口腔機能の問題はまさしく歯科の主戦場です.この質問の意図はオーラルフレイル(1章6参照),口腔機能低下症をスクリーニングするものです.年齢とともに口腔機能の生命線の歯科受診は年齢とともに低下します.医科と歯科の協働が1つの鍵となります.…
松本朋弘(公益社団法人 地域医療振興協会 練馬光が丘病院 総合診療科 総合診療 部門)
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あなたの患者さんがフレイル健診に該当したらどうする? そもそもフレイルとは何か? フレイルの評価の考え方からフレイルの原因と対応の最新の知識まであなたの臨床力をアップデート!最新フレイル健診にも対応!
このたび,若林秀隆 教授のご編集により「Gノート増刊フレイル高齢者,これからどう診る?」が上梓された.本書は3つの章から成る. 「第1章:あらためて,フレイルとは何か」においては,“フレイル”という概念,定義するモデル,各ドメインについてレビューされている.特に,社会的フレイルの稿における,フレイルをICF(国際生活機能)分類の3ドメイン:心身機能・構造,活動,参加で捉える生活機能モデルの必要性と,その測定の困難性について興味深く拝読した.そして,総合診療医は,個々の高齢者の生活目線でフレイルに関わるべきであると再認識した.
「第2章:最新!フレイルの原因と対応のアップデート」には若林先生ご自身による「医原性フレイル」に対する注意喚起の論文を皮切りに,サルコペニア,低栄養,ポリファーマシーはもちろん,メディカルウォーキング(医歩),社会的処方,まちづくりも含めたアプローチが解説されている.評者自身,リハ栄養,多職種連携などを駆使したアプローチのさらなる実践を誓った.同時に,フレイルに類似しているが治療可能な病態:言わば“偽フレイル”の鑑別診断についても触れていただけければと感じた.
本書には随所にコラムがあり,刺激的である.例えば,若林先生がプレフレイルであるという“告白”には,思わず口元が緩んだとともに,同年代の評者にも思いあたる節があり,なんとも言えない気持ちになった.
「第3章:いざ,フレイル健診に該当したらどうするか」では,フレイル健診の質問項目の各々について,「まず,この質問の“意味”を理解しよう」「回答評価とその原因検索,診察のポイントと具体例」「原因を踏まえて,実際どのように改善につなげるか」の項目ごとに詳説されている.回答が“陽性”であった場合の考え方,確認の質問方法とさらなるスクリーニングの必要性をはじめ,最も重要な具体的な支援や,どこへつなぐべきかが明示されており非常に助かる.さらに,余裕があれば回答が“陰性”であっても確認する必要性が説かれており,本書は総合診療医をはじめとする医師や多職種がフレイルへ正面から向き合うためのガイドブックであると感じた.
また,フレイル健診の質問項目の策定に携われた飯島勝矢先生のご論文を拝読することで,フレイル健診が,高齢者における保険事業と介護予防の一体化,疾病予防と生活機能維持の両立,個別支援(ハイリスクアプローチ)と通いの場等への積極的な関与等(ポピュレーションアプローチ)の双方を実現することをめざしていることがイメージしやすくなった.そして,質問の背景と目的を理解してこそ“真のフレイル健診”へつながると実感した.
本書の内容は,その意図として,フレイルを「介入によって可逆的な状態」として捉えることは当然である.一方,フレイルは老化・生理的な加齢現象で“老いの兆候”である部分もあるように思われ,ときに身体機能障害と表裏一体であったり,すべての高齢者はある時期を越えると不可逆的な退行性変化をとるのも事実である.一人の患者と継続的に関わる総合診療医は,超高齢社会における広義のフレイル対策としてアドバンス・ケア・プランニング(advance care planning:ACP)の視点をもつことも欠かせないと思われ,この点も機会を捉えてご解説をいただきたい.
フレイル健診は2020年4月から開始されたが,新型コロナ感染症の影響を受け,その実施が遅れたばかりか,運動・食・人とのつながりへの制約から高齢者にフレイルが生じやすい状況となり,ますます意義が大きくなっているといえよう.本書が多くのフレイルに関わる方々にとっての座右の書となり,フレイル健診がより有効で確立された施策となることを切に願う.
『Gノート2020年12月号』より転載
木村琢磨(HAPPINESS館クリニック/埼玉医科大学 総合診療内科 教授)
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