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第2章 各論
§2 上肢外固定の作成
7 前腕逆シュガートング
手技のまとめ
- 特徴
- 手と前腕を前後からはさむシーネで,遠位は母指〜示指間でつながっています.前後からはさむので,固定性がよいです.前腕回内外と肘屈伸ができるので,患肢を使うことができます.
- 適応
- 橈骨遠位端骨折,手関節捻挫,手根骨脱臼
- 用意するもの
- スプリント材3インチ,包帯,ハサミ,水,タオル,首から下げる場合はストッキネット2号または三角巾(巻いて帯状にして使います)
- 助手への指示
- 片手で患者の指先を掴んで手〜前腕を垂直に保持し,反対の手でスプリント材がズレないように保持しつつ,手関節を固定肢位で保持してもらいます.
- 注意
- 手背側が短くなることが多いので注意します(手背側は中手骨頭まで覆うこと).小児の橈骨遠位骨幹部骨折では上腕までの外固定が必要なので,この前腕逆シュガートングを用いてはいけません.
完成イメージ
1出来上がり
2出来上がり(装着)
前腕回内外と肘屈伸ができるので,手を対象物にもっていけます.手関節を軽度背屈位にすると手指が使いやすいです.母指球部を切除したので,母指でつまむことができます.包帯は母指球を避けて巻くようにします.
写真は図示のために包帯を薄く巻きましたが,実際はもっとしっかり巻いてください.
実際の手技
1患者の体位①
患者は仰臥位で,患肢の肘をベッドに接地し,助手が指先を持って手〜前腕を垂直に保持します.写真は肘が浮いていますが,ベッドに接地させる方が安定します.
2患者の体位②
患肢の痛みが軽く安定していれば,助手なしで患者は座位でも可能です.
3患者の前腕の長さを測る
前腕近位(肘窩から3 cm程度)から遠位手掌皮線までの長さ()を測り,その2倍の長さに数cm足した長さでスプリント材を切り出します(短くなるよりは,長くて余る方がよいです).
4切り出したスプリント材を合わせる
スプリント材を二つ折りにして,患肢に合わせて長さを確認します.スプリント材が長い場合は近位端を切って,長さを調節します(巻き終わりに折り曲げてもよいです).
続きは書籍にて
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