せん妄診療実践マニュアル

  • 井上真一郎/著
  • 2019年10月10日発行
  • B6変型判
  • 197ページ
  • ISBN 978-4-7581-1862-0
  • 3,630(本体3,300円+税)
  • 在庫:なし
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せん妄診療で,やるべきこと,気をつけるべきことを,現場に即して具体的に解説.診療フローに沿った構成と,情報やポイントをまとめた豊富な図表で,知りたいことがすぐわかる.薬剤の処方例,使い分けも多数掲載!

目次

はじめに

基礎編

1章 せん妄対策の予備知識

①せん妄対策とは
②「せん妄」とは
③「せん妄の3因子」について
④せん妄対策は「リスクの引き算」と考える

2章 他の疾患との鑑別〜まずせん妄の可能性を考えること!

①認知症との鑑別ー見分け方と対応
②うつ病との鑑別ー見分け方と対応
③アカシジア,レストレスレッグスとの鑑別ー見分け方と対応

3章 せん妄に対する予防的介入

STEP1 準備因子で患者のせん妄リスクを評価する

①高齢
②認知症
③脳器質性疾患の既往(脳梗塞,脳出血,頭部外傷など)
④せん妄の既往
⑤アルコール多飲

STEP2 せん妄ハイリスクの場合は医療者および患者・家族で共有する

STEP3 入院時におけるせん妄発症リスクの低減

①内服中のせん妄ハイリスク薬を減量・中止する
②不眠時指示をベンゾジアゼピン受容体作動薬以外で出すようにする
③環境調整/コミュニケーション

STEP4 入院後におけるせん妄発症リスクの低減

①身体管理を行う
②ハイリスク薬の使用回避
③環境調整/コミュニケーション
④評価

4章 せん妄に対する治療的介入

1.原因療法

①原疾患の精査・治療,原因薬剤の中止
②特に注意すべき直接因子
③低活動型せん妄

2.薬物療法

①薬剤を選択する
②用量を決める
③投与時間を決める
④評価する
⑤処方内容を再調整する

3.非薬物療法

①意識障害・注意障害を考慮した対応
②急性発症・日内変動を考慮した対応
③記憶障害/見当識障害/視空間認知障害/幻覚を考慮した対応
④睡眠・覚醒リズム障害を考慮した対応
⑤感情の障害を考慮した対応
⑥その他

4.せん妄への対応で留意するべきこと

実践編

1章 術後せん妄

はじめに

STEP1 準備因子で患者の術後せん妄リスクを評価する

STEP2 術後せん妄ハイリスクの場合は医療者および患者・家族で共有する

STEP3 術前におけるせん妄発症リスクの低減

①内服中のせん妄ハイリスク薬を減量・中止する
②不眠時指示をベンゾジアゼピン受容体作動薬以外で出すようにする
③環境調整/コミュニケーション

STEP4 術後におけるせん妄発症リスクの低減

①身体管理を行う
②ハイリスク薬の使用回避
③環境調整/コミュニケーション
④評価

術後せん妄に対する治療的介入

①薬物療法
②非薬物療法(促進因子の除去)

2章 アルコール離脱せん妄

はじめに

STEP1 準備因子で患者のアルコール離脱せん妄のリスクを評価する

STEP2 アルコール離脱せん妄ハイリスクの場合は医療者および患者・家族で共有する

STEP3-① アルコール離脱せん妄以外のせん妄を防ぐ

①身体疾患の治療/合併症の精査・治療
②ハイリスク薬の使用回避

STEP3-② アルコール離脱せん妄を防ぐ

①ビタミンの補充
②予防的薬物治療

アルコール離脱せん妄に対する治療的介入

3章 緩和医療におけるせん妄

はじめに

STEP1~4 緩和医療におけるせん妄に対する予防的介入

緩和医療におけるせん妄に対する治療的介入

①可逆性・不可逆性の評価について
②可逆性せん妄
③不可逆性せん妄

付録 薬剤リスト

索引

column

*ベンゾジアゼピン系薬剤と非ベンゾジアゼピン系薬剤について
*せん妄に関するカンファレンスのヒント
*せん妄の患者さんに服薬を拒否された場合
*身体拘束
*岡山大学病院せん妄対策チームの取り組み
せん妄診療実践マニュアル せん妄診療実践マニュアル せん妄診療実践マニュアル せん妄診療実践マニュアル
書評・感想
  • 一般的な専門書と違うところは、私たちがとても迷いやすい箇所の「対応の具体例」が記されていることでした。
    ボリュームもちょうどよく、本当に読みやすい内容でした。新人や若手はもちろん、教育的立場の方にも、多くの方にお読みいただきたい1冊です。

    臨床心理士(市中病院 精神神経科)

  • これまで,学会や講演のみで知られていた「岡山大学病院精神科リエゾンチーム」のせん妄対策のノウハウが,ついに書籍として多くの医療者に公開されることとなった!
    著者である井上真一郎先生は,他科連携を中心に行う“リエゾン精神医療”のスペシャリストである.特に,せん妄対策を,“どの施設でも! 誰にでも!”取り組める形で構造化した草分け的存在であり,その洗練されたアイデアと説得力のある解説には定評がある.その著者が満を持して書き下ろした本書について以下に簡単に解説する.
    本書は,基礎編と実践編の2部構成となっている.基礎編では,効果的・効率的なせん妄対策を行ううえで必要な予備知識について,疫学や病態などにはあえて触れずにまとめられている.これは,「臨床現場ですぐに活かせる超実践的なマニュアル本をつくりたい!」という著者の強い意気込みの表れと想像でき,実践的な知識に絞った内容となっている.
    まず,せん妄の3因子についてわかりやすく解説されており,適切なアプローチについての理解を深めることができる.また「せん妄対策はリスクの引き算である」というユニークな捉え方が強調されており,シンプルで受け入れやすいメッセージである.そして,せん妄との鑑別に苦慮する認知症やうつ病との鑑別ポイントについても,臨床的視点から詳しく述べられている.予備知識の確認の後は,効果的・効率的な対策や対応について,診療フローに沿って具体的な解説が続く.これを読むと,いかに予防が大切で効果的であるかがよくわかるとともに,予防対策としてできることが想像以上にたくさんあることが理解できる.
    そして,本書の最大の特徴の一つが,せん妄マネジメントのための処方例について,かなりのページを割いて具体的に解説されていることである.そのため,忙しい医療者にとって,せん妄の診断がつけば,すぐに実臨床で活用できるように工夫されている
    実践編では,「術後せん妄」「アルコール離脱せん妄」そして「緩和医療におけるせん妄」とシチュエーションごとに対策が紹介されており,多様なせん妄診療においても,各領域での注意点が把握しやすい.全体として,①予防,②せん妄の3因子,③時系列,④多職種介入,⑤スタッフ教育の5つの観点からの内容が,図表も豊富に取り入れて解説されており,ポイントも明瞭で極めて実用的な書籍であると感じる.せん妄診療に携わる初学者のみならず,これまですでに対応を行ってきたすべての医療者にとっても有用な実践書である.

    『レジデントノート2020年1月号』より転載

    谷向 仁(京都大学大学院医学研究科/同医学部附属病院 緩和医療科)

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