基本がわかる 漢方医学講義

基本がわかる 漢方医学講義

  • 日本漢方医学教育協議会/編
  • 2020年11月30日発行
  • B5判
  • 207ページ
  • ISBN 978-4-7581-1875-0
  • 2,420(本体2,200円+税)
  • 在庫:あり
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第3章 代表的な漢方薬の構成と効果,副作用

1 まず知っておくべき漢方薬の基本

生薬 しょうやく と漢方薬の定義Chart 43

生薬とは,薬効のある天然産物(植物,動物,鉱物)に不要な部分をとり除いたり,乾燥させたりするなどの簡単な加工を施したもので,日本薬局方で324品が規定されています.このように生薬を医薬品として使うために,天然産物に加工を施しますが,生薬の薬効の変化を目的とした加熱などの加工(切断,乾燥以外の加工)をすることを修治といいます.

漢方薬とは,漢方医学で用いる医薬品のことであり※1,原則として複数の生薬を組み合わせて用います.漢方薬の代表的な剤形には,湯液,散剤,丸剤,エキス剤などがあります(Chart 44参照).

現在,日本で医薬品として認められている漢方製剤※2は,医療用148処方,一般用294処方があります(2020年現在).医療用とは医師により処方され,健康保険が適用される漢方製剤のことを指します.一方で,一般用とは薬局の店頭で販売が許されている漢方製剤(いわゆる市販薬,OTC薬)で,保険はききません.

漢方薬と西洋薬の違いの1つに,漢方薬は多成分系であるのに対し,西洋薬は多くが単一成分系である点があげられます.

おのおのの漢方薬は適応とする病態(方剤の証)をもちます.例えば, 葛根湯 かっこんとう は寒気を伴う感冒初期(太陽病)で実証, 桃核承気湯 とうかくじょうきとう は陽証で実証の瘀血病態,月経異常,精神症状を伴う人の便秘などです.

漢方薬の剤形Chart 44

漢方薬の伝統的な剤形には,湯液(煎剤),散剤,丸剤などがあります※3

湯は煎薬のことで,生薬を水に入れて加熱後,濾した液です.土瓶などを用い,一般的には水600 mLを300 mLになるまで煮詰め,2回あるいは3回に分けて,食間等で服用します(服薬量200〜400 mL/日).

散剤は生薬を粉末化したもので,丸剤は散剤を蜂蜜などで丸薬化したもの です.

現代では,エキス剤が主流であり,エキス顆粒・エキス錠・カプセル錠などから選択して使用します.エキス剤は生薬を煮出した抽出液を濃縮し,スプレードライ装置により乾燥し,賦形剤と混合して整粒したものです.

また外用薬として,軟膏もあります.

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