『第3章　生まれつきの病気はどう起こるか』より抜粋

−後略−

• 20世紀後半に登場した分子生物学の爆発的な発展は，ヒトゲノムの解読によって頂点を極めた．生命の設計図たる情報の全てを手に入れた生物学者たちは，生命科学という新しい学術分野を拓き大きく成長させた．この結果誰もが様々な病気の解明が急速に進展すると期待し夢想した．しかし予測に反し，ゲノムから生命の謎を解く研究は大幅な発展があった一方，より一層混迷を深めることにもなった．端的に言えば，遺伝子の機能解析のみでは生命プログラムの中枢には迫れないということが次第に明らかになってきたからである．例えば，個人差や環境の影響など遺伝情報のみでは説明できない多くの謎が浮上してきたのである．その代表がエピジェネティクスという概念である．エピジェネティクス（遺伝学の上に位置する学問）は，一般に「DNAの塩基配列に依存しない遺伝子発現や細胞表現型の変化を制御・伝達・継承する修飾系」ということで定義されている．具体的には環境に応じて遺伝子DNAをメチル化などによって改変し，時空間的な遺伝子発現の制御を後天的に可能にする．いわば静的なゲノム情報を動的な情報に転換して生物を環境に適応させるものであり，発生や分化あるいはガン化などにも密接に関与している．他方，遺伝子の申し子タンパク質であるヒストンも，アセチル化，リン酸化，ユビキチン化などの修飾を受けて情報の拡大や機能調節に貢献していることは興味深い．しかしこれでは，エピジェネティクスが何のことかさっぱり分からないという諸子には，その種明かしにピッタリの本書を強く薦めたい．学者は易しいことを難しく書く能力には長けているが，難しいことを易しく書くことは不得意である．「エピジェネティクス」は難しい科学用語であるが，本書はこの難しい言葉を初心者から専門家まで痒いところに手が届くように平易に概説されている．またところどころに挿入されたColumnは，著者の体験にもとづいた謎解き物語であり，これらが本書の味付けとなっていてとても楽しい好著となっている．（田中啓二［東京都医学総合研究所］）
• 大変わかりやすく、興味を引かれる内容で、楽しく拝読しました。（臨床医）
• 内容だけでなく、装丁も読みやすく、良い本です。生命科学の拡がりがよくわかります。（報道関係）
• エピジェネティクスの話題をふかん的に理解できる良い本であると思います。（医療系企業）
• エピジェネティクスについての説明に頭を悩ましていたところでした。知識・理解の向上に役立つ参考書として薦めたいと思います。（製薬企業）
• 大変興味ある内容で、エピジェネティクスについて最新の情報が網羅された素晴らしい本と思います。（大学研究者）
• 社内で大変わかりやすい本だと好評で、さらに追加注文いたしました。（バイオ系企業）
• 大変面白く読ませていただきました。遺伝子研究から遠ざかっていましたので、「目からうろこ」です。その中の図の出典となる参考文献を読んでみたいと思います。（臨床医）
• わかりやすく書かれている。手軽な大きさなので持ち運びに便利。電車内でも読みやすい。（大学研究職員）
• がんや病気について分かりやすい。コラムも面白い。本が可愛い。
• 楽しみながら、生命をまるごと理解。基礎を学ぶ最初に読みたい。（学生）
• 講義に役立つ、分かりやすい説明と図が豊富。学生にも推薦。（研究者）
• 全体像、検査・創薬との関わりが分かります。社内研修にも有用。（企業）
• 臨床につながって、興味が湧きます。レジデントも読める内容。（臨床医）

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• 【本書名】驚異のエピジェネティクス〜遺伝子がすべてではない!? 生命のプログラムの秘密
• 【出版社名】羊土社

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