3DCTで解剖から学ぶ腹部エコーの基本とコツ〜血管を指標にした走査法と超音波所見をマスターする

3DCTで解剖から学ぶ腹部エコーの基本とコツ

血管を指標にした走査法と超音波所見をマスターする

  • 岡庭信司/編
  • 2023年04月19日発行
  • B5判
  • 293ページ
  • ISBN 978-4-7581-1195-9
  • 5,500(本体5,000円+税)
  • 在庫:あり
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第4章 領域別に観る まず基本走査を学ぼう

5 左肋間走査

岡庭信司
(飯田市立病院 診療技幹/内視鏡センター長)

走査手順図1

主な対象臓器

膵尾部,左腎,脾臓

指標となる主な血管

・動脈

脾動脈,腎動脈

・静脈

腎静脈

・門脈

脾静脈

左腎・脾臓図2

走査方法

  • 仰臥位の吸気位で息止めを指示し,プローブを最背側の肋間に密着させて左腎の長軸像図3①)を描出する.
  • プローブを背側に扇動操作し,腎背側と腸腰筋の境界図3②)を観察する.
  • プローブを腹側に扇動操作し,脾臓と左腎の境界図3③)を観察する.
  • 腹側の肋間に移動し,②③の操作をくり返して観察する.
  • この走査ではプローブの扇動操作が困難となることがあるため,被検者をベッドの左側に移動あるいは右半側臥位とする.
  • 左腎の描出不良時には,右腰を少し浮かせた右半側臥位(下図)にしたり,左肋骨弓下横走査で短軸像を描出する(図3④).
  • 図3③の断面では,少量の腹水や出血が描出できることが多い(コラム:FAST参照).

脾門部・膵尾部図4

走査方法

  • Ⓐ左腎・脾臓の観察に引き続き仰臥位の吸気位で息止めを指示し,左腎を観察した位置から1〜2肋間腹側にプローブを移動して脾臓と腎臓の境界図5①)を同定する.
  • プローブを肋間で扇動操作し,脾門部の脾静脈図5②)を描出する.
  • プローブをやや腹側に向け,肋間内で回転操作を行い,脾門部の脾静脈を背側に追跡すると脾静脈の足側(向かって右側)に膵尾部の長軸像図5③)が描出できる.
  • 前後の複数肋間から扇動操作を行い膵尾部を観察する(図5④⑤).
  • 膵尾部は脾門部より腹側に位置しているため,被検者をベッドの左端に移動させて背側から腹側にプローブを向ける(下図).
  • 図5①の断面では,脾腎コントラストも評価する(第7章3-1 参照).
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