本音で語る!リウマチ・膠原病治療薬の使い方

本音で語る!リウマチ・膠原病治療薬の使い方

  • 金城光代/編
  • 2020年09月11日発行
  • A5判
  • 288ページ
  • ISBN 978-4-7581-1881-1
  • 5,500(本体5,000円+税)
  • 在庫:あり
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第2章 関節リウマチに使用される薬剤 3 csDMARDs 従来型合成抗リウマチ薬

3 ブシラミン(BUC)

滝澤直歩
(中部ろうさい病院リウマチ・膠原病科)

対象疾患

  • 関節リウマチ

こんなときに使う

  • 感染症のリスクが高い患者
    • BUCは免疫調整薬であり感染症のリスクが少ない
  • 関節リウマチでMTXが使用できないとき
  • SASPがサルファアレルギーなどで使用できない患者
  • MTXやSASPのみで効果が不十分な場合の併用療法
    • 単独での使用頻度は減少傾向であるが,特にMTXとの併用による有効性のエビデンスを有し,併用療法で用いられることが多い12)

処方例

  • 開始時は1日1回100 mgで開始する
  • 2〜4週間後に採血検査,尿検査を行い,血球減少,蛋白尿の有無を認めたら薬剤の内服を中止する
  • 問題がなければ開始から4〜8週間みて,症状に応じて1日2回に増量する
    • MTXやSASPと併用する際も同様の投与方法を用いる
  • 添付文章上300 mg/日まで処方可能であるが,最高200 mg/日までとすることで蛋白尿をはじめとする副作用を減らすことができる
  • 血液障害を有する患者,骨髄機能が低下している患者,腎障害患者では禁忌である
  • 添付文書上,妊婦への投与は安全性が確立しておらず,有益性が危険性を上回るときのみ投与することとなっており,授乳中の女性には投与しないことに注意が必要である

モニターのしかた

  • 血液検査(血算・分画,腎機能),尿検査をフォローする
  • ベースライン,投与開始後1カ月は2週ごと,次の3カ月は4週ごと,以降は1〜3カ月ごとに行う

副作用

  • 蛋白尿は最も多い副作用であり,多くは開始後3,4カ月以内に生じるが,長期使用例でも起こりうる
    • 早期であればBUCを中止することで改善する.腎障害,蛋白尿の早期発見のために,毎回の尿検査を行うことが重要である
  • 他の重要な副作用としては,皮膚障害(皮疹,口唇腫脹など),骨髄抑制(血球減少),肝炎,間質性肺炎などがある
  • BUCに特有の副作用として黄色爪症候群があるが,通常薬剤中止により改善する

患者さんへの説明例

治療効果

「関節リウマチでは開始後2カ月くらいたってから効果がでてきます.ブシラミン単独での有効性も報告されていますが,メトトレキサートと併用,さらにはメトトレキサート,サラゾスルファピリジンとの3剤併用の有効性も報告されています」
「比較的ゆっくり効果がでてくる薬剤なので,開始後3カ月までは副作用がなければしっかり服用してみて,効果があるかどうかを判断しましょう」

薬の量/内服方法

「はじめは少ない量で朝1錠(100 mg)から開始し,問題なければ4〜8週間後に採血・尿検査を確認して,1日2錠(朝・夕食後)に増量します」

副作用

「副作用としては皮膚症状,蛋白尿・腎障害が比較的多いとされています.また多くはないものの注意すべき副作用に血球減少や肝炎,間質性肺炎があります」
「蛋白尿や血球減少は自覚症状がないことが多いので,外来で定期的な採血と検尿を行うことが重要になります.これら副作用は早期に発見して薬剤を中止すれば改善することがほとんどです」

作用機序

  • BUCは副作用の少ないD-ペニシラミン類似物質である
  • BUCは滑膜細胞からのIL-6,IL-8といったサイトカイン分泌を抑制する
  • BUCはT細胞の分化・増殖を抑制し,T細胞上のCD44発現を減らし,IL-2,インターフェロンγ(IFNγ),TNFα,IL-6を抑制する
    • 言い換えると,Th1細胞(ヘルパーT細胞)のサイトカイン産生,炎症性サイトカイン産生,T細胞の遊走を抑制することでBUCは薬効を発揮すると考えられる

文献

  • 12)Ichikawa Y, et al:Therapeutic effects of the combination of methotrexate and bucillamine in early rheumatoid arthritis: a multicenter, double-blind, randomized controlled study. Mod Rheumatol, 15:323-328, 2005
  • 13)Bykerk VP:Nonimmunosuppressive disease-modifying antirheumatic drugs. 「Rheumatology 6th edition」(Hochberg M, et al/eds), pp434-442, Mosby, 2014
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