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読者の声
大和真弥
(東北大学医学部)
本書籍は、病理学と実臨床を結びつけるという点で傑出した書籍である。
特筆すべき点は、指導医とレジデントの間で繰り広げられるコミュニケーションに基づいた解説様式だ。読者にとり難解でとっつきづらい印象が、ややもすると病理学において持たれることが多いさなかで、本書はその障壁を除去し、親しみやすく学ぶ機会を提供している。
さらには、症例と病理が結びついていることも素晴らしい部分である。やはり病理学を学ぶ際には、どうしてもプレパラートを見て診断を行うところが強調されており、それ自体は非常に重要であることは言うまでもないわけだが、読者層の多くは臨床医、もしくは将来的に臨床の道に進むことが想定される。そこで重要となるのは臨床と病理のかかわりであり、本書は若手にそのあり方を示しうるものであると感じる。
それらを下支えしているのが、本書籍に掲載されている画像の数々である。充実したコンテンツに基づき、実臨床における病理学の役割をクリアカットに描いた本書は、まぎれもなく素晴らしい一冊であると断言できる。