実験医学増刊 Vol.27 No.20

アレルギー疾患の免疫機構

免疫細胞・サイトカインからみたアレルギー発症機序と治療へ向けた臨床的アプローチ

  • 中西憲司,山本一彦/編
  • 2009年12月04日発行
  • B5判
  • 212ページ
  • ISBN 978-4-7581-0303-9
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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近年社会的な関心もますます高まるアレルギー疾患.本書では,いま注目の好塩基球の新たな機能から,アレルゲン研究など環境面からのアプローチ,喘息やアトピー性皮膚炎等の治療戦略まで,その最前線を結集.

目次

第Ⅰ部 アレルギー疾患の基礎研究

概論 新しいアレルギーの概念【中西憲司】

  • Th1アジュバントとTh2アジュバント
  • アレルギー炎症は複雑で多様な病態から構成
  • 上皮性サイトカインは自然型アレルギーを誘導する
  • 好塩基球はTh2を選択的に誘導するAPCである
  • アレルギー疾患の基礎研究(第(特)部の構成)

第1章 アレルギー疾患に関連するT細胞およびB細胞

1.アレルギー病態におけるTh1細胞の新たな役割【本村泰隆/久保允人】
  • アレルギー病態におけるTh1/Th2
  • アレルギー病態におけるIL-13の役割
  • IL-13の産生とTh1・Th2細胞
  • T細胞における新規のIL-13発現制御機構
  • 基本ロイシンジッパー転写因子Nfil3
2.Th2細胞分化とアレルギー発症のエピジェネティクス【山下政克】
  • GATA3によるTh2サイトカイン発現のエピジェネティック制御
  • GATA3の発現調節機構
  • Th2細胞形質維持の分子機構
3.NKT細胞による免疫制御機構とアレルギー発症のメカニズム【渡会浩志/谷口 克】
  • NKT細胞による免疫調節機構
  • NKT細胞サブセット
  • IL-17RB+NKT細胞によるアレルギー発症のメカニズム
4.Th17細胞とアレルギー【梶原直樹/大保木啓介/大野建州/斎藤博久/中江 進】
  • IL-17-IL-17受容体ファミリー
  • Th17細胞
  • Th17細胞と喘息
  • Th17細胞とアレルギー性結膜炎,鼻炎,食物アレルギー
  • Th17細胞と接触型皮膚炎
  • Th17細胞と遅延型過敏症
5.制御性T細胞とアレルギー疾患【山口智之/坂口志文】
  • Foxp3発現制御性T細胞
  • 制御性T細胞と外来性抗原
  • CTLA-4を介した免疫抑制
  • 多様な制御性T細胞
  • 制御性T細胞の臨床応用に向けて
6.B細胞活性化とIgE産生の分子機構【鍔田武志】
  • B細胞の活性化と胚中心反応
  • クラススイッチ
  • IgE産生の制御機構

第2章 アレルギー疾患に関連する免疫細胞群

1.好酸球,好塩基球,肥満細胞の分化経路【岩崎浩己/赤司浩一】
  • 好酸球の分化経路と好酸球前駆細胞の純化同定
  • 好酸球コミットメントを制御する転写因子
  • 好塩基球,肥満細胞の分化経路
  • 好塩基球/肥満細胞前駆細胞の純化同定
  • 好塩基球/肥満細胞分化を制御する転写因子
2.受容体による肥満細胞の活性化制御【中村 晃/高井俊行】
  • 肥満細胞の活性化
  • 抑制型受容体
3.アレルギーにおける好塩基球の新たな役割【烏山 一】
  • 慢性アレルギー炎症における好塩基球の重要性
  • 全身性アナフィラキシーにおける好塩基球の重要性
4.好塩基球のIL-4産生における細胞内シグナル伝達機構【瀧 伸介/肥田重明】
  • FcεR-架橋刺激によるIL-4産生の誘導
  • IL-3刺激によるIL-4産生の誘導機構
  • そのほかの刺激によるIL-4産生誘導
5.好塩基球によるTh2細胞の誘導【善本知広】
  • 脾臓好塩基球はin vitroでTh2細胞を誘導する
  • 骨髄由来好塩基球はin vitroでTh2細胞を誘導する
  • 抗原-IgE複合体は効率よく好塩基球に取り込まれ抗原提示される
  • OVAでパルスした好塩基球は生体内でTh2細胞を誘導する
  • 抗原とIgE抗体の複合体は好塩基球依存的に生体内でTh2細胞を誘導する
6.アレルギーとアジュバント【安田好文/中西憲司】
  • アジュバントについて
  • T細胞の分化
  • Th2型免疫応答誘導性のアジュバント
  • alum
  • TSLP

第3章 アレルギー疾患に関連するサイトカイン群

1.IL-4/IL-13で誘導されるアレルギー性炎症【出原賢治/白石裕士/鈴木章一/太田昭一郎】
  • IL-4とIL-13のシグナル伝達機構
  • 気管支喘息の発症機序におけるIL-4/IL-13の関与
  • IL-4/IL-13による喘息における新規の発症機序
  • IL-4/IL-13を標的とした治療薬の開発
2.IL-5と好酸球で誘導されるアレルギー性炎症【長井良憲/高津聖志】
  • IL-5のシグナル伝達
  • 好酸球の分化,好酸球特異的前駆細胞におけるIL-5シグナル
  • アレルギー性炎症における好酸球とIL-5の役割
  • IL-5を標的とした抗体療法
3.IL-18はアレルギー性炎症の起爆剤か?【筒井ひろ子】
  • super Th1細胞
  • 感染型アトピー症
  • IL-18分泌機構
  • 黄色ブドウ球菌によるアトピー性皮膚炎マウスモデル
4.IL-25によるアレルギー性炎症誘導機構【中島裕史/玉地智宏】
  • IL-25の構造
  • IL-25の産生細胞
  • アレルギー性気道炎症におけるIL-25の役割
  • IL-25応答性細胞
  • IL-25のシグナル伝達機構
5.IL-33とアレルギー【大保木啓介/大野建州/梶原直樹,斎藤博久/中江 進】
  • 核内因子DVS-27/NF-HEVからIL-33としての再発見
  • IL-33受容体とシグナル伝達機構
  • IL-33とアレルギー疾患
  • IL-33の標的細胞
  • Danger モデル,“Alarmin”としてのIL-33
6.TSLPで誘導されるアレルギー性炎症の制御【伊藤量基】
  • TNF-αとIL-10:向炎症性と抗炎症性サイトカイン
  • TSLP:上皮由来のアレルギー性炎症トリガー
  • OX40L:炎症誘発分子
  • Th1環境下でのOX40Lの機能
  • アレルギー性炎症に対する新たな治療戦略
  • ImidazoquinolineとBCG

第Ⅱ部 臨床からみたアレルギー疾患

概論 アレルギー疾患への臨床的アプローチ【山本一彦】

  • アレルギー疾患とその病因
  • マウスの免疫学とヒトの免疫学
  • 新たな治療の方向性

第4章 アレルゲンとアレルギー疾患

1.アレルゲン研究の最前線【高井敏朗】
  • 治療用アレルゲンワクチン標準化の現状と未来
  • 古くて新しい問い:「アレルゲンはなぜアレルゲンになるのか?」
2.アレルギー疾患におけるアレルゲンの最近の話題【中澤卓也】
  • スギ花粉アレルゲン
  • ダニアレルゲン
  • ペットのアレルゲン
  • 食物アレルゲン
  • 昆虫アレルゲン
3.抗原特異的免疫療法の現状とその作用機序【岡本美孝】
  • 抗原特異的免疫療法(減感作療法)の現状
  • 舌下粘膜投与による抗原特異的免疫療法の現状
  • 抗原特異的免疫療法の作用機序
  • スギ花粉症に対する舌下免疫療法の臨床試験の現状
4.アレルギーの遺伝要因 -自然免疫応答の関与【原田通成/広田朝光/人見祐基/玉利真由美】
  • TSLP遺伝子多型と喘息
  • IL-18遺伝子多型と成人喘息重症化
  • 全ゲノムを網羅した遺伝子多型とアレルギー形質との症例対照相関解析
  • 遺伝子多型と自然免疫システムによる喘息の発症や重症化,遺伝子間の相互作用
  • 喘息重症化と感染
5.アレルギーと環境因子【足立雄一】
  • アレルゲン量や空気汚染物質の増加
  • 衛生仮説
6.気管支喘息の発症メカニズム【土肥 眞】
  • 抗原提示細胞による抗原認識とT細胞の活性化
  • T細胞
  • 肥満細胞
  • 好酸球
  • 好中球
  • 好塩基球
  • 気道上皮細胞
  • 気道リモデリングと上皮細胞-間葉系細胞連関
  • まとめ:喘息の発症機構
7.アトピー性皮膚炎のメカニズム【島田眞路】
  • アトピー性皮膚炎(AD)と動物モデル
  • ヒトのアトピー性皮膚炎(AD)とTh2細胞活性化─セントラルドグマ
8.学童のスギ花粉感作についての疫学研究【竹中 洋/小笹晃太郎】
  • 小児の経年的観察
  • 考察:出生とスギ花粉症との関連
9.食物アレルギーの発症メカニズム【中尾篤人】
  • 食物アレルギー発症における抗原側の要因
  • 食物アレルギーと腸管バリア機能
  • 食物アレルギーと経口免疫寛容
  • 母乳中TGF-βと食物アレルギー
10.薬物アレルギー【山口正雄】
  • 頻度
  • 病因・病態
  • 臨床症状
  • 診断・検査
  • 治療・予後
  • 症例提示

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  • 【本書名】実験医学増刊:アレルギー疾患の免疫機構〜免疫細胞・サイトカインからみたアレルギー発症機序と治療へ向けた臨床的アプローチ
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