インフルエンザはわれわれ医療者が最も診療する機会の多い疾患の1つですので,インフルエンザ診療に自信のある読者の方も多いのではないかと思います.しかし,あなたのインフルエンザ診療は本当に今日のスタンダードだと言えるでしょうか? 例えば,あなたは以下のようなインフルエンザ診療をしていませんか?
- 冬のインフルエンザ流行シーズンに発熱患者が受診したら,病歴聴取・診察前に迅速検査をしている
- インフルエンザだと思って行った迅速検査が陰性だった場合,翌日にもう一度検査をしている
- インフルエンザと診断した患者すべてに抗インフルエンザ薬を処方している
- インフルエンザシーズンは,感染予防のため病棟内でずっと同じサージカルマスクをつけて診療している
- 入院患者がインフルエンザを発症したら,家族,同室の患者,医療スタッフなどに片っ端から予防内服を開始する
- 医療従事者だが,インフルエンザワクチンは効果が不十分なため接種を受けていない
(中略)
日本の感染症診療が徐々に成熟し,かぜには抗菌薬は使用しない,血液培養は2セット採取する,といった“常識”が定着しはじめている昨今,インフルエンザ診療に関しては10年前と比べても大きく変わってはおらず,まだまだ未成熟の段階にあるのではないでしょうか. 本特集は,日本の臨床現場の最前線で多くのインフルエンザ患者を診療している初期研修医の先生方がスタンダードなインフルエンザ診療を行うための一助となることを目的としています.
必ず出会うけれどアプローチに迷いがちなインフルエンザの診療を専門医の経験とエビデンスから解説.「迅速検査はどんなとき有効?」「高齢者・小児のマネージメントは?」「予防内服は必要?」等の疑問に答えます!
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