[副院長・広島大学医学部臨床教授]日野文明 [診療部長・広島大学医学部臨床教授]花田敬士 [主任部長]天野 始,平野巨通 [部長]小野川靖二,飯星知博,福本 晃,橋本義政 [医員]3名
2011年5月に全面移転開院となりました.最新の設備,他科および地域診療所との強固でかつ良好な連携に恵まれ,早朝から症例検討・診療に精力的に取り組み,地域医療圏から全国に質の高い知見を発信しています.
当院は広島県東部の尾道市(人口約15万)の中核急性期病院であり,約45万人の医療圏を担当しています.2011年5月,待望の新築移転開院により最新の設備が整った病院に生まれ変わりました.診療科は計21で,病床数:393床,医師数:89名(うち初期研修医6名)で構成されています.研修医の教育のみならず卒前の学生教育も盛んで,広島大学医学部臨床教授が計4名在籍しており,毎年広島大学の5~6年生が20~30名研修に訪れ,『研修医室』はいつも若手医師や学生で賑わっています.広島大学以外の学生さんも頻回に見学に訪れています.
消化器内科は“常に全国に通用する診療を目指し,良質で質の高い医療を地域医療圏に還元すること”を活動目標としています.病床は約70~80床で,病棟担当医は11名です.消化管,肝臓,胆膵の各分野に熱意ある経験豊富な指導医が配置され,若手医師を連日指導しています.後期研修医は3年間で超音波関連,内視鏡関連の診断と治療,IVR,化学療法などを修練する機会が公平に与えられます.
消化器外科など院内他科との相互連携は非常に良好で,時間外でも難渋する症例の相談は電話一本でOK.即座に各科の医師によるカンファレンスが適宜開催されており“症例をチームで診る”意識が非常に高いのが特徴です.
当科の朝は早くAM7:30ころから各種カンファレンス,症例検討会,キャンサーボードカンファレンス(写真左),英文抄読会などが毎日行われています.また病理医の多大な協力のもと,毎週火曜日夕方に術後・病理カンファレンスが開催され,画像と術後病理の詳細な比較検討が行われ,若手医師の修練の場となっています.
また連携施設にも積極的に病床は開放されており,地域連携施設の「登録医」の先生方が,木曜午後などの休診時間を利用して病棟主治医と入院患者を回診する風景も日常化しており,「地域に根ざした医療」を学ぶことができます.
当院では診療科の枠を超えて,疾患および病態に特化した「センター」が整備されています.例えば消化器疾患関連では「内視鏡センター」,「肝臓病センター」,「化学療法センター」,「リニアックセンター」などです.今秋「IBDセンター」が設立される予定です.「内視鏡センター」(写真右)は消化器内科医師とエキスパートナースの協働で24時間運用され,夜間・休日でも約30分で緊急内視鏡検査の準備が整う体制となっており,地域の連携施設から大きな信頼を得ています.なお,当院には内視鏡技師資格を有するエキスパートナースが約30名勤務しており,外来検査から病棟業務に至るまで一貫して質の高い看護を展開しています.
’10年の検査実績は,内視鏡関連が年間約7,200件(上部4,200件,下部2,000件,ERCP関連500件,EUS関連500件)で,このうち治療処置件数は消化管関連626件(うちEMR 337件,ESD 63件),肝臓関連310件(うちRFA 74件,TACE 132件),胆膵関連442件(うちEST 142件,EBD 167件)でした.また,吐下血,胆道ドレナージなどの緊急内視鏡検査・治療を約250件行いました.いずれの検査・処置の件数も年々増加傾向にあります.
自らの診療レベルを厳しく検証する意味で,積極的に学術活動を奨励しています.’09年度の当科から発信された著書・論文は計16編,学会・研究会発表は計121報でした.消化器内科をローテーションする初期研修医には消化器関連学会地方会での発表および症例報告の作成を,後期研修医には消化器関連全国学会(JDDWなど)での発表および学術誌への投稿を半ば義務づけて指導しています.
特に胆膵領域では,「小膵癌診断体制の構築」,「膵管内乳頭腫瘍の診断と治療」,「内視鏡的消化管・胆道ステント」に関して全国の胆膵専門医とともに活発に活動しており,日本膵臓学会および日本胆道学会の各種委員会,膵癌診療ガイドラインの改訂委員会にも参画しています.
当院が所属する尾道市医師会とは良好な病診連携が構築されており,病診が連携して展開する「地域連携クリニカルパス」が多数整備されています.消化器関連では胃癌,大腸癌,胆膵癌などのパスが機能しています.なかでも「小膵癌診断体制の構築」は,尾道市など行政の御協力もいただきながら,’05年から尾道市医師会の公式プロジェクトとして展開されており,’07年以降現在まで1cm以下の膵癌が合計16例術前診断されるなど,膵癌の予後改善に関して大きな成果をあげつつあります.
皆さんも風光明媚な尾道で“心技体の揃った全国に通用する良質な消化器内科医”を目指して共に頑張りませんか.都市圏の施設や大学病院などでは決して味わうことのできない,地域に根ざした医療を実践しながら,全国の仲間との交流も可能な環境が,最新の設備とともに皆さんをお待ちしています.見学等はいつでも可能ですので,御一報下さい.
※本ページの情報は消化器BooK「緊急時に迷わない!消化器症状への救急対応」掲載時のものです.
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