実験医学増刊 Vol.30 No.15
がんと代謝
何故がん細胞が好んで解糖系を使うのか？メタボローム解析が明かすがん細胞の本質から代謝研究がもたらす創薬・診断まで
- 2012年09月05日発行
- B5判
- 213ページ
- ISBN 978-4-7581-0325-1
- 5,940円（本体5,400円＋税）
- 在庫：なし
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永らく不明だったWarburg効果の詳細が、がん細胞の本質が、近年の技術革新によってみえてきた！最新メタボロミクスが明かすがんの代謝を大特集．がんをより深く知るために必読の28編！
目次
概論 がんの代謝研究の最前線─Warburgを超えて【曽我朋義】
- がん細胞はなぜ解糖系か？
- がん細胞におけるエネルギー代謝の調節機構
- がん細胞特異的な代謝
第1章 エネルギー代謝
1. Warburg効果【江角浩安】
- グルコースの代謝産物はATPだけではない
- 嫌気的解糖は乳酸量で推定可能か？
- がんの遺伝子変化と代謝
- Warburg効果研究のこれから
2. p53によるグルコース代謝の制御とがん抑制【田中信之】
- p53によるがん抑制分子機構
- ワールブルグ効果とp53
- p53欠損によるNF-κBの活性化とがん化への役割
- NF-κBによるグルコース代謝の亢進のメカニズム
- グルコース代謝亢進のポジティブフィードバック制御機構
3. ヘキソキナーゼとがんの代謝【尾華絵里子／安倍正博／山本武範／篠原康雄】
- 腫瘍細胞の活発な増殖を担うHK2
- ヘキソキナーゼのミトコンドリアへの結合に伴ったアポトーシス制御
- 腫瘍の臨床診断とHK2の発現レベル
- 抗腫瘍治療標的としてのHK2
- いまだ解き明かされていないヘキソキナーゼの謎
4. 発がんにおけるPKMスイッチ─意義と分子機構【田沼延公】
- がんにおけるPKMのアイソザイム変換
- M1とM2の機能的差異
- PKMスプライシング制御の分子機構
5. がんのエネルギー代謝とGSK3β【源 利成／川上和之】
- がん細胞のエネルギー代謝と病態
- エネルギー代謝特性を利用するがん治療法
- 慢性疾患の創薬標的GSK3βとがん
6. ミトコンドリアにおける活性酸素種生成とがんの代謝【竹永啓三／林 純一】
- ミトコンドリアにおけるROS産生と消去の機序
- ROSによるHIF-1αの安定化と解糖系の亢進
- ミトコンドリアDNA変異と転移
- ROSに起因するReverse Warburg effect
第2章 がん特異的代謝
1. IDH変異と発がん【小川誠司】
- IDH1/IDH2
- 変異の機能的な効果
- TET2とDNAメチル化制御
- IDH変異とDNAメチル化の障害
- IDH変異とヒストン修飾の異常
- IDH変異とHIF1αの異常
2. グルタミノリシス─がん細胞における代謝リプログラミング【広田喜一】
- グルタミノリシスと細胞増殖
- グルタミノリシスとオンコジーン・がん抑制遺伝子
- グルタミノリシスと代謝酵素遺伝子変異
- グルタミノリシスと解糖
- グルタミノリシスと治療・診断
3. メタボローム解析によるがんのフマル酸呼吸の解明【紙健次郎／冨塚江利子／坂井千香／北 潔／江角浩安／曽我朋義】
- フマル酸呼吸とは？
- 乏血性がんの微小環境と代謝
4. がんと脂質代謝【右田敏郎／馬島哲夫／清宮啓之】
- 脂肪酸を形づくるための酵素群
- 脂肪酸を活用するための酵素
5. チミジン代謝とがん【田畑 祥／秋山伸一】
- 正常組織，腫瘍組織におけるTPの発現
- PD-ECGFとTP
- TP-/-UP-/-マウスの作製
- TPおよび2-デオキシ-D-リボースの分子機構
- TPと5-FU
- TPの酵素活性阻害剤の開発
第3章 低酸素，酸化ストレス
1. HIFとがん細胞のサバイバル【福田 亮】
- HIFの分子生物学
- 低酸素/HIFによるがん細胞のサバイバル促進
2. がん細胞におけるKeap1-Nrf2システムの破綻【光石陽一郎／本橋ほづみ】
- Keap1-Nrf2システム：酸化ストレス応答の鍵因子
- がん細胞におけるNrf2の恒常的な安定化
- Nrf2はがん細胞のグルコースとグルタミンの代謝を変化させる
- がんにおけるNrf2阻害剤
3. がん幹細胞マーカーCD44による代謝制御【玉田真由美／末松 誠／佐谷秀行】
- がん細胞の糖代謝とp53
- CD44による糖代謝・エネルギー産生制御
- CD44とPKM2の相互作用による糖代謝制御機構
- CD44発現抑制による糖代謝流動変化の解析
- CD44発現による酸化ストレス抑制メカニズム
4. 発がんの隠れた主役鉄代謝【豊國伸哉】
- バイオ鉄の化学的性質について
- 鉄と発がん
- 異物発がんと鉄過剰の意外な関係
- 鉄発がん機構の解明とオキシゲノミクス
- 鉄代謝研究の発展
5. がん細胞の代謝異常とmicroRNA制御【吉岡祐亮／小坂展慶／加藤尚志／落谷孝広】
- miRNAとがん
- miRNAとエネルギー代謝
- miRNAと微量金属代謝
6. ERストレスとがん代謝【冨田章弘】
- ERストレスとUPR
- ERストレスとがん微小環境
- グルコース飢餓で作用するUPR阻害化合物
- UPR制御とミトコンドリア
- UPR制御とmTORシグナル経路
第4章 がん代謝と創薬研究
1. エピゲノムとがん【坂田-柳元麻実子／千葉 滋】
- がんにおける代謝
- 代謝異常を引き起こす遺伝子異常の発見
- 代謝異常とエピゲノム異常
- エピゲノムによる代謝異常
2. がん細胞における代謝異常とシグナル伝達【柳澤 聖／長田啓隆／高橋 隆】
- グルコース代謝シグナル
- アミノ酸代謝シグナル
3. オートファジーとがん代謝【小松雅明／蔭山 俊】
- オートファジーと腫瘍形成抑制
- オートファジーの破綻による腫瘍形成機構
- がんの増殖に貢献するオートファジー
4. がんの治療におけるmTOR/FOXO【平尾 敦】
- 栄養センサーmTORと発がん
- がんの治療標的としてのmTOR
- FOXOとがん治療耐性
5. アミノ酸トランスポーターとがん代謝【金井好克】
- アミノ酸トランスポーター
- がん細胞に発現するアミノ酸トランスポーター
- がん細胞型トランスポーターとしてのLAT1
- アミノ酸トランスポーターと代謝制御
- アミノ酸トランスポーター複合体
6. メタボローム解析による抗がん剤の作用【西牟田章戸】
- メタボローム─薬剤反応性研究における新たな研究領域
- 薬剤反応性研究におけるメタボローム解析の応用例
7. がんの代謝解析による薬剤標的探索【北川光洋／井本正哉】
- メタボローム解析に至った背景
- メタボローム解析の利用
第5章 がんの診断，代謝研究の新技術
1. PET診断【村上康二】
- 腫瘍診断における代謝画像（機能画像）の有用性
- FDGの基礎と臨床
- FDG以外の腫瘍イメージング製剤
- 低酸素イメージング製剤
- アポトーシス・イメージング製剤
2. 蛍光プローブの精密設計による新しい生細胞イメージング・in vivoがんイメージング【浦野泰照／神谷真子】
- 分子内光誘起電子移動に基づく蛍光プローブの論理的精密設計法の確立
- 空間局在の制御が可能な蛍光プローブ
- Activatable probesとAlways-ON probes
- 蛍光イメージングプローブの精密設計に基づくがん選択的蛍光イメージング
3. がん代謝システムの顕微質量イメージングによる解析【末松 誠／久保亜紀子／大村光代／菱木貴子／梶村眞弓／加部泰明／杉浦悠毅】
- 疾患メタボロミクスの包括的理解になぜIMSが必要か？
- がん・低酸素病態で変動する糖代謝経路
- 腫瘍におけるWarburg効果とその調節機構
- メタボローム技術によるCOの新規標的分子CBSの同定とメチオニン代謝を介したがん細胞機能の制御機構
- 定量的顕微質量イメージングによる病態解析技術の確立
4. メタボローム解析によるがんの代謝解析【平山明由／曽我朋義】
- メタボロミクスとその測定手法
- CE-MSによるメタボローム測定法
- CE-MSにおける試料の前処理
- データ解析
- がんの代謝解析への応用
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- 【本書名】実験医学増刊：がんと代謝〜何故がん細胞が好んで解糖系を使うのか？メタボローム解析が明かすがん細胞の本質から代謝研究がもたらす創薬・診断まで
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