実験医学増刊 Vol.29 No.12

細胞内のリノベーション機構

タンパク質分解系による生体制御

ユビキチン,プロテアソーム,オートファジー,調節性プロテアーゼによる恒常性維持・刷新の新機構と,疾患への関与から創薬戦略まで

  • 村田茂穂,反町洋之/編
  • 2011年07月20日発行
  • B5判
  • 242ページ
  • ISBN 978-4-7581-0316-9
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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癌・神経変性疾患・免疫・シグナル伝達など多分野への関与が解明され,急速に発展している細胞内分解研究の最新レビュー集!関連疾患や細胞内分解系を標的とした創薬戦略,最新の研究方法論についても解説!

目次

概論 細胞内分解系によるリノベーションの分子機構に迫る【村田茂穂/反町洋之】

  • 細胞内分解系による多彩なバイオロジー
  • 細胞内分解研究の将来

Overview 細胞内分解研究の潮流─新世界を切り拓いた研究者たちの歴史【田中啓二】

  • 細胞内タンパク質分解研究の夜明け前
  • 黎明期のタンパク質分解研究とその後の動向
  • カルパイン
  • カスパーゼ
  • 膜結合型プロテアーゼ
  • オートファジー・リソソーム系
  • ユビキチン・プロテアソーム系

第1章 細胞内タンパク質分解システム

1.プロテアソームの多様性と機能制御【村田茂穂】

  • プロテアソームの構成と構造
  • 26Sプロテアソームによるタンパク質分解機構
  • プロテアソームの多様性による分解制御
  • プロテアソームの発現制御機構

2.みえてきた26Sプロテアソームの形成機構の全貌【佐伯 泰/福永圭佑】

  • CPの形成機構
  • RPの分子集合
  • RP-CP間の安定化

3.構造からみるプロテアソームの機能【水島恒裕/西尾和也】

  • 20Sプロテアソーム
  • 古細菌のプロテアソーム
  • 真核生物のプロテアソーム
  • 20Sプロテアソームと制御因子の結合

4.カルパインの組織機能論【反町洋之/秦 勝志/小野弥子】

  • 骨格筋と骨格筋特異的CAPN3
  • 胃粘膜と胃腸特異的CAPN8およびCAPN9

5.カスパーゼが織り成す組織のスクラップ・アンド・ビルド―組織リモデリングにおけるアポトーシスと細胞増殖の協調【中嶋悠一朗/三浦正幸】

  • アポトーシス細胞が誘導する細胞増殖:「代償性増殖」
  • 増殖細胞間の相互作用を介したアポトーシス:「細胞競合」
  • 増殖細胞によるアポトーシスの誘導~ショウジョウバエ腹部表皮再構築からの示唆~

6.γセクレターゼを標的とした疾患治療薬開発【富田泰輔/岩坪 威】

  • アルツハイマー病の発症機序
  • γセクレターゼの分子実態と切断機構
  • γセクレターゼ阻害剤の開発と応用
  • γセクレターゼモジュレーターの発見と応用

7.リソソームプロテアーゼの多様性とその病態生理学的役割【小池正人/内山安男】

  • リソソームプロテアーゼ
  • リソソームプロテアーゼ欠損マウスの解析
  • リソソームプロテアーゼ遺伝子異常とヒトの疾患とのかかわり
  • 中枢神経系におけるカテプシンDの役割についての遺伝学的解析

第2章 ユビキチンの多彩な生理機能

1.ポリユビキチン鎖の多様性とその機能【岩井一宏】

  • ユビキチン修飾系の他の翻訳後修飾との異同
  • 多様なポリユビキチン鎖が存在する意義とその機能
  • ユビキチン研究の今後の展開

2.ユビキチン鎖の多様性と認識機構【磯貝 信/杤尾豪人】

  • ポリUB鎖の構造
  • ポリUB鎖の認識

3.複雑化するユビキチンリガーゼの機能と多様性【畠山鎮次/渡部 昌】

  • ユビキチン・プロテアソーム系の生化学反応機構
  • ユビキチンリガーゼの多様性
  • 多様なユビキチンリガーゼによって制御される基質タンパク質

4.Cullin型E3リガーゼの機能と制御機構【中務邦雄/嘉村 巧】

  • ユビキチン修飾反応
  • Cullin型E3リガーゼの構成
  • Cullin型E3リガーゼの活性制御機構
  • Cullin型E3リガーゼにかかわる最新の話題

5.構造から見たユビキチン鎖形成の分子メカニズム【坂田絵理】

  • E1によるE2~ユビキチンチオエステル結合中間体の形成
  • 隔たりを埋めユビキチン鎖を伸長する
  • ユビキチン鎖の長さはどう決まるのか
  • ユビキチン鎖の結合様式を決定する

6.脱ユビキチン化酵素の制御機構【木村洋子】

  • 結合する因子による制御
  • その他の結合分子
  • 修飾因子による制御

第3章 オートファジーと細胞リノベーション

1.オートファジーにおける膜形成のダイナミクスと分子メカニズム【中戸川 仁/大隅良典】

  • Atgタンパク質が構成するオートファゴソーム形成システム
  • PASとは?
  • オートファゴソーム形成機構に残された最大の謎:膜形成のモードと膜の供給源

2.オートファジーを駆動するシグナリング【貝塚剛志/水島 昇】

  • 栄養状態に応じたオートファジー活性の調節
  • さまざまなストレスによって誘導されるオートファジー

3.哺乳動物におけるオートファジーの生理的役割【久万亜紀子/水島 昇】

  • 飢餓応答
  • 細胞内品質管理
  • 分化
  • 発生
  • 免疫
  • がん
  • その他

4.オートファジーと疾患【吉森 保】

  • 感染症
  • クローン病・炎症性疾患・免疫疾患
  • 変性疾患
  • がん
  • その他

第4章 細胞内分解がかかわるバイオロジートピックス

1.概日時計の分子サイクルを支えるリズミックなタンパク質分解【倉林伸博/深田吉孝】

  • 概日時計の分子メカニズム~分子フィードバックループ~
  • 時計タンパク質の分解制御

2.リガンド依存性転写因子の機能におけるユビキチン系の役割【大竹史明/藤井義明/加藤茂明】

  • リガンド依存性転写因子群の構造と機能
  • ダイオキシン受容体(AhR)とエストロゲン受容体(ER)のクロストーク機構
  • AhRはユビキチンリガーゼ複合体として機能する
  • リガンド依存性ユビキチンリガーゼ研究の広がり

3.植物ホルモンによって誘導されるタンパク質分解のメカニズム【村瀬浩司/平野良憲/箱嶋敏雄】

  • ジベレリン
  • オーキシン
  • ジャスモン酸

4.DNA損傷応答シグナリングにおけるユビキチン化【海野純也/高田 穣】

  • DNA二本鎖切断応答におけるポリユビキチン化シグナルカスケード
  • DNA複製ストレス応答におけるユビキチン化

5.新規直鎖状ポリユビキチン鎖生成によるNF-κBシグナル制御【徳永文稔/岩井一宏】

  • NF-κB活性化経路のユビキチン修飾系による制御
  • LUBACによる直鎖状ポリユビキチン鎖生成を介したNF-κB制御
  • NF-κBシグナル制御における多様なポリユビキチン鎖形成の役割

6.BAG6を介したタンパク質品質管理の新機構【川原裕之/南 亮介】

  • 新合成不良タンパク質とタンパク質分解
  • BAG6は,新合成不良タンパク質の認識と分解に関与する
  • BAG6は新合成不良タンパク質の凝集に関与する
  • BAG6/BAT3は新合成膜タンパク質のアッセンブリにも必要な疎水特異的シャペロンである
  • BAG6はMHCクラスⅠ抗原提示に関与する

7.ユビキチンシステムとオートファジーのクロストーク【小松雅明】

  • UPSとオートファジーのクロストーク
  • オートファゴソームに局在するユビキチンレセプター
  • p62による抗酸化ストレス活性化

8.パーキンソン病を制御するタンパク質分解【松田憲之/尾勝 圭/田中啓二】

  • 遺伝性劣性パーキンソン病の原因遺伝子PINK1とParkin
  • PINK1遺伝子の単離と,モデル動物を用いた解析
  • PINK1の細胞内局在と膜電位依存的な分解
  • PINK1を切断/分解するプロテアーゼの同定
  • PARLとPINK1に関する謎と今後の課題

9.バクテリアのユビキチン様タンパク質【八代田英樹】

  • 真正細菌のユビキチン様タンパク質Pup
  • 古細菌のユビキチン様タンパク質SAMP

第5章 細胞内分解を標的とした創薬

1.ユビキチン修飾およびユビキチン関連修飾を標的とした創薬【佐野宗一/岩井一宏】

  • 創薬ターゲットとしてのユビキチン修飾系
  • ユビキチン活性化酵素(E1)の阻害薬の開発
  • ユビキチンリガーゼ(E3)の阻害薬の開発
  • 脱ユビキチン化酵素の阻害薬の開発

2.プロテアソームを標的とした創薬【荒田義之/村田茂穂】

  • プロテアソームの生体内での働き
  • プロテアソーム阻害剤
  • プロテアソーム活性化薬

3.オートファジーをターゲットとした創薬【斉木臣二】

  • マクロオートファジー調節による抗腫瘍療法
  • マクロオートファジー調節による神経変性疾患治療

第6章 分解研究方法論

1.プロテオミクスが拓くタンパク質分解研究【中津海洋一/松本雅記/中山敬一】

  • プロテオミクスによるユビキチン化タンパク質の網羅的同定
  • ユビキチンリガーゼの網羅的基質探索
  • 質量分析計を用いたタンパク質の定量

2.オートファジーの評価方法【谷田以誠/上野 隆/和栗 聡】

  • オートファジーの過程でのLC3-Ⅱの増減
  • オートファジー研究に用いられる材料・試薬について
  • 長寿命タンパク質分解によるオートファジー活性測定:もっともクラシカルで確実な生化学的アプローチ
  • 内在性LC3-Ⅱのリソソームターンオーバーによる評価法の注意点
  • 内在性LC3の間接蛍光抗体法による顕微鏡観察の注意点
  • オートファジー過程の電子顕微鏡観察

3.細胞内分解研究におけるタンパク質相互作用ネットワーク解析【夏目 徹】

  • 最初のダイレクトナノLC
  • サンプル調製の自動化:基質が見える

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  • 【本書名】実験医学増刊:細胞内のリノベーション機構 タンパク質分解系による生体制御〜ユビキチン,プロテアソーム,オートファジー,調節性プロテアーゼによる恒常性維持・刷新の新機構と,疾患への関与から創薬戦略まで
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