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第2章 小児麻酔の基本的管理
2.麻酔準備
坂口雄一
(埼玉県立小児医療センター 麻酔科)
- ❶ SOAP-MIに沿って麻酔準備を行う
- ❷ 麻酔回路はサークル回路とMapleson回路に区別されており,その違いを知っておく
1麻酔準備
“SOAP-MI” で覚える.入室前に完璧に準備!
2道具の選択
小児用の道具は,年齢や体格に合わせて適切なサイズを選択する必要がある.表1に主な気道確保用具のサイズを示す.
- ① 蛇管:
- コンプライアンスが低く(圧による内腔の変化が小さい),死腔がなるべく小さいものが理想である
- ② バッグ
- ③ 人工鼻:
- 一回換気量によってサイズを選択する.死腔となるため過度に大きなものを使用しない
- ④ フェイスマスク:
- 顔にフィットさせたときに目を圧迫しないサイズを選ぶ
- ⑤ 喉頭鏡
- ⑥ 気管チューブ:
- 小児では気管チューブが不適切(細すぎ/太すぎ)なため,チューブ交換が必要なことがある.カフありチューブでは交換の頻度が少ないがそれでも100%ではない.第一選択とするチューブの前後サイズを近くに準備しておく
- ⑦ 声門上器具:
- 予期せぬ気道確保困難に遭遇した場合に備えて,適切なサイズを近くに置いておく
- ⑧ エアウェイ(経口・経鼻):
- 経口エアウェイは口元から下顎角までの長さ,経鼻エアウェイは鼻から耳朶までの長さがサイズ選択の目安である
- ⑨ スタイレット
- ⑩ 吸引用カテーテル,吸引管
3麻酔回路
- サークル回路(循環回路,再呼吸回路)とMapleson(メープルソン)回路(非再呼吸回路)に大別される(表2).
- 日本ではMapleson回路が麻酔で使用される機会はほとんどなく,小児でも成人と同様にサークル回路が日常的に用いられている
- Mapleson回路はその構造によってA~Fに分かれているが,現在は主にMapleson D回路の変化形であるBain回路とMapleson F回路(Jackson Rees回路)が臨床で使用されることがある
以前は,小児にはMapleson回路を用いることが推奨されていた.現在では,小児用の呼吸回路を用いたサークル回路で臨床上の問題はない.多くの麻酔科医はサークル回路に慣れており,小児だからといって慣れないMapleson回路に変更するメリットは乏しい.
4サークル回路
1)特徴
- 二酸化炭素吸収装置がある(キャニスター&ソーダライム)ため二酸化炭素の再呼吸がない
- 低流量にすると吸入麻酔薬の消費量を減らすことができる
- 加温加湿がよい
- 死腔は増える
- 一方向弁や二酸化炭素吸収装置が呼吸抵抗となるため,新生児・乳児の自発呼吸管理では劣る
2)回路構成(図1)
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