8日目 μg/kg/分(
γ
)で薬剤を投与しよう
- ある一定の濃度の薬液を,シリンジポンプを使用して,⬚μg/kg/分の速度で投与できる
- 学習時間に余裕がある人はチャレンジドリルに挑戦:シリンジポンプにより1 mL/時間で注入したとき,0.1(または1)μg/kg/分となるように,薬液濃度を調節できる
- 麻酔でよく使用する静注薬には,1回注入(ボーラス注入)を行うものや,精密持続静注を行うものがある.
- 精密持続静注を行う薬の中には,シリンジポンプ(図1)を用いて,μg/kg/分という単位[1分間に患者体重1 kgあたり⬚μg:いわゆるγ(ガンマ)]で持続静注を行うものがある.
- シリンジポンプは,通常1時間あたり◯mL投与(◯mL/時間)にセットするため,◯mL/時間→ ⬚μg/kg/分という変換が必要になる.これには,以下の2種類の方法がある
- レミフェンタニル(アルチバ®,)は,0.1〜0.5μg/kg/分の速度で,麻酔導入から手術終了まで精密持続静注される(手術侵襲,患者状態により適宜増減).通常,濃度が100μg/mLとなるように溶解し,投与量を計算して注入する(方法①,図1).
- 重要な昇圧薬であるノルアドレナリン(ノルアドレナリン®)は1 mg/1 mL/1Aで,その使用量は0.05~0.5μg/kg/分である.方法①(図1),方法②(図2),どちらも使用する.
- 重要な昇圧薬であるドパミン(イノバン®など)は,製剤により濃度はさまざまだが,3~10(ときに1〜20)μg/kg/分で使用する.方法① (図1),方法②(図2),どちらも使用する.
ドリル①
レミフェンタニル(アルチバ®)は1バイアル(1 V)2 mg,または5 mgの粉末である().通常,2 mg製剤は生理食塩液20 mLに,5 mg製剤は生理食塩液50 mLに溶解して使用する.この場合,どちらもレミフェンタニルの濃度は100μg/mLとなる.
体重50 kg,60 kg,またはX kgの患者に,0.1μg/kg/分で投与するために,シリンジポンプで1時間あたり〇 mL(〇 mL/時間)で注入する,という方法を考える(図1).空欄に当てはまる数字を書きなさい.
- 体重50 kgの患者に,レミフェンタニルを0.1μg/kg/分で投与する場合, 1時間あたりの投与量は0.1μg×50kg×60分=【❶ 】μgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❷ 】mL/時間で注入する.レミフェンタニルを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❸ 】mL/時間で注入する.
- 体重60 kgの患者に,レミフェンタニルを0.1μg/kg/分で投与する場合, 1時間あたりの投与量は0.1μg×60 kg×60分=【❹ 】μgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❺ 】mL/時間で注入する.レミフェンタニルを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❻ 】mL/時間で注入する.
- 体重X kgの患者に,レミフェンタニルを0.1μg/kg/分で投与する場合, 1時間あたりの投与量は0.1μg×X kg×60分=【❼ 】X μgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❽ 】X mL/時間で注入する.レミフェンタニルを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❾ 】X mL/時間で注入する.
ドリル②
重要な昇圧薬であるノルアドレナリン(ノルアドレナリン®)は1 mg/1 mL/Aで,その使用量は0.05~0.5μg/kg/分である.ノルアドレナリン5A(5 mg/5 mL)に生理食塩液45 mLを加えて全量を50 mLに希釈するか,またはノルアドレナリン2A(2 mg/2 mL)に生理食塩液18 mLを加えて全量を20 mLに希釈して使用できる.いずれの場合も,濃度は100μg/mLとなる.
体重50 kg,60 kg,またはX kgの患者に0.1μg/kg/分で投与するために,シリンジポンプで1時間あたり〇 mL(〇 mL/時間)で注入する,という方法を考える(図1).空欄に当てはまる数字を書きなさい.
- 体重50 kgの患者に,ノルアドレナリンを0.1μg/kg/分で投与する場合, 1時間あたりの投与量は0.1μg×50kg×60分=【❶ 】μgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❷ 】mL/時間で注入する.ノルアドレナリンを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❸ 】mL/時間で注入する.
- 体重60 kgの患者に,ノルアドレナリンを0.1μg/kg/分で投与する場合, 1時間あたりの投与量は0.1μg×60 kg×60分=【❹ 】μgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❺ 】mL/時間で注入する.ノルアドレナリンを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❻ 】mL/時間で注入する.
- 体重X kgの患者に,ノルアドレナリンを0.1μg/kg/分で投与する場合,
1時間あたりの投与量は0.1μg×X kg×60分=【❼ 】Xμgである.1 mLあたり100μgの濃度では,【❽ 】X mL/時間で注入する.ノルアドレナリンを0.2μg/kg/分で投与する場合は,【❾ 】X
mL/時間で注入する.
本問のノルアドレナリンの希釈方法では,その濃度はドリル①のレミフェンタニル(アルチバ®)の濃度と同じ100μg/mLであるため,投与量の計算はレミフェンタニル(アルチバ®)の場合と同様となる.
ドリル③
重要な昇圧薬であるドパミンには,0.3%(3 mg/mL=3,000 μg/mL)のキット製剤があり(プレドパ®,カタボン®Hi,イノバン®シリンジなど),3~10μg/kg/分の範囲で使用する.ショック状態における初期使用量としては,5 μg/kg/分で投与する場合が多い.
体重50 kg,60 kg,X kgの患者に5 μg/kg/分で投与するために,シリンジポンプで1時間あたりY mL(Y mL/時間)注入する方法を考える(図1).空欄に当てはまる数字を書きなさい.
- 体重50 kgの患者に,ドパミンを1μg/kg/分で投与する場合,1時間あたりの投与量は1μg×50kg×60分=【❶ 】μgである.1 mLあたり3 mg(3,000μg)の濃度では,【❷ 】mL/時間で注入する.ドパミンをショック状態における初期使用量5μg/kg/分で投与するには,【❸ 】mL/時間で注入する.
- 体重60 kgの患者に,ドパミンを1μg/kg/分で投与する場合,1時間あたりの投与量は1μg×60kg×60分=【❹ 】μgである.1 mLあたり3 mg(3,000μg)の濃度では,【❺ 】mL/時間で注入する.ドパミンをショック状態における初期使用量5μg/kg/分で投与するには,【❻ 】mL/時間で注入する.
- 体重X kgの患者に,ドパミンを1μg/kg/分で投与する場合,1時間あたりの投与量は1μg×X kg×60分=【❼ 】X μgである.1 mLあたり3 mg(3,000μg)の濃度では,【❽ 】X mL/時間で注入する.ドパミンを,ショック状態における初期使用量5μg/kg/分で投与するには,【❾ 】X mL/時間で注入する.すなわち,0.3%のキット製剤では,体重×【❿ 】mL/時間投与すれば,5 μg/kg/分で投与することになる.
チャレンジドリル
学習時間に余裕があれば,薬剤の投与方法について,下記の問いに答えなさい(方法②,図2).
- 重要な昇圧薬であるドパミン(イノバン®)は,100 mg/5 mL/Aで,その使用量は3~10μg/kg/分である.イノバン®(100 mg/5 mL/A)を,生理食塩液などで,全量X mLに希釈すれば,シリンジポンプで1時間あたり1
mL(1 mL/時間)注入したとき,1μg/kg/分で注入できる(図2).患者の体重が,50,55,60 kg,Y kgの場合の,希釈後の総量X mLを整数(小数第1位を四捨五入)で答えなさい.
❶ 50 kg患者 X= mL
❷ 55 kg患者 X= mL
❸ 60 kg患者 X= mL
❹ Y kg患者 X= mL - 重要な昇圧薬であるノルアドレナリン(ノルアドレナリン®)は,1 mg/1 mL/Aで,その使用量は0.05~0.5μg/kg/分である.ノルアドレナリン
(1 mg/1 mL/A)を10 A:10 mg(10 mL)集めて,生理食塩液などで全量X mLに希釈すれば,シリンジポンプで1時間あたり1 mL(1
mL/時間)注入したとき,0.1μg/kg/分で注入できる(図2).患者の体重が,50,55,60 kg,Y kgの場合の,希釈後の総量X mLを整数(小数第1位を四捨五入)で答えなさい.
❺ 50 kg患者 X= mL
❻ 55 kg患者 X= mL
❼ 60 kg患者 X= mL
❽ Y kg患者 X= mL