実験医学増刊 Vol.28 No.15

エピジェネティクスと疾患

基礎メカニズムと解析手法の最新知見からがん・神経・代謝・アレルギー疾患などへの応用まで

  • 牛島俊和,塩田邦郎,田嶋正二,吉田 稔/編
  • 2010年09月03日発行
  • B5判
  • 242ページ
  • ISBN 978-4-7581-0309-1
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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進歩の激しいエピジェネティクス研究のホットなトピックをまとめた1冊.近年急速に解明が進んだがん以外の疾患との関連についても,多数の例を挙げて紹介.研究に欠かせない最新の解析手法も網羅!

目次

概論 エピジェネティクスの基礎と疾患研究への応用のオーバービュー【田嶋正二/牛島俊和】

  • DNAメチル化修飾とその制御
  • ヒストン化学修飾,ポリコーム群タンパク質,クロマチンリモデリング因子
  • エピジェネティクスによる生命現象
  • エピジェネティクス解析の新手法
  • がんとエピジェネティクス
  • がん以外の後天的疾患とエピジェネティクス
  • 再生医療とエピジェネティクス

第1章 エピジェネティックな制御機構

1.DNAメチル化修飾の制御機構【田村 尚/岡野正樹】

  • ゲノムにおけるCpG配列とDNAメチル化分布
  • メチル化/非メチル化CpG識別機構
  • DNAメチル化機構
  • DNA脱メチル化機構
  • 5-メチル化シトシン酸化機構
  • DNAメチル化調節因子

2.ヒストンH3のリジンメチル化,脱メチル化酵素の新たな機能【立花 誠】

  • H3K9メチル化酵素,ESETの新たな機能
  • H3K4脱メチル化酵素,LSD1,2によるDNAのメチル化制御
  • H3K9メチル化酵素,G9aとコカイン中毒による神経変性

3.ポリコーム群タンパク質複合体が関与する遺伝子発現抑制【藥師寺(上夏井)那由他/古関明彦】

  • PRC2の構成因子とその機能
  • PRC1の構成因子とその機能
  • ポリコーム群タンパク質複合体の標的遺伝子へのリクルート

4.クロマチンリモデリング因子【広瀬 進】

  • SWI/SNFファミリー
  • ISWIファミリー
  • CHDファミリー
  • INO80ファミリー
  • その他のリモデリング因子

5.DNAメチル化を介した転写制御機構【笹井信広/中尾光善】

  • DNAメチル化を介した転写制御機構
  • MBDタンパク質による転写制御
  • ジンクフィンガー(ZnF)タンパク質によるDNAメチル化制御

6.ヘテロクロマチン:その形成機構と機能制御【高畑信也/村上洋太】

  • クロマチン制御
  • エピジェネティックマークの受け渡し機構
  • シスエレメントに依存したヘテロクロマチン形成機構
  • エピジェネティックマークに依存したヘテロクロマチン形成機構
  • Swi6によるヘテロクロマチン形成因子リクルートメント
  • セントロメア近傍におけるncRNAの転写機構
  • ヘテロクロマチン形成におけるRNAi機構の役割

第2章 エピジェネティクスによる生命制御と基盤情報

1.ゲノムインプリンティング:ゲノムに刻まれた親の記憶と個体発生【佐々木裕之/千葉初音】

  • 哺乳類の個体発生とインプリンティング
  • インプリンティングのゲノミクス
  • インプリンティングのエピゲノミクス
  • インプリンティングの進化

2.X染色体不活性化のエピジェネティクス【佐渡 敬】

  • X染色体不活性化センター
  • X染色体のエピジェネティクス
  • X染色体と核内の空間的制御
  • X染色体不活性化とSATB1
  • X染色体不活性化の選択様式が表現型に及ぼす影響
  • リプログラミングとX染色体の活性制御機構

3.細胞・組織特異的DNAメチル化領域─ES細胞,iPS細胞および組織のDNAメチル化プロフィール【村本玄紀/佐藤晋也/八木慎太郎/塩田邦郎】

  • 細胞・組織特異的DNAメチル化領域(T-DMR)
  • DNAメチル化プロフィールが描き出す細胞・組織

第3章 エピジェネティクス解析の新手法

1.ゲノム網羅的メチル化解析【三浦史仁/榎本悠佑/伊藤隆司】

  • マイクロアレイから次世代シークエンサーへ
  • バイサルファイトショットガンシークエンシング
  • 高解像度メチローム解析から得られる知見
  • 微量サンプルからのBSS解析

2.全ゲノムレベルにおけるクロマチン解析法【堤 修一/油谷浩幸】

  • 次世代高速大量シークエンス法によるChIP-Seq解析
  • ヒストン修飾の解析
  • 制御領域の解析
  • クロマチン相互作用
  • 解析の重要性

3.DNAメチル化検出のための新しい化学【岡本晃充】

  • メチルシトシン検出のための新反応
  • 新規人工DNA「ICONプローブ」
  • ICONプローブを用いた検出の実際

4.エピジェネティック制御における分子認識:DNAメチル化制御の構造生物学【有吉眞理子/白川昌宏】

  • DNAメチル化制御にかかわるタンパク質
  • 新規DNAメチル化におけるヒストン修飾認識
  • DNAの維持メチル化におけるメチル化シトシンの厳密な認識
  • UHRF1とDNMT1の機能相関

5.特異的モノクローナル抗体を用いたメチル化ヒストンダイナミクスの可視化【木村 宏/林 陽子】

  • 特異的修飾の検出法
  • 細胞核内クロマチン構造とヒストン修飾
  • 老化に伴うヒストン修飾のダイナミクス
  • トリメチル化H3K27抗体を用いた不活性X染色体の検出
  • メチル化ヒストンのダイナミクス

6.ケミカルエピジェネティクス─化合物によるエピジェネティクス情報の制御【伊藤 環/伊藤昭博/吉田 稔】

  • エピジェネティック情報の「書き込み」酵素を標的とする化合物
  • エピジェネティック情報の「消去」酵素を標的とする化合物
  • 部位特異的ヒストン修飾のモニタリング
  • ケミカルエピジェネティクスの展望

第4章 がんとエピジェネティクス

1.発がんにおけるエピジェネティック異常の役割【豊田 実/神前正幸/清水 崇/鈴木 拓】

  • がんにおけるエピジェネティックな異常
  • DNA異常メチル化の発がんにおける役割
  • 遺伝子変異とエピジェネティックな異常の相互作用

2.エピジェネティック異常の誘発要因と機構【牛島俊和/竹島秀幸/服部奈緒子】

  • エピジェネティック異常の誘発要因
  • 慢性炎症によるDNAメチル化異常の誘発機構
  • DNAメチル化異常誘発の遺伝子特異性

3.エピジェネティクスのがん診断への応用【新城恵子/近藤 豊】

  • がんにおけるエピジェネティクス異常
  • CIMPの意義
  • DNAメチル化検出法
  • DNAメチル化異常の検出とがん診断への応用
  • エピジェネティクス・プロファイルとエピジェネティクス治療薬

4.がん治療への応用と臨床的有効性【小林幸夫】

  • DNAメチル化
  • ヒストンアセチル化修飾
  • ヒストンメチル化修飾
  • 併用療法の可能性

5.エピジェネティクスのがん予防への応用【丹羽 透/牛島俊和】

  • エピジェネティック異常と発がん
  • エピジェネティック異常を標的とした発がん予防の考え方
  • エピジェネティック異常の誘発抑制による発がん予防の実例

第5章 がん以外の後天的疾患とエピジェネティクス

1.ATF-7を介したストレスによるエピジェネティック変化【前川利男/石井俊輔】

  • ATF-2ファミリー転写因子とエピジェネティック制御
  • ATF-7ノックアウトマウスでみられる行動異常
  • セロトニン受容体5B(Htr5b)
  • Htr5b遺伝子のプロモーター解析
  • 社会的分離ストレス

2.脂肪細胞機能とエピジェネティクス【藤木克則/村田昌之】

  • 脂肪細胞分化のエピジェネティックな制御
  • 脂肪細胞機能とPPARγ
  • 脂肪細胞分化におけるPPARγ遺伝子のエピジェネティックな制御
  • 肥満によるPPARγのエピジェネティックな発現制御機構の撹乱

3.精神疾患とDNAメチル化【加藤忠史】

  • 脳におけるDNAメチル化
  • 脳におけるDNAメチル化の機能的意義と精神疾患
  • 一卵性双生児不一致例における研究

4.神経変性疾患とエピジェネティクス【岩田 淳/辻 省次】

  • ポリグルタミン病(polyglutamine disease)
  • アルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)
  • パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)
  • 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)

5.エピジェネティクス制御を伴った遺伝子発現変化に基づく慢性疼痛病態の統合的分子理解【成田 年/今井哲司/池上大悟/葛巻直子/牛島俊和/鈴木 勉】

  • 神経障害性疼痛下におけるDNAアレイ解析
  • 神経障害性疼痛による脊髄内細胞のDNAメチル化
  • 神経障害性疼痛による脊髄内細胞のヒストン修飾
  • 脊髄内non-coding RNAの神経障害性疼痛発現への関与
  • 神経障害性疼痛による脳内細胞のエピジェネティクス修飾

6.代謝疾患とエピジェネティクス【亀井康富/江原達弥/小川佳宏】

  • 胎児期の栄養環境と生活習慣病
  • 肥満・糖尿病とエピジェネティクス
  • 食品成分によるDNAメチル化制御

7.アレルギー疾患と自己免疫疾患─環境因子とエピジェネティクス【小林靖子/相澤 明/山田思郎/荒川浩一】

  • アレルギー疾患・自己免疫疾患の免疫学的病態
  • アレルギー疾患と環境,エピジェネティクス
  • 自己免疫疾患とエピジェネティクス
  • 環境因子の影響を受ける時期とエピジェネティクス

8.子宮筋腫のゲノムワイドDNAメチル化プロファイル解析【杉野法広/前川 亮/浅田裕美/山縣芳明】

  • 子宮筋腫とエピジェネティクス
  • 子宮筋腫におけるDNMTの発現
  • 子宮筋腫におけるゲノムワイドDNAメチル化異常の検索
  • 子宮筋腫におけるエストロゲン・レセプターとDNA メチル化異常

第6章 再生医療とエピジェネティクス

1.再生医療とエピジェネティクスの接点【梅澤明弘/西野光一郎】

  • 月経血由来細胞を分化誘導するエピジェネティクス修飾剤
  • ドナー細胞の培養過程におけるメチル化状態
  • ドナー細胞の有効性に関するバリデーション
  • 再生医療に関する薬事指針に記載されたエピジェネティクス

2.体細胞リプログラミングにおけるエピジェネティック制御【渡辺 亮/山田泰広】

  • 体細胞のリプログラミングとiPS細胞
  • 疾患特異的iPS細胞の医療応用
  • iPS細胞の医療応用へ向けた課題
  • エピジェネティック制御を基盤としたiPS細胞の品質管理
書評・感想
  • 最新の研究内容はもちろん、基礎的な内容も併せて解説されている点がとても参考になりました。
  • 基礎的な研究から疾患に関わる研究まで幅広く、しかもその分野が専門でない人にとってもわかりやすく、良い内容だと思います。

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  • 【本書名】実験医学増刊:エピジェネティクスと疾患〜基礎メカニズムと解析手法の最新知見からがん・神経・代謝・アレルギー疾患などへの応用まで
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