実験医学増刊 Vol.27 No.2

病態の理解と治療をめざす

癌と微小環境

癌幹細胞,浸潤・転移,血管新生のメカニズムと環境応答を標的とした治療・創薬の新展開

  • 江角浩安,高倉伸幸,宮園浩平,森 正樹/編
  • 2009年01月20日発行
  • B5判
  • 226ページ
  • ISBN 978-4-7581-0296-4
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
実験医学誌 定期購読のご案内
PDFダウンロード

血管新生阻害剤の承認,癌幹細胞への注目など,癌研究は癌細胞から周辺組織との相互作用へ新たな展開をみせようとしています.これら「微小環境」から俯瞰する癌研究の現在をご紹介します.

目次

概論 癌の微小環境:TGF-βシグナルとの関連から【宮園浩平】

1.TGF-βシグナル伝達機構とTGF-β抑制剤

2.TGF-βと癌・間質の相互作用

3.TGF-βによる免疫制御

4.TGF-βと癌の骨転移

5.TGF-βと血管新生・リンパ管新生

第1章 癌幹細胞

1.ポリコーム複合体による癌幹細胞の制御機構【千葉哲博/岩間厚志】

  • ポリコーム複合体とヒストン修飾
  • 幹細胞制御におけるポリコーム複合体の機能
  • 癌幹細胞におけるポリコーム複合体の役割
  • 癌幹細胞システムにおけるエピジェネティクス制御

2.脳腫瘍における癌幹細胞【近藤 亨】

  • グリオーマ幹細胞の起源
  • グリオーマ幹細胞の特徴
  • グリオーマ幹細胞と微小環境
  • グリオーマ幹細胞の分離
  • グリオーマ幹細胞をつくる

3.白血病幹細胞【竹中克斗/赤司浩一】

  • ヒト造血幹細胞・白血病幹細胞のアッセイ系
  • ヒト急性骨髄性白血病幹細胞の同定
  • 急性骨髄性白血病幹細胞の表面形質
  • 急性骨髄性白血病幹細胞の発生機構・発生起源
  • 白血病幹細胞のニッチ
  • 白血病幹細胞を標的とした新規治療法の開発
  • 今後の展望

4.大腸癌における癌幹細胞【原口直紹/森 正樹】

  • CD133+細胞
  • CD44+細胞およびEpCAM+/CD44+/CD166+細胞
  • CD133+/CD44+細胞

5.肝・膵癌における癌幹細胞の特性解析【谷口英樹】

  • 肝・膵癌を対象とした癌幹細胞の分離・同定
  • 肝臓における組織幹細胞と癌化の関連性

6.肉腫幹細胞と組織幹細胞【戸口田淳也】

  • 肉腫について
  • 肉腫の起源細胞
  • 肉腫の分類ー遺伝子変異の特徴より
  • 肉腫に関連する組織幹細胞
  • 組織幹細胞由来を示す事実ー臨床所見より
  • 組織幹細胞由来を示す事実ーin vitro実験結果より
  • 組織幹細胞由来を示す事実ーin vivo実験結果より
  • 癌化関連遺伝子と多分化能の相互関係
  • 再び肉腫幹細胞

7.抗癌剤耐性のメカニズム〜特に癌幹細胞の観点から【三吉範克/石井秀始/森 正樹】

  • 癌幹細胞とは?:定義と性質
  • 癌幹細胞の分化能
  • 抗癌剤耐性のメカニズム

第2章 癌と間質の相互作用

1.癌間質線維芽細胞の起源と働き【落合淳志】

  • 癌間質線維芽細胞の起源
  • 癌間質線維芽細胞の働き
  • 癌幹細胞とニッチ形成間質細胞

2.発癌・悪性化における癌間質としての炎症細胞の役割【岡田 太】

  • ゲノム不安定性の誘導
  • 炎症関連メディエーター

3.癌間質における線維芽細胞:CAF(cancer-associated fibroblast)【齋藤 朗/宮園浩平】

  • 癌細胞と線維芽細胞の相互作用
  • 分子マーカーおよび細胞の起源
  • 遺伝子発現プロファイル
  • CAFにおける遺伝的異常
  • CAFによる癌微小環境の構築
  • CAFを標的とした治療法

4.癌の浸潤・転移における間質細胞の役割【北村剛規/武藤 誠】

  • 腫瘍随伴マクロファージ
  • 未分化骨髄球
  • 癌関連線維芽細胞
  • 間葉系幹細胞

5.膵癌の浸潤・転移におけるEMTの役割【山 剣/真杉洋平/坂元亨宇】

  • 膵癌の発癌機構
  • 膵癌細胞の形態および遺伝子発現変化にみられるEMT/MET
  • 微小環境が誘導するEMT

6.癌転移における白血球の役割【丸 義朗】

  • 白血球とは何か
  • 転移とは何か(細胞移動)
  • 細胞転換という概念
  • 細胞間相互作用
  • 病原体センサーの内因性リガンドの発見
  • 炎症との関係
  • VEGF阻害剤抵抗性の意味するところ

7.骨微小環境は転移癌細胞の寄港地【米田俊之】

  • 骨転移に関与する骨環境の要因
  • 骨に転移する癌細胞の特性
  • 骨環境における癌細胞の特性の変化

第3章 癌と血管新生

1.血管新生にかかわるサイトカイン/成長因子〜VEGFとNotchを中心に【渋谷正史】

  • VEGFとその受容体
  • Delta-Notch系と血管構築の制御

2.血管新生における内因性抑制機構〜ネガティブフィードバック調節因子:Vasohibin【小林美穂/佐藤靖史】

  • タンパク質分解断片または中間代謝産物
  • 遺伝子からの発現タンパク質
  • ネガティブフィードバック分子

3.腫瘍血管新生における血管の成熟化/正常化【高倉伸幸】

  • 腫瘍血管の成熟化/正常化による癌治療への効果
  • 腫瘍内の血管成熟化による腫瘍形成への影響
  • Angiopoietin-1による血管成熟化と血管新生促進作用は壁細胞依存的である
  • 腫瘍中心部と腫瘍辺縁部の血管の相違

4.癌増殖過程における骨髄由来細胞と微小環境とのクロストーク【服部浩一/西田知恵美/石原誠人/Heissig Beate】

  • 血管新生因子による骨髄由来細胞の動員
  • VEGFR1陽性細胞による「前転移ニッチ」の形成
  • 癌増殖における線維芽細胞の活性化とCXCL12産生の意義
  • 「血管新生ニッチ」における骨髄由来細胞の機能
  • 癌増殖における血液線維素溶解系亢進の意義

5.癌組織中の血管内皮細胞の異常性〜遺伝子発現から染色体異常まで【樋田京子/秋野文臣/樋田泰浩】

  • 腫瘍血管の特異性
  • 腫瘍血管内皮細胞の特異性の解明
  • 腫瘍血管内皮細胞の染色体異常
  • 腫瘍血管内皮細胞が染色体異常をもつことの重要性
  • 腫瘍血管内皮の核異型のメカニズム

6.リンパ管形成を司る分子機構【渡部徹郎】

  • リンパ管の構造について
  • リンパ管発生
  • リンパ浮腫
  • リンパ管新生を司るシグナル因子群
  • 炎症におけるリンパ管新生

7.癌リンパ行性転移〜癌組織におけるリンパ管の役割と生物学的特性【平川聡史/福田尚代/岡崎秀規/橋本公二】

  • VEGF-C,VEGF-D-VEGFR-3シグナルを介した腫瘍リンパ管新生
  • 他のVEGFシグナルを介した腫瘍リンパ管新生
  • 腫瘍リンパ管新生にかかわる新たな増殖因子
  • マクロファージによる腫瘍リンパ管新生
  • 腫瘍リンパ管新生を誘導する細胞外マトリックス
  • 腫瘍リンパ管内皮細胞に発現する遺伝子群
  • リンパ節におけるリンパ管新生:リンパ行性転移の促進機序

第4章 微小環境応答と癌治療

1.小胞体ストレス応答を標的とした癌治療【齋藤さかえ/冨田章弘】

  • ストレスセンサーとしての小胞体
  • 癌における小胞体ストレス応答
  • 癌治療の戦略としての微小環境

2.ハイポキシアを標的とした抗癌剤【宇都義浩/中田栄司/永澤秀子/堀 均】

  • 低酸素環境に対する癌の適応応答を標的とした薬剤(分子標的薬剤)
  • 癌の低酸素環境において特異的に抗腫瘍効果を発揮・増強する薬剤(低酸素増感剤)

3.血管新生阻害薬【大津 敦】

  • 血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に作用する薬剤
  • 血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)に作用する薬剤

4.嫌気性菌を用いた固形癌の治療【谷口俊一郎】

  • 固形癌組織が低酸素状態という事実とその理由
  • 固形癌治療に菌を用いる研究

5.MT1-MMPを標的とした癌間質療法の可能性【坂本毅治/清木元治】

  • MT1-MMPの機能と最近の癌細胞での研究
  • 線維芽細胞:浸潤転移への働き
  • 血管・リンパ管新生
  • 炎症細胞:細胞接着運動への働き

6.癌特異的治療法の開発:栄養飢餓耐性を標的として【江角浩安】

  • 栄養飢餓
  • ヒトの癌組織は本当に低酸素で低栄養状態か
  • 栄養飢餓を標的とした治療薬の開発

7.イメージング技術の進展と癌治療【小林久隆】

  • 狭義の分子イメージング:癌特異タンパク質を標的に
  • 代謝イメージング:代謝活性を指標に
  • 生理機能イメージング:間質の特異機能を標的に

8.メタボローム解析による癌微小環境のエネルギー代謝の解明【紙健次郎/冨塚江利子/冨田 勝/北 潔/江角浩安/曽我朋義】

  • CE-MSによるメタボローム解析技術
  • 乏血性癌の微小環境と代謝
  • メタボローム解析による癌細胞の特殊なエネルギー代謝機構の解明

購入方法・送料について

本書は全国の羊土社取扱書店にてご購入いただけます.店頭にて見当たらない場合は,下記情報を書店にお伝え下さい.

  • 【本書名】実験医学増刊:病態の理解と治療をめざす 癌と微小環境〜癌幹細胞,浸潤・転移,血管新生のメカニズムと環境応答を標的とした治療・創薬の新展開
  • 【出版社名】羊土社

お近くに取扱書店が無い場合,特に海外でご覧になりたい場合,羊土社HPでのご注文および発送も承っておりますので,下記ご参照のうえ,注文をご検討ください.

羊土社HPでのご注文について

本書を羊土社HPにてご購入いただきますと,本体価格に加えて,送付先・お支払い方法などにより下記の費用がかかります.お手続き等詳細は書籍購入案内のページをご参照ください.

分類 項目 費用
国内 消費税 +540円
送料 0円(5,000円以上,国内送料無料)
手数料(代引きのみ) +300円
海外 航空便送料 第1地帯(アジア、グアム、ミッドウェイ等) +890円
第2地帯(オセアニア、中近東、北米、中米) +1140円
第2地帯(ヨーロッパ) +1140円
第3地帯(アフリカ、南米) +1490円
EMS便送料 第1地帯(アジア、グアム、ミッドウェイ等) +1540円
第2地帯(オセアニア、中近東、北米、中米) +2180円
第2地帯(ヨーロッパ) +2400円
第3地帯(アフリカ、南米) +2740円

※この表は本書のみご購入いただいた場合の費用をまとめたものです.他の書籍を同時に購入する場合はお申し込み金額や重量により費用が異なってまいりますのでご注意ください.

法人向け 購入のお問い合わせ

法人での書籍の一括購入につきまして,「見積書や請求書払い」「複数の発送先への対応」「研修用などで使用する書籍の選定についてのアドバイス」等、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。

こちらの書籍もお勧めいたします

  • 9784758113779
  • 9784758113786
  • 9784758113748
  • 9784758122771
  • 9784758122146
  • 9784758113762
  • 9784758113755
  • 9784758125857
  • 9784758102933
  • 9784758102865

本書が販売されている主な電子書店をご紹介いたします

電子版を購入する

サイドメニュー開く