難しく思われがちなECMO管理を,親しみやすい対話形式で基礎からやさしく解説,「患者に優しい管理」が考え方から身につきます.これからECMOを学びはじめたい医師やメディカルスタッフにおすすめの一冊!
今年は2009年以来の大流行で,インフルエンザによる重症肺炎や劇症型心筋炎患者が全国各地で発生しました.当院でもインフルエンザによる劇症型心筋炎,肺炎でVA-ECMOを回した症例を経験しました.医者15年を超えてくると,それなりにECMOの経験もあるし,学会発表したこともあります…ただし,私の場合はここのところ4年間が大学院生活でもあり,ずっと第一線でバリバリというわけでもありません….そのようなときに,もう一度基本的な呼吸生理から学べて実践的なECMO患者の診療で気をつける点がわかるような…できれば救急のレジデントやICUのナースさんにもわかりやすい本が何かないかな…と探しておりました.できれば昨今のECMO回路の進歩にも対応したupdatedな本はないかな…そのようなときに出合ったのがこの本です.
本書は,会話調になっているので,いわば一問一答形式ですぐに必要な情報にありつけます.しかも…この質問をしているのが研修医や看護師さんの設定ですが,救急医の私も聞きたい内容がちりばめられているところに感動です.著者の小倉先生や青景先生は実際に多くのECMO症例を経験し,かつ数々の疑問を解決してきたからこそ,読者が聞きたい質問とその答えにまでたどり着いているのだと思いました.さらに…きちんと引用文献までつけてくれているので,自分で興味があるところはさらに深めることができます.
また,読者に情報の羅列による記憶の飽和状態をつくらないように,極力無駄な情報を制限することによって,必要な目標値などが明確に理解できる,かつ頭に入るように工夫されているように思いました.
私の場合は,1回さーっと読んで,納得して,本棚に置いておいて…またECMO症例で迷ったり,わからなかったときにこの本で確認するといった使い道をしようと考えています.
ローテーションの研修医の先生の場合は,ICUをローテーションしたときにECMO患者の担当になっても,この本をしっかり読んで,上級医の先生のお話をよく聞いて,しっかりと患者さんに向かっていけば十分だと思いました.救急のレジデントの先生,ICUのナースさん,40歳のおじさん救急医でも誰でもこの本は楽しめて,かつ役に立つ本だと思います.ぜひご一読ください.
『レジデントノート2018年6月号』より転載
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