意外に知らない、いまさら聞けない バイオ実験超基本Q&A 改訂版
  • 内容見本0
  • 内容見本1
  • 内容見本2

意外に知らない、いまさら聞けない

バイオ実験超基本Q&A 改訂版

  • 大藤道衛/著
  • 2010年08月19日発行
  • A5判
  • 284ページ
  • ISBN 978-4-7581-2015-9
  • 3,740(本体3,400円+税)
  • 在庫:あり
PDFダウンロード

数多くの実験初心者を救ってきたベストセラーがついに改訂!「白衣を着る理由とは?」など,今さら聞けないような基礎知識から,実験の成否を分ける工夫やコツまで,研究生活で必ず役立つ情報が満載!!

目次

第1章  研究室で生活するための心構え

A.知っておきたい研究室をとりまく環境

  • 研究室にはどんな人が所属しているの?
  • 研究生活で守るべきルールとは?
  • バイオ研究支援企業とは何ですか?
  • 研究資金はどうやって集めるの?
  • 論文のレベルはどのように見極める?
  • 将来はどんな進路がありますか?

B.あなたは大丈夫? 実験室での服装,ふるまい

  • なぜ白衣を着なければいけないの?
  • 実験室にふさわしい身なりとは?
  • 実験室では静かにするのが当たり前?
  • 実験室で靴を履き替えるのはなぜ?
  • ラボ手袋はどんなときに使うの?

C.効率アップ! 実験室での仕事術

  • 実験をする際に携帯する道具とは?
  • 実験の引き継ぎをスムーズに行うには?
  • 過去のサンプルと実験データを上手く管理する方法は?
  • 実験報告書を上手く書くには?
  • 実験結果を効果的に発表するコツは?

第2章  バイオ実験で必要とされる基礎知識

A.実験を始める前に知っておきたい基礎知識

  • 実験に使う水の種類と使い分けを教えて!
  • サンプルは何℃で保存すればよい?
  • 危険な薬品やゴミはどう処理する?
  • “コンタミ”って何?
  • バイオハザードの物理的封じ込めP1〜4とは?

B.実験のために最低限必要な数学・化学の知識

  • “モル”の概念を理解したい!
  • 「濃度」と「絶対量」の関係は?
  • 覚えておくべき量の単位とは?
  • 濃度の単位にはどんなものがある?
  • DNA,RNAの大きさはどうやって表すの?
  • バイオ実験で統計的な方法が必要になるのはどんなとき?
  • 単位変換をスムーズに行う方法を教えて!
  • データの有効数字はどのように決める?

C.実験で苦労しないための勉強法

  • バイオ実験に必要なパソコンのスキルとは?
  • バイオ実験に英語力はどの程度必要?
  • 文献検索や情報収集のコツを教えて!
  • バイオ実験の勉強はどのようにしたらよい?
  • 遺伝子組換え操作を一通り学ぶには?

第3章  機器・試薬の取扱いのコツ

A.1人前になるための試薬調製・取扱いのコツ

  • 緩衝液の役割とは? どんな種類があるの?
  • 緩衝液の略号を教えて!
  • 「トリス塩酸緩衝液」の特徴とは?
  • 緩衝液に含まれる成分の役割とは?
  • 試薬や消耗品の選択方法を教えて!
  • 試薬の正確な分子量を知る方法とは?
  • 一度にどのくらいの量の試薬をつくればいい?
  • 試薬はなぜ母液をつくって保存するの?
  • 試薬調製で生じる誤差を減らすには?
  • 液体を混ぜるときに必ず知っておくべきことは?
  • 使いかけの古い試薬に新しい試薬を混ぜて使用しても大丈夫?
  • タンパク質を上手く溶かすコツは?
  • 少量の溶液に溶質を溶かす場合,メスアップは必要?
  • 微量の溶液を撹拌するときのコツは?
  • 濃塩酸を扱ったら,実験室に霧が….
  • 遮光や低温条件で保存すべき溶液とは?
  • 凍結保存した溶液を解凍する際のコツとは?

B.正確なデータを出すための機器・器具取扱いのコツ

  • キムワイプとティッシュはどう使い分ける?
  • メスシリンダーの正確な使い方を教えて!
  • ガラス器具を洗浄する際の注意点とは?
  • 培地をとるために口でピペットを吸っていたら注意されてしまった.なぜ?
  • マイクロピペットとガラスピペットどちらが正確?
  • 色々な種類のチップはどう使い分ける?
  • プラスチックチューブの特徴と使い分けを教えて!
  • pHメーターとpH試験紙はどう使い分ける?
  • トランスイルミネーター使用の注意点は?
  • 遠心分離で使う“rpm”と“g”の違いは?
  • 機器を使って安定したデータを出すには?

第4章  実験の原理とテクニック

A.できる人はここが違う! 実験の考え方

  • 対照実験(コントロール)が必要な理由は?
  • 実験の「再現性」や「正確さ」ってどういうこと?
  • 混ぜることの基本的な原理を教えて!
  • キットを使って実験したのに失敗した! なぜ?
  • 特定の核酸やタンパク質を検出する方法とは?
  • 実験の原理を理解するコツは?
  • 実験を失敗したとき,原因をつきとめるには?
  • 実験を中断するタイミングは?
  • 実験のスピードアップをはかるには?

B.DNA,RNA,タンパク質実験のコツ

  • DNA解析の流れを教えて!
  • DNA実験・RNA実験で注意すべきことは?
  • タンパク質実験で一番注意することは?
  • プローブとプライマーは同じもの?
  • DNAの分析にはなぜ電気泳動を使うの?
  • DNAやRNAの純度を簡単に調べる方法は?
  • 分子量,塩基対数はどうやって測定するの?
  • タンパク質の濃度を測る方法は?
  • DNAを特異的に検出する方法とは?
  • タンパク質を特異的に検出する方法とは?

C.目からウロコの遺伝子実験必須テクニック

  • 試薬やチューブのラベルには何を記載する?
  • フェノール抽出で水層はどこまで取る?
  • エタノール沈澱で失敗しないコツは?
  • PCRの非特異的なバンドは,なぜ現れる?
  • プライマー配列を簡単にデザインするには?
  • 耐熱性酵素選択のポイントを教えて!
  • PCR実験で安定したデータを得るためには?
  • 電気泳動で,サンプルを上手くウェルに添加するコツは?
  • DNAの電気泳動で使うゲルの濃度や種類はどうやって選ぶの?
  • 電気泳動では電流,電圧のどちらを一定にするのがいいの?
  • 電気泳動の色素液は何のために加えるの?
  • ブロッティングのときに,ゲルと膜の照合を間違いなく行う方法は?
  • CBB染色時の簡単な脱色方法とは?

D.コンタミにさようなら! 滅菌方法,無菌操作のコツ

  • 滅菌方法はどのように使い分ける?
  • バクテリアの植菌はクリーンベンチではなく普通の実験台で行って大丈夫?
  • なぜ細胞培養にCO2インキュベーターを使うの?
  • 培地に血清を入れるのはなぜ?
  • マイクロピペットを滅菌しなければならないときは? また,その方法は?

バイオ研究キーワード解説

A.ゲノム科学

  • ゲノム,DNA,遺伝子
  • ゲノム→トランスクリプトーム→プロテオーム→メタボローム
  • SNP(1塩基多型)
  • バイオインフォマティクス
  • システムバイオロジー

B.遺伝子解析基盤技術

  • PCR法
  • リアルタイムPCR法
  • シークエンシング法
  • RI,化学発光,蛍光標識
  • GFPテクノロジー
  • RNAiテクノロジー

C.変異・多型解析技術

  • PCR-SSCP法
  • Heteroduplex解析(HA)
  • ASO法
  • PCR-RFLP法

D.高速・網羅的解析機器

  • ハイスループットスクリーニング(HTS)
  • チップ型電気泳動
  • DNAチップとマイクロアレイ
  • 超高速シークエンシング技術

E.遺伝子医療と教育

  • 遺伝子診断,DNA鑑定
  • ゲノム創薬,オーダーメイド医療
  • iPS細胞
  • 遺伝子リテラシー教育

Q. PCRの非特異的なバンドは,なぜ現れる?■答えを表示する

A. コンタミ,プライマーのデザイン,アニーリングの温度設定などが原因です.

非特異的な増幅の原因には色々あります.よくある原因を列挙してみましょう.

(1)プライマーデザインに問題がある場合

例えば,GC含量が高かったり長さが短かったりして他の配列にもアニーリングしやすい場合があります.また,プライマーダイマーができている場合もデザインに問題があります.

対処:GC含量は50%を超えないようにデザインするようにします.また,マルチプレックスPCRで複数のDNA配列を複数のプライマーで増幅する場合は,可能な限りプライマーのTm値を一定にします.配列上,デザインが選べない場合は,高温になるまで酵素反応が始まらないホットスタートで対処できる場合もあります.ホットスタート法には,A) ワックス法,B)抗体結合耐熱性酵素を用いる方法,C) 組換えにより高温になってから活性をもつ酵素を用いる方法などがありますが,B),C) が一般的です.また,インキュベーター自体が高温になった状態でチューブをセットするなど,非特異的増幅を最小限にする方法が広く用いられています.

(2)アニーリングの温度が低い

アニーリングの温度が低すぎるために非特異的にプライマーが無関係な配列にアニーリングし非特異的な増幅が起こることがあります.

対処:アニーリング温度を振って検討します.

(3)伸長反応時間が長すぎたり,サイクル数が多すぎる

対処:伸長反応は,1サイクル当たり2分以内にします.サイクル数は,35サイクル以内がよいです.

(4)DNAポリメラーゼの種類の影響

市販されているさまざまな耐熱性酵素(DNAポリメラーゼ)により差が出ることがあります.

対処:酵素の性質を比較します.可能ならば先行サンプルを入手します.

(5)Mgイオン濃度による影響

対処:終濃度1.5 mMを中心に濃度検討を行います.濃度が高いと増幅率は上がりますが,非特異増幅も増えてきます.

(6)他の実験で増幅したPCR産物が,PCR反応仕込み中にコンタミした場合

PCR産物は低分子ですから,ピペッティングの際に産物が空中を舞って仕込み中のPCR反応液にコンタミする可能性があります.

対処:PCR反応の仕込みと増幅を行う部屋と,産物を解析する部屋は分けます.部屋の間取りを変えましょう.

★この他にも,できる研究者になるための実験のコツが満載です!

「再現性」や「正確さ」ってどういうこと?/実験のスピードアップをはかるには?/試薬調整で生じる誤差を減らすには?/機器を使って安定した データを出すには? …etc

Q. 緩衝液に含まれる成分の役割とは?■答えを表示する

A. 反応を促進(抑制)し,実験を安定に保つ役割があります.

緩衝液には,緩衝能を起こす成分ばかりでなく,塩,キレート剤,界面活性剤,金属などを含んでいることがよくあります.これらの成分は,実験を安定に保つために必要なものです.以下に遺伝子工学実験でよく用いる成分とその役割を示します.

◆緩衝剤

酢酸とその塩(酢酸緩衝液),リン酸1ナトリウムとリン酸2ナトリウム(リン酸緩衝液),トリスと塩酸(トリス緩衝液)他

◆界面活性剤

界面活性剤には,非イオン性界面活性剤とイオン性(陽イオン,両性,陰イオン)界面活性剤があり,さまざまな役割をもっています.

タンパク質と細胞膜の疎水結合の形成を弱める作用により膜系のタンパク質を溶出させることができます.

◆キレート剤

代表的なものにDNA分解酵素の阻害剤であるEDTAがあります.

◆還元剤

ジチオスレイトール(DTT),2-メルカプトエタノール(2-ME)などがあります.タンパク質のS-S結合を還元して切断,タンパク質の変性を促進します.SDS-PAGE(電気泳動)において,高次構造(立体構造)をもったタンパク質の変性に界面活性剤とともに寄与します.

◆金属

酵素の活性化には金属が必要なことがあります.

  • Mg2+:制限酵素,DNAポリメラーゼの活性化.DNA分解酵素も活性化されます.
  • K+:いくつかの制限酵素の活性化を起こします.
  • Na+:いくつかの制限酵素の活性化を起こします.

制限酵素反応にMn2+,Cu2+,Co2+,Zn2+などの金属イオンが加わるとスター活性が起こることがあります.

◆グリセロール

酵素タンパク質の制限酵素の保存溶液には最終濃度50%のグリセロールが含まれています.これは,保存中のタンパク質の安定化を図るものです.

◆ホルムアミド

ハイブリダイゼーション溶液に加えることがあります.見かけのTm値を下げ,低い温度(42℃)でのハイブリダイゼーションを可能にします.

◆BSA(bovine serum albumin)

低濃度の酵素タンパク質溶液にBSAを加えることで,チューブに加えた全タンパク質の濃度を上げて酵素タンパク質のチューブへの吸着を防ぐことができます.他に,ポリビニールピロリドンなどのポリマーを用いることもあります.

◆グアニジンチオシアネート

タンパク質の変性剤で,RNAの抽出におけるRNA分解酵素(タンパク質)の阻害剤として用いられます.

◆尿素

タンパク質や二本鎖DNAの変性剤です.サンガー法によるDNAシークエンシング実験の電気泳動で一本鎖DNAの状態を保つために用います.

初めて実験を行う場合は,成分の至適濃度を検討する必要があります.しかし,多くの実験は先人のデータが文献に掲載されているため,文献の条件を踏襲することがあります.できるだけ,原著論文を参照し,成分を加えた理由や濃度決定の根拠を確認しましょう.成分の意味を知ることで実験の問題解決や実験系の改良に役立ちます.

★この他にも,日々の実験に役立つ基礎知識が満載です!

危険な薬品はどう処理する?/“rpm”と“g”の違いとは?/「濃度」と「絶対量」の関係とは?/試薬調整で生じる誤差を減らすには? …etc

Q. なぜ白衣を着なければいけないの?■答えを表示する

A. 白衣には,自分を危険物から守る役割と,実験系を守る役割があります.

普段着で実験している人を見かけることがあります.白衣の袖口をまくっている人もいるし,まくっていない人もいます.白衣の役割は何でしょうか? 白衣には,自分を試薬,病原微生物などの危険から守る役割と,チリや自分の汗などを実験系に入れない役割があります.さらに,現在実験を行っているので,気を使って欲しいという周りの人へのアピールの意味もあります.しかし,白衣が実験の妨げになっては困ります.白衣を着た場合,前ボタンを閉め,袖を伸ばしてできるだけ体を覆い危険物から身を守る必要があります.しかし,必要に応じて,腕まくりをした方がよいときもあります.

◆化学実験の場合は,白衣の袖は伸ばします

酸・アルカリ,劇物などを用いる場合は,袖は伸ばし定石通りに体を覆います.酸やアルカリが体に触れるのを防ぎます.

◆遺伝子実験や培養では,白衣の袖はまくリます

  • (1)マイクロアッセイの場合,袖がエッペンドルフチューブなどのラックに並んだ小さいチューブを引っ掛けてしまう可能性があります
  • (2)手袋をする場合やエタノールでの消毒が必要な場合は,袖がない方が動きやすくなります
  • (3)DNAやRNAを直接扱う場合は,ラボ手袋をはめます.またRNAを扱う場合はマスクも着用しましょう.これは,汗や唾液などからのDNA分解酵素(DNase)やRNA分解酵素(RNase)の混入を防ぐことが必要だからです.このため,ラボ手袋の装脱着がしやすいように腕まくりをします

★この他にも,以下のような研究生活に関する「超」基本を掲載しています!

研究生活で守るべきルールとは?/研究資金はどうやって集めるの?/実験結果を効果的に発表するコツは?/バイオ実験に英語力はどの程度必要? …etc

購入方法・送料について

本書は全国の羊土社取扱書店にてご購入いただけます.店頭にて見当たらない場合は,下記情報を書店にお伝え下さい.

  • 【本書名】意外に知らない、いまさら聞けない バイオ実験超基本Q&A 改訂版
  • 【出版社名】羊土社

お近くに取扱書店が無い場合,特に海外でご覧になりたい場合,羊土社HPでのご注文および発送も承っておりますので,下記ご参照のうえ,注文をご検討ください.

羊土社HPでのご注文について

本書を羊土社HPにてご購入いただきますと,本体価格に加えて,送付先・お支払い方法などにより下記の費用がかかります.お手続き等詳細は書籍購入案内のページをご参照ください.

分類 項目 費用
国内 消費税 +340円
送料 +500円
手数料(代引きのみ) +300円
海外 航空便送料 第1地帯(アジア、グアム、ミッドウェイ等) +750円
第2地帯(オセアニア、中近東、北米、中米) +960円
第2地帯(ヨーロッパ) +960円
第3地帯(アフリカ、南米) +1250円
EMS便送料 第1地帯(アジア、グアム、ミッドウェイ等) +1400円
第2地帯(オセアニア、中近東、北米、中米) +2000円
第2地帯(ヨーロッパ) +2200円
第3地帯(アフリカ、南米) +2400円

※この表は本書のみご購入いただいた場合の費用をまとめたものです.他の書籍を同時に購入する場合はお申し込み金額や重量により費用が異なってまいりますのでご注意ください.

法人向け 購入のお問い合わせ

法人での書籍の一括購入につきまして,「見積書や請求書払い」「複数の発送先への対応」「研修用などで使用する書籍の選定についてのアドバイス」等、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。

こちらの書籍もお勧めいたします

  • 9784758122696
  • 9784758104135
  • 9784758122641
  • 9784758122627
  • 9784758121248
  • 9784758122603
  • 9784758125536
  • 9784897069272
  • 9784758107273
  • 9784758120036

本書が販売されている主な電子書店をご紹介いたします

電子版を購入する

サイドメニュー開く