実験医学増刊 Vol.30 No.5

シグナル伝達研究最前線2012

翻訳後修飾,解析技術,疾患との連関から創薬応用まで

  • 井上純一郎,武川睦寛,徳永文稔,今井浩三/編
  • 2012年03月15日発行
  • B5判
  • 224ページ
  • ISBN 978-4-7581-0321-3
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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シグナル伝達経路解析の新しい技術・方法論から,翻訳後修飾による制御機構およびその異常と疾患発症との関係,さらには創薬を中心とするトランスレーショナルリサーチの最前線まで紹介した,最新のレビュー集です.

目次

概論 若手研究者へのシグナル伝達【井上純一郎】

第1章 シグナル伝達経路解析の新しい方法論

1.高精度定量プロテオミクスによる翻訳後修飾シグナルの包括的動態解析【尾山大明/秦 裕子】

  • 翻訳後修飾プロテオミクスの解析技術最前線
  • リン酸化プロテオミクスとトランスクリプトミクスに基づくシグナル伝達ネットワークの統合システム解析

2.リン酸基アフィニティ電気泳動法(Phos-tag SDS-PAGE)を用いたタンパク質リン酸化修飾の高感度検出【木下英司/木下恵美子/小池 透】

  • ERK1/2の活性化・不活性化プロセスのモニタリング
  • 二次元蛍光ディファレンシャル解析法と組み合わせた細胞内タンパク質のリン酸化状態の差異解析
  • 細胞内で複数のキナーゼの制御を受けるβ-Cateninのリン酸化解析

3.シグナル伝達の1分子イメジング【楠見明弘/笠井倫志/吉田謙太/廣澤幸一朗/藤原敬宏/鈴木健一】

  • GPCRの働き方に迫る:本当にわかっているのか?
  • ラフト領域を利用したシグナル伝達

4.脂質メディエーター産生酵素オートタキシンの構造機能解析【石谷隆一郎/西増弘志/高木淳一/青木淳賢/濡木 理】

  • ATXの結晶構造
  • 脂質結合ポケットと脂質の認識
  • 疎水性チャネル

5.核内NF-κBの振動とその制御の数理モデル【大島大輔/市川一寿】

  • NF-κBの活性化パスウェイと核内NF-κBの振動
  • 核内NF-κB振動の数理モデル
  • 核内NF-κB振動の三次元数理モデルへの拡張
  • 核内NF-κBの振動パターンと遺伝子発現との関係

第2章 シグナル伝達機構研究の最前線

1.NF-κB経路の多様なポリユビキチン鎖による制御と疾患【徳永文稔】

  • ポリユビキチン鎖と生理機能との相関
  • NF-κB経路を制御する多様なポリユビキチン鎖
  • LUBACによる直鎖状ポリユビキチン鎖生成を介したNF-κB制御
  • 拡大するLUBACの細胞機能解明

2.パターン認識受容体のシグナル伝達経路の解明【熊谷雄太郎/審良静男】

  • TLRの構造とリガンド
  • TLRのシグナル伝達:アダプター分子群
  • TLRアダプター分子群の下流のシグナル伝達機構
  • TLR以外のPRRとそのシグナル伝達機構
  • PRRシグナル伝達研究の最近の展開

3.ユビキチンおよびユビキチン様タンパク質によるMAPキナーゼ経路の制御【久保田裕二/中 亮介/武川睦寛】

  • MAPキナーゼ経路とユビキチン・Ubl修飾系
  • ERK経路
  • MEKのSUMO化によるERK経路の活性制御とがん
  • ストレス応答MAPキナーゼ(JNK/p38)経路

4.受容体型チロシンキナーゼの細胞内からの活性化【横山一剛/手塚 徹/山梨裕司】

  • Dok-7によるMuSKの活性化
  • cytohesinファミリーによるEGFRの活性化
  • PIKE-Aによるインスリン受容体(IR)の活性化

5.SOCS1およびSOCS3によるT細胞分化と炎症の制御【鈴木麻友/坂口了太/吉村昭彦】

  • JAK-STAT経路
  • CIS/SOCSファミリー
  • エフェクターT細胞分化におけるSOCS1とSOCS3の機能
  • 抑制性T細胞(Treg)におけるSOCS1の機能

6.サーカディアンリズムを生み出す時計タンパク質の修飾シグナリング【吉種 光/深田吉孝】

  • 概日時計の発振系の分子骨格─フィードバックループ
  • 時計タンパク質の修飾シグナル

7.活性酸素種や親電子性物質によるシグナル伝達【田口恵子/山本雅之】

  • ROSと親電子性物質:反応性に富んだシグナル分子
  • 活性酸素種や親電子性物質によるシグナル伝達

8.チェックポイントキナーゼ1(Chk1)の新規制御機構とがん【後藤英仁/稲垣昌樹】

  • DNA保全チェックポイントにおけるChk1-セリン296の自己リン酸化反応の重要性
  • CDKとChk1の直接的ポジティブフィードバック機構
  • 増殖因子依存性に引き起こされるChk1-セリン280のリン酸化修飾

9.糖鎖修飾によるシグナル伝達の制御【古川鋼一/浜村和紀/大川祐樹/大海雄介/古川圭子】

  • 糖鎖修飾の様式と重要性について
  • extrinsicとintrinsicな因子からのシグナルについて
  • 糖鎖によるタンパク質機能の調節について
  • 糖脂質糖鎖による細胞シグナルの解析
  • ジシアリルガングリオシドによる増殖シグナルと接着シグナルの増強
  • 脂質ラフトにおけるシグナル調節のメカニズム
  • プロテオグリカンGAGによる分化・増殖シグナルの調節

10.DNA損傷を受けた細胞の運命決定─生存か細胞死か【鈴木 亨/山本 雅】

  • p53による生死選択機構
  • ヒストン修飾を介した機構
  • その他アポトーシス抑制作用を持つ分子を介した機構

第3章 シグナル伝達の破綻と疾患との連関

1.ウイルス発がんとNF-κBシグナル伝達の制御異常【斉藤愛記/山岡昇司】

  • 持続的なNF-κB活性化とウイルスタンパク質
  • ウイルスタンパク質の発現によるNF-κBシグナル伝達経路の制御破綻
  • ウイルス発がんを軸とした研究から新たながん治療標的分子の探索へ

2.Aktシグナルによるがん細胞の運動制御─アイソフォームに依存する分子機構【榎本 篤/高岸麻紀/高橋雅英】

  • Aktによるがん細胞の運動の制御
  • Aktの各アイソフォームによる機能の違い
  • Aktによる細胞運動の制御機構

3.腹が減ってからの戦(いくさ)─オートファジーを制御するTorシグナル経路【鎌田芳彰】

  • 栄養シグナル伝達の司令塔,TORC1
  • 飢餓シグナルが誘導するオートファジーとAtgタンパク質
  • TORC1によるAtg1複合体を介したオートファジー制御
  • What is true for the beer brewer(yeast)is true for the beer drinker(human)(酵母で正しいことはヒトでも正しい)

4.糖尿病とインスリンシグナル【窪田直人/植木浩二郎/山内敏正/門脇 孝】

  • インスリン作用の多様性
  • インスリンシグナル
  • インスリンシグナルの抑制・修飾機構

5.IGF-1シグナリングによる筋形成とその破綻による筋疾患【遠藤 剛】

  • IGF-1シグナリングは筋形成と筋肥大を司っている
  • IGF-1シグナリングは筋萎縮を抑制して筋肥大を促進する
  • IGF-1シグナリングは筋原線維形成を誘導する
  • IGF-1シグナリングは筋疾患とがんの症状を軽減するか?

6.核内GlcNAc修飾シグナルによるエピゲノムの制御機構【藤木亮次/加藤茂明】

  • 核内受容体を介するエピゲノムスイッチと分化制御
  • 核内GlcNAc修飾シグナル
  • 核内GlcNAc修飾シグナルの新たな作用点

7.Wntシグナルの異常と消化器がん【菊池 章/松本真司】

  • Wntシグナル伝達経路
  • Wntシグナルの異常と大腸がん
  • 胃がんとWntシグナルの異常

第4章 シグナル伝達経路を標的とした創薬および臨床研究の現状

1.ユビキチン修飾系を標的とする創薬シーズの探索【塚本佐知子/横沢英良】

  • ユビキチン活性化酵素(E1)を標的とする創薬シーズ
  • ユビキチン結合酵素(E2)を標的とする創薬シーズ
  • ユビキチンリガーゼ(E3)を標的とする創薬シーズ
  • 脱ユビキチン化酵素を標的とする創薬シーズ

2.Gタンパク質共役型受容体のゲノム創薬─肥満・糖尿病治療標的としての脂肪酸受容体をモデルに【辻本豪三】

  • オーファンGタンパク質共役型受容体(GPCR)のリガンド探索

3.タンパク質化学を基にした創薬開発【津本浩平】

  • 熱力学的解析と低分子創薬
  • 抗シガトキシン抗体10C9の場合
  • FBDDにおける物理化学的スクリーニング法(competitive SITE法)
  • ERK2を標的としたフラグメントスクリーニング

4.ALKに対する分子標的薬剤の開発【間野博行】

  • ALK関連腫瘍(ALKoma)
  • ALK酵素活性阻害剤による臨床試験
  • ALK阻害剤耐性変異

5.がん幹細胞に対する分子標的治療【手塚雄太/松尾有佳里/金子龍介/秋山 徹】

  • がん幹細胞の性質と起源
  • がん幹細胞を狙った治療薬の主な戦略
  • がん幹細胞に対する分子標的薬の例

6.セマフォリンによる免疫制御と疾患病原性【野島 聡/熊ノ郷 淳】

  • Sema3A/Plexin-A1による樹状細胞の細胞移動の制御
  • Sema4Aと多発性硬化症
  • Sema6D/Plexin-A1による骨ホメオスタシスの調節
  • その他のセマフォリンファミリーと疾患

7.EGFR阻害剤【津田享志,朴 成和】

  • EGFR活性化機序
  • EGFR阻害薬の開発(表1)
  • 抗EGFR抗体薬
  • 小分子EGFRチロシンキナーゼ阻害剤

8.NF-κB阻害薬のがん治療への臨床応用【堀江良一】

  • がん細胞の遺伝子変異と分子標的
  • NF-κB
  • NF-κB阻害薬の開発
  • NF-κB阻害薬

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  • 【本書名】実験医学増刊:シグナル伝達研究最前線2012〜翻訳後修飾,解析技術,疾患との連関から創薬応用まで
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