栄養科学イラストレイテッド:分子栄養学〜遺伝子の基礎からわかる
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栄養科学イラストレイテッド

分子栄養学

遺伝子の基礎からわかる

  • 加藤久典,藤原葉子/編
  • 2014年06月23日発行
  • B5判
  • 231ページ
  • ISBN 978-4-7581-0875-1
  • 2,970(本体2,700円+税)
  • 在庫:なし
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これからの栄養学に必須の科目!なぜ人によって太りやすい・痩せやすいが分かれるのか?遺伝子・栄養・疾患の関係をやさしく解説!根拠ある栄養指導のために絶対欠かせない,実践にずっと役立つ知識が今,身につく!

目次

第1章 遺伝と分子生物学・分子栄養学の基礎【加藤久典】

1. 遺伝と遺伝子の基礎

2. 分子生物学とその歴史

  • DNA の増幅
  • 核酸の検出・定量
  • 塩基配列の解析
  • 近年・これからの技術の進歩

3. 栄養学の変遷と分子栄養学

第2章 細胞と生体分子【大石祐一】

1. 細胞の構造と機能

  • 細胞膜
  • 小胞体
  • ゴルジ体
  • エンドソーム
  • リソソーム
  • ペルオキシソーム
  • ミトコンドリア

2. 細胞と体

  • 表皮細胞と皮膚繊維芽細胞
  • 筋細胞
  • 骨細胞
  • 脂肪細胞
  • 小腸の細胞
  • 血液細胞
  • 細胞の分化と脱分化

3. 細胞を構成する生体成分

  • タンパク質
  • 核酸
  • 脂質

4. 代謝と酵素

  • 酵素とATP の役割
  • 糖代謝
  • 脂質代謝
  • アミノ酸代謝

第3章 DNAの複製と細胞分裂【三浦 豊】

1. 染色体の構造

  • 染色 体の構成要素
  • ヒトの染色体
  • 染色体の基本構造

2. DNA複製のしくみ

  • DNA 2本鎖をほどく
  • ヌクレオチドの付加
  • DNA ポリメラーゼの校正機能
  • プライマーの合成と除去
  • DNA シークエンシング

3. 細胞分裂

  • 細胞周期
  • 体細胞分裂と染色体
  • 減数分裂と遺伝のしくみ
  • [コラム] 核酸を食べる?

第4章 遺伝子の発現(タンパク質合成)【井上 順】

1. 遺伝子発現

2. RNA の構造

3. RNA の種類

4. RNA の合成(転写)

  • RNA ポリメラーゼによるRNA の合成
  • 転写の開始と終結

5. RNA プロセシング

  • 5′キャップ付加
  • ポリアデニル化
  • スプライシング

6. タンパク質の合成(翻訳)

  • 遺伝暗号(コドン)
  • tRNA
  • リボソーム
  • 翻訳の開始と終結

7. 翻訳後(折りたたみ)

8. 真核生物と原核生物の遺伝子発現の違い

第5章 遺伝子発現制御と細胞機能【井上 順】

1. 同じ遺伝子情報から異なった細胞がつくられるしくみ

2. 転写調節と転写因子

3. アクチベーターの構造

  • DNA 結合ドメイン
  • 転写活性化ドメイン

4. コアクチべーターとコリプレッサー

5. 栄養状態に応じた遺伝子発現制御

  • 空腹時にはたらく転写因子
  • 摂食時にはたらく転写因子

6. クロマチンの構造と遺伝子発現制御

  • エピジェネティック修飾

7. 翻訳調節

  • [コラム] 三毛猫とエピジェネティック修飾

8. タンパク質の翻訳後修飾

  • プロテアーゼによる切断
  • S-S 結合
  • リン酸化
  • 糖鎖付加
  • その他の修飾

9. タンパク質分解

  • タンパク質の半減期
  • タンパク質分解酵素

第6章 内分泌因子と栄養素による情報伝達機構【加藤久典】

1. 細胞間および細胞内の情報伝達

2. 細胞間情報伝達分子と受容体

  • イオンチャネル型受容体
  • 核内受容体
  • Gタンパク質共役型受容体
  • チロシンキナーゼ型受容体
  • サイトカイン受容体

第7章 さまざまな生命現象と遺伝子【花井美保】

1. 分化・発達

  • 遺伝子のオン・オフ
  • 栄養素による調節

2. 老化

  • エラー蓄積説
  • プログラム説

3. アポトーシス

  • アポトーシスとネクローシス
  • アポトーシスの分子機構
  • アポトーシスの意義

4. 免疫系

  • 生体防御の種類
  • 抗体

5. 時計遺伝子

  • 日周リズム
  • 体内時計
  • 時計遺伝子

第8章 ヒトの遺伝子【井上裕康】

1. ヒトゲノム

  • ヒトゲノムの構成
  • タンパク質をコードする遺伝子と偽遺伝子
  • 遺伝子ファミリー

2. 遺伝子多型

  • ゲノム変化と多様性:SNP,欠失/挿入,CNV,マイクロサテライト
  • ヒトが多様な表現型を獲得した背景
  • ゲノム情報を利用した進化学
  • [コラム] ピルビン酸キナーゼ(PK)アイソザイムの発見

3. 非コードRNA(non-coding RNA:ncRNA)

4. 性と遺伝子,インプリンティング

  • X染色体とその不活性化
  • Y染色体
  • 擬似常染色体領域(PAR, pseudoautosomal region)
  • インプリンティング

第9章 疾患と遺伝子【岸本良美】

1. 疾患と発症要因

2. 単一遺伝子疾患

  • 常染色体優性遺伝病
  • 常染色体劣性遺伝病
  • 伴性(X染色体連鎖性)遺伝病
  • 先天性代謝異常症

3. 多因子疾患

  • がん
  • 肥満
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 高血圧

4. 疾患遺伝子の探索方法

  • 単一遺伝子疾患の解析
  • 多因子疾患の解析法

5. エピジェネティクスと疾患

  • がんとエピジェネティクス
  • 生活習慣病胎児期起源説

第10章 食品成分と遺伝子【竹中麻子】

1. 絶食/摂食に応答した遺伝子発現の変化

2. 食品成分による遺伝子発現の制御

  • 三大栄養素による遺伝子発現制御
  • ビタミン,ミネラルによる遺伝子発現制御
  • [コラム] ビタミンD 受容体ノックアウトマウス
  • 非栄養素による遺伝子発現制御

第11章 分子栄養学研究の基礎技術【曽根保子】

1. 遺伝子を分離する

  • 電気泳動法

2. 目的の遺伝子を手に入れる

  • 遺伝子操作に関する酵素
  • 遺伝子操作に関する宿主とべクター
  • クローニングの原理
  • [コラム] β-ガラクトシダーゼの遺伝子(lacZ)によるブルーホワイトセレクション
  • 遺伝子ライブラリー

3. PCR 法で遺伝子を増やす

  • PCR(polymerase chain reaction)法
  • 定量PCR法
  • RT-PCR法

4. 遺伝子を検出する

  • ハイブリダイゼーション
  • ハイブリダイゼーションに用いられる標識

5. 遺伝子配列を決定する

  • 従来までの塩基配列決定法
  • 次世代型シークエンサーによる塩基配列決定法

第12章 遺伝子操作の応用技術【市 育代】

1. 遺伝子導入

  • 動物細胞における遺伝子導入技術
  • トランスジェニック(遺伝子導入)動物

2. 遺伝子ノックアウト

  • ノックアウトマウスの作製
  • コンディショナル(条件付き)ノックアウトマウス
  • RNA による遺伝子ノックダウン

3. 遺伝子治療

  • 遺伝子べクター
  • 遺伝子治療の対象疾患

4. クローン技術

  • クローン動物
  • クローン動物の問題点
  • 核以外にもあるDNA

5. 遺伝子組換え作物

  • 植物への遺伝子導入技術
  • 遺伝子組換え作物の今後

第13章 新しい分子栄養学の発展【藤原葉子】

1. ヒトゲノム計画と栄養学

  • ヒトゲノム計画
  • ゲノム解読からわかったこと
  • ヒトの多様性を生みだすもの
  • ヒトゲノムの多様性

2. 分子栄養学とニュートリゲノミクス

  • 作用メカニズムの解析
  • バイオマーカーの同定
  • テーラーメード栄養学への応用

3. テーラーメード栄養学:多様化する個人にあわせた栄養の考え方

  • 遺伝子多型とは
  • 遺伝子多型検査
  • 集団と個人

4. テーラーメード栄養学:日本での活用例

  • 葉酸代謝酵素と遺伝子多型
  • MTHFR 遺伝子多型と血中ホモシステイン濃度

5. テーラーメード栄養指導への今後の展望

6. 遺伝子診断と生命倫理

  • [コラム] 遺伝子シークエンスの進歩

『第10章 食品成分と遺伝子』より抜粋

分子栄養学 立ち読み1 分子栄養学 立ち読み2 分子栄養学 立ち読み3

−後略−

書評・感想
  • 近年、生物学・生命科学の分野において、生命現象を分子や遺伝子のレベルで解明していく「分子生物学研究」の発展はめざましく、現在も日進月歩で研究が進められている。本書は広く学生から大学教員、企業研究者なども含め、栄養学を学ぶ者や栄養学研究を行なう者を対象に、分子生物学の基礎から栄養学への応用までを網羅し、解説したテキストである。分子生物学と栄養学の橋渡し研究の一端を担うのに最適な一冊となっている。

    本書は13章よりなる。第1章から2章では分子栄養学についての導入部に始まり、細胞や生体分子に関する基本的な語句や事項について述べられている。さらに第3章から5章では、ゲノム遺伝子やRNA、転写、遺伝子発現制御、タンパク質の翻訳、といった分子生物学に必須の基礎的知識について説明されている。また、続く第6章から10章では、遺伝子発現調節や細胞内伝達機構といった分子機構と、栄養や疾患との関連性が分かりやすく解説されている。これにより、生体内において栄養素がどのように分子レベルで生体調節に関与しているのか、また様々な疾患や生命現象が分子生物学的な側面からどのようにとらえられるのか、といった応用的な内容についての理解が深まるようになっている。さらに第11章、12章では分子生物学研究における基礎的実験手技や用語についてわかりやすく解説している。たとえば、遺伝子操作や遺伝子改変マウスなど、他の栄養学テキストではあまり扱わないような事項についても触れており、分子栄養学を志す者向けに、様々な情報を提供する場となっている。また各章においては簡単な確認問題と、各問に対する詳細な解説が添えられており、管理栄養士の国家試験にも対応したつくりとなっている。

    これまでにも、分子生物学を学ぶための基礎的なテキストは多数存在しているが、本書は栄養学を学ぶ者を対象とし、栄養学的な視点を織り交ぜつつ、分子生物学をわかりやすく解説している点が特徴であろう。挿入されているイラストについても、出版元が得意とする分かりやすいイラストが多数掲載されており、初心者にとっても難なく分子生物学の世界に入り込んでいけるように工夫されている。実験手技や技術について割くページ数はそれほど多くないため、実際に分子生物学の手法をとりいれた栄養学実験を行なおうとする者にとっては、やや物足りない部分もあるが、分子栄養学を学ぶ上で広く様々な知識を得るために、まずは一読をおすすめする本である。

    飯田薫子(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科)
    『日本栄養・食糧学会誌 第68巻 第2号』より転載

  • 難易度、ボリューム共に丁度よく、教科書通りに進行して15回で終われる量でした。章末問題も解説付きで良かったです。

    公立大学栄養学部准教授

  • 栄養を学ぶ学生が生化学の基礎を習得した後に、発展した知識を得るために役立つと感じた。

    短期大学栄養学科講師

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  • 【本書名】栄養科学イラストレイテッド:分子栄養学〜遺伝子の基礎からわかる
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