの投与量は0.1μg×60 kg×60分=【❹     】μgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❺     】mL/時間で注入する.レミフェンタニルを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❻     】mL/時間で注入する.
  • 体重X kgの患者に,レミフェンタニルを0.1μg/kg/分で投与する場合, 1時間あたりの投与量は0.1μg×X kg×60分=【❼     】X μgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❽     】X mL/時間で注入する.レミフェンタニルを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❾     】X mL/時間で注入する.

ドリル②

重要な昇圧薬であるノルアドレナリン(ノルアドレナリン®は1 mg/1 mL/Aで,その使用量は0.05~0.5μg/kg/分である.ノルアドレナリン5A(5 mg/5 mL)に生理食塩液45 mLを加えて全量を50 mLに希釈するか,またはノルアドレナリン2A(2 mg/2 mL)に生理食塩液18 mLを加えて全量を20 mLに希釈して使用できる.いずれの場合も,濃度は100μg/mLとなる.

体重50 kg,60 kg,またはX kgの患者に0.1μg/kg/分で投与するために,シリンジポンプで1時間あたり〇 mL(〇 mL/時間)で注入する,という方法を考える(図1).空欄に当てはまる数字を書きなさい.

  • 体重50 kgの患者に,ノルアドレナリンを0.1μg/kg/分で投与する場合, 1時間あたりの投与量は0.1μg×50kg×60分=【❶     】μgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❷     】mL/時間で注入する.ノルアドレナリンを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❸     】mL/時間で注入する.
  • 体重60 kgの患者に,ノルアドレナリンを0.1μg/kg/分で投与する場合, 1時間あたりの投与量は0.1μg×60 kg×60分=【❹     】μgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❺     】mL/時間で注入する.ノルアドレナリンを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❻     】mL/時間で注入する.
  • 体重X kgの患者に,ノルアドレナリンを0.1μg/kg/分で投与する場合, 1時間あたりの投与量は0.1μg×X kg×60分=【❼     】Xμgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❽     】X mL/時間で注入する.ノルアドレナリンを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❾     】X mL/時間で注入する.


    本問のノルアドレナリンの希釈方法では,その濃度はドリル①のレミフェンタニル(アルチバ®)の濃度と同じ100μg/mLであるため,投与量の計算はレミフェンタニル(アルチバ®)の場合と同様となる.

ドリル③

重要な昇圧薬であるドパミンには,0.3%(3 mg/mL=3,000 μg/mL)のキット製剤があり(プレドパ®,カタボン®Hi,イノバン®シリンジなど),3~10μg/kg/分の範囲で使用する.ショック状態における初期使用量としては,5 μg/kg/分で投与する場合が多い.

体重50 kg,60 kg,X kgの患者に5 μg/kg/分で投与するために,シリンジポンプで1時間あたりY mL(Y mL/時間)注入する方法を考える(図1).空欄に当てはまる数字を書きなさい.

  • 体重50 kgの患者に,ドパミンを1μg/kg/分で投与する場合,1時間あたりの投与量は1μg×50kg×60分=【❶     】μgである.1 mLあたり3 mg(3,000μg)の濃度では,【❷     】mL/時間で注入する.ドパミンをショック状態における初期使用量5μg/kg/分で投与するには,【❸     】mL/時間で注入する.
  • 体重60 kgの患者に,ドパミンを1μg/kg/分で投与する場合,1時間あたりの投与量は1μg×60kg×60分=【❹     】μgである.1 mLあたり3 mg(3,000μg)の濃度では,【❺     】mL/時間で注入する.ドパミンをショック状態における初期使用量5μg/kg/分で投与するには,【❻     】mL/時間で注入する.
  • 体重X kgの患者に,ドパミンを1μg/kg/分で投与する場合,1時間あたりの投与量は1μg×X kg×60分=【❼     】X μgである.1 mLあたり3 mg(3,000μg)の濃度では,【❽     】X mL/時間で注入する.ドパミンを,ショック状態における初期使用量5μg/kg/分で投与するには,【❾     】X mL/時間で注入する.すなわち,0.3%のキット製剤では,体重×【❿     】mL/時間投与すれば,5 μg/kg/分で投与することになる.

チャレンジドリル

学習時間に余裕があれば,薬剤の投与方法について,下記の問いに答えなさい(方法②,図2).

  • 重要な昇圧薬であるドパミン(イノバン®)は,100 mg/5 mL/Aで,その使用量は3~10μg/kg/分である.イノバン®(100 mg/5 mL/A)を,生理食塩液などで,全量X mLに希釈すれば,シリンジポンプで1時間あたり1 mL(1 mL/時間)注入したとき,1μg/kg/分で注入できる(図2).患者の体重が,50,55,60 kg,Y kgの場合の,希釈後の総量X mLを整数(小数第1位を四捨五入)で答えなさい.

    ❶ 50 kg患者 X=          mL

    ❷ 55 kg患者 X=          mL

    ❸ 60 kg患者 X=          mL

    ❹ Y kg患者   X=          mL

  • 重要な昇圧薬であるノルアドレナリン(ノルアドレナリン®)は,1 mg/1 mL/Aで,その使用量は0.05~0.5μg/kg/分である.ノルアドレナリン (1 mg/1 mL/A)を10 A:10 mg(10 mL)集めて,生理食塩液などで全量X mLに希釈すれば,シリンジポンプで1時間あたり1 mL(1 mL/時間)注入したとき,0.1μg/kg/分で注入できる(図2).患者の体重が,50,55,60 kg,Y kgの場合の,希釈後の総量X mLを整数(小数第1位を四捨五入)で答えなさい.

    ❺ 50 kg患者 X=          mL

    ❻ 55 kg患者 X=          mL

    ❼ 60 kg患者 X=          mL

    ❽ Y kg患者   X=          mL
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