第4回 採択課題の調査のポイント(2023.07.14更新)

 どのような研究課題が採択されているのかを知ることは,その分野の採択傾向を探るとともに,ライバルの動向を探るのに必要だ.応募しようとする分野では誰のどのような研究課題が採択されているのか,他の研究者の課題名を調べることは非常に勉強になる.また知り合いが採択されていれば,頼んで採択課題の申請書を見せてもらうこともできる.

 採択課題の調査で,最も便利なのが国立情報学研究所の科学研究費助成事業データベースだ(図1).研究分野や採択年によって,簡単に採択課題を調べることができる.平成30年度以降から使われている「審査区分」,従来の制度で使われていた「研究分野」の両方で検索できる.

図1 「科学研究費助成事業データベース」の検索画面

図1 「科学研究費助成事業データベース」の検索画面

国立情報学研究所が提供している「科学研究費助成事業データベース」が科研費の採択課題を調べるのに最適だ.

 このデータベースはなかなかおもしろく,あの研究者の採択の状況はどうか,課題名は何か,どのくらい科研費をもらっているのかなど,簡単に検索できる.また自分自身の採択された科研費データベースとしても使うことができる.

 試しに,研究者情報の「姓名」に自分の名前を打ち込んで「研究代表者」にチェックを入れて「検索」をクリックすると,採択された科研費の一覧表が出る(図2).さらに,「採択課題名」をクリックすると,その詳細が記録されている(図3).

図2 研究情報の「姓名」で検索したときの一覧表の例

図2 研究情報の「姓名」で検索したときの一覧表の例

図3 「科学研究費助成事業データベース」で閲覧できる採択課題の例

図3 「科学研究費助成事業データベース」で閲覧できる採択課題の例

検索した採択課題をクリックすると,研究期間や配分額まで記録されている.

 また,審査区分(応募分野)ごとの応募件数と採択件数のデータは2章2:審査区分の選び方で述べたように日本学術振興会の科学研究費助成事業のページにある「関連データ」→「科研費データ」→「Ⅲ. 科研費の配分状況」→「(1)研究種目別配分状況」→「②審査区分別配分状況」に細かく分野別に応募件数と採択件数が書いてある.

※本コーナーは『科研費獲得の方法とコツ 改訂第8版』(2022年7月発行)から一部抜粋・改変し,掲載したものです.記載内容は発行時点における最新の情報に基づき,正確を期するよう,最善の努力を払っております.しかし,本記事をご覧になる時点において記載内容が予告なく変更されている場合もございますのでご了承ください.

科研費獲得のための応募戦略:目次

児島 将康

(久留米大学客員教授,ジーラント株式会社代表取締役)

書籍「科研費獲得の方法とコツ」「科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」著者.毎年の科研費公募シーズン前後に20件近くの科研費セミナーで講演し,理系・文系を問わず申請書の添削指導を行っている.令和6年4月より研究者を支援するジーラント株式会社(https://g-rant.org/)を立ち上げ,活動している.

科研費に関する書籍・ウェビナーや制度の変更点など,科研費申請に役立つ情報を発信しております.
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