学習内容
- 臨床における位置・変位・速度・加速度の測定
- 関節の運動と極座標による運動の表し方
- 臨床における位置・変位・速度・加速度の測定
- 関節の運動と極座標による運動の表し方
身体運動における位置・変位・速度・加速度の測定
臨床における身体の位置や運動の表し方
身体の位置や運動も座標を用いて表す.身体は大きさをもっており,頭部,頸部,体幹,上肢,下肢などの身体部位(体節)に分けられる.身体の運動を表すときは,身体の特定の点※1を決め,その特定の点が空間座標の中でどのように運動するかという視点と,身体部位の相対的な位置関係が時間とともにどのように変化していくかという2つの視点がある.
身体部位の運動は,
臨床における変位の測定
臨床における変位の測定例として,立位姿勢のアライメント,ファンクショナルリーチテスト,歩行時の歩幅や歩隔,6分間歩行テストなどがある.
立位姿勢アライメントの測定では,鉛直線を基準として,前額面では後頭隆起・
ファンクショナルリーチテストは,肩幅の立位姿勢で上肢を
歩行に関連する測定値として,1歩分の距離である歩幅(ステップ長),2歩分の距離である重複歩距離,左右の
臨床における速度・加速度の測定
速度に関して,臨床において最も頻繁に用いられるのは歩行速度の測定である.10 m歩行テストがその代表である.10 m歩行テストは,10 mの直線路とその前後に3 mずつの加速と減速用のスペースを設け,中央の10 mを歩行するのに要する時間を測定する.時間を測るのと同時に,最初に10 mの開始ラインを超えたときを1歩として,終了ラインを超えるまでに何歩を要したかも測定する(図16).歩行速度は,10 mを10 m歩行に要した時間(秒)で割って計算する.10 mを10秒で歩くと歩行速度は1 m/s※2となり,健常ではゆっくりとした歩行速度になる.歩幅は10 mを歩数で割って計算する.また,歩数を時間(分または秒)で割ると,単位時間あたりの歩数である歩行率(ケイデンス)が計算できる.