6章 2群の実験を正しく検定する方法は?
6-8 対立仮説の立て方で検定結果は異なる!
両側検定と片側検定の違い
両側検定および片側(上側あるいは下側)検定は6-4ですでに説明している.これまで2群の実験で,ある項目を測定するとき,帰無仮説として母平均μ_{1}とμ_{2}は差がない,すなわち,μ_{1}=μ_{2}とした.μ_{1}とμ_{2}はどちらが大きな値になるかは,通常はわからない.そこで,対立仮説はμ_{1}≠μ_{2}すなわちμ_{1}−μ_{2}≠0とした.標本データの標本平均\bar{X}_{1}と\bar{X}_{2}で考えると,\bar{X}_{1}−\bar{X}_{2}はプラスになるかマイナスになるかわからない.したがって,t分布の両端の2.5%ずつの範囲に入れば,有意水準5%で有意差ありとした.このような検定を両側検定とよぶ(図6-11).未知の影響を調べる場合は,両側検定とすべきである.

しかし,前もってどちらかが大きいという十分な情報がある場合は,μ_{1}>μ_{2}あるいはμ_{1}<μ_{2}と対立仮説を立てることも可能である.もし,μ_{1}<μ_{2}と対立仮説を立てることができれば,標本データ\bar{X}_{1}−\bar{X}_{2}はマイナスとなることが最初から期待できることから,図6-11のt分布グラフのマイナス側だけを考えればよいので,マイナス側に5%を設定できる.このような検定を片側検定とよぶ(この例では下側検定ともよべる.もし,プラス側で5%であれば上側検定とよぶ).
片側検定では,両側検定よりもt分布の有意水準の面積が2倍となるので,両側検定よりも有意差が得られやすくなることがわかる(図6-11).片側検定を使えるのは十分な証明のある場合である(➡6-4).未知の成分の影響を調べる試験などでは,\bar{X}_{1}−\bar{X}_{2}はプラスになるかマイナスになるかわからないので,片側検定を用いることはない.
6-4では,「両側」「片側」「上側」「下側」の単語が使われる理由は記述しなかったが,ここを読めばその意味がおわかりいただけたと思う.