実験医学増刊 Vol.29 No.2

秒進分歩する癌研究と分子標的治療

発癌から浸潤・転移に至るメカニズム解明とトランスレーショナルリサーチの最前線

  • 原 英二,平尾 敦,矢野聖二,佐谷秀行/編
  • 2011年01月20日発行
  • B5判
  • 228ページ
  • ISBN 978-4-7581-0312-1
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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Ras,Wnt,miRNA,癌幹細胞,テロメア,炎症,EMT,細胞老化などが明らかにする癌の性質から,進展著しい分子標的薬,ペプチド治療など治療の最前線まで網羅.癌研究の現在がわかる決定版

目次

第Ⅰ部 基礎研究編:発癌から浸潤・転移に至るメカニズム解明

概論 秒進分歩する癌生物学【原 英二】

  • 発癌シグナルの発生機序
  • 発癌シグナルと癌抑制機構のクロストーク
  • 悪性化へのシグナル

第1章 発癌シグナルの原因究明

1. Ras シグナル制御と発癌【高橋智聡】
  • Ras シグナルの上方制御
  • Ras 活性の制御
  • Ras シグナルの下方制御
  • Ras シグナルのアキレス腱を探せ
2. Wnt シグナルネットワークの異常と癌【菊池 章/佐藤 朗/松本真司】
  • Wnt シグナル伝達経路
  • β - カテニン経路の異常と癌
  • β - カテニン非依存性経路の異常と癌
  • Wnt5a による癌細胞の運動・浸潤能促進の分子機構
  • Wnt シグナルと創薬
3. 癌の発生・進展におけるTGF- βシグナル【生島弘彬/宮園浩平】
  • 細胞増殖におけるTGF- βシグナル
  • 上皮間葉転換におけるTGF- βシグナル
  • 抗腫瘍免疫におけるTGF- βシグナル
  • 癌微小環境におけるTGF- βシグナル
  • 癌の骨転移におけるTGF- βシグナル
  • 癌幹細胞におけるTGF- βシグナル
4. ゲノムネットワークを用いた網羅的実験データの解析技術【辻 真吾/油谷浩幸】
  • 遺伝子セットを使った解析
  • 創薬への応用
  • 相互作用ネットワークを使った解析
5. 癌におけるエピジェネティック異常【竹島秀幸/牛島俊和】
  • エピジェネティック修飾の性質
  • 癌におけるエピジェネティック異常とその特徴
  • エピジェネティック異常の癌の診断・治療・予防への応用
6. microRNA 発現異常と発癌【長田啓隆/高橋 隆】
  • miRNA の発現亢進異常
  • microRNA の発現低下異常
  • miRNA の成熟プロセス・作用機構の異常
  • miRNA 機能にかかわるSNP と発癌リスク
  • 幹細胞特異的miRNA

第2章 癌抑制機構とその破綻メカニズムの解明

1. DNA 損傷チェックポイント制御因子群による個体発癌防御【中西 真】
  • DNA 損傷認識因子
  • シグナル発信キナーゼ
  • メディエーターキナーゼ
2. テロメア機能異常を介した染色体不安定性【石川冬木】
  • テロメアDNA 構造
  • テロメアDNA の複製
  • テロメアクロマチン
  • シェルタリンの六構成因子はテロメア機能を分業する
3. ストレスシグナルによるアポトーシス制御と癌形成における役割【関根悠介/武田弘資/一條秀憲】
  • アポトーシス誘導の分子機構
  • アポトーシス制御因子と癌とのかかわり
  • ストレス応答性MAP キナーゼによるアポトーシス制御と癌
4. 細胞老化の癌抑制と発癌促進における役割【大谷直子/原 英二】
  • 細胞老化の誘導機構
  • 細胞老化の維持機構
  • 細胞老化による癌抑制
  • 細胞老化の発癌促進作用
5. オートファジーと癌抑制【西村多喜/高村聡人/水島 昇】
  • 癌抑制遺伝子として働くオートファジー制御遺伝子
  • 代謝ストレスに対するアポトーシスとオートファジー
  • オートファジー選択的基質p62 と癌
  • 癌におけるオートファジーの制御
  • 抗癌剤標的としてのオートファジー

第3章 悪性化の分子メカニズム

1. 炎症反応による発癌促進のメカニズム【大島正伸】
  • 炎症シグナルの転写因子NF-κB/Stat3 と発癌
  • 炎症性脂質メディエーターPGE2 と発癌
  • 細菌感染刺激と発癌
2. 上皮間葉転換と癌浸潤転移【佐谷秀行】
  • EMTを誘導する原因
  • EMT関連転写因子
  • カドヘリンのEMTにおける役割
  • TNF-αとCD44
  • EMTの癌転移における意義
  • 細胞外マトリクス制御と癌転移
  • EMTと癌幹細胞
3. 自然免疫と癌治療【瀬谷 司/押海裕之/志馬寛明/松本美佐子】
  • 癌と免疫のコンセンサス
  • 感染と癌の微小環境は炎症の質的相違を反映する
  • PAMPとDAMP の機能的相反性の原因
  • 抗癌アジュバント療法の意義
  • ヒトの特殊性はマウス実験から演繹されない
4. 癌の進展,転移に関与するリンフォイドケモカイン【早坂晴子/宮坂昌之】
  • 癌転移におけるリンフォイドケモカインの役割
  • 癌細胞の接着,遊走とケモカイン
  • 癌細胞増殖・生存への関与
  • 血管新生の亢進
  • 抗腫瘍免疫応答の調節
5. ストレス顆粒によるストレス応答シグナルの制御と癌【武川睦寛】
  • ストレス顆粒の形成機構と構成因子
  • ストレス顆粒構成分子の翻訳後修飾
  • ストレス顆粒の機能
6. がんの“幹細胞らしさ” と治療抵抗性のメカニズム【仲 一仁/平尾 敦】
  • がんの階層性をめぐる議論
  • がん微小環境(がん幹細胞ニッチ)によるがん幹細胞性維持メカニズム
  • 幹細胞性を支える分子基盤の解明と新規治療戦略
7. 大腸がんの浸潤と転移【武藤 誠】
  • TGF- βシグナル伝達阻害と大腸がんの浸潤・転移
  • 大腸がん血行転移の機構
  • 大腸がんのリンパ節転移とケモカイン受容体CXCR3

第Ⅱ部 臨床応用研究編:トランスレーショナルリサーチの最前線

概論 秒進分歩の分子標的治療【矢野聖二】

  • 分子標的治療薬開発の変遷
  • 治療へのトランスレーションと治療からのリバーストランスレーション

第4章 治療へのトランスレーション

1. EML4-ALK を標的とした肺癌の分子診断と分子標的治療【間野博行】
  • EML4-ALK の発見
  • EML4-ALK の臨床応用─新しい分子診断
  • EML4-ALK の臨床応用─新しい分子標的治療
  • ALK 阻害剤耐性変異
2. HGF/c-Met を標的とした分子治療薬開発の現状【上仲俊光/中川学之】
  • c-Met チロシンキナーゼ阻害剤E7050 が示す前臨床薬効プロファイルについて
  • c-Met標的治療薬の胃癌・食道癌に対する臨床開発の現状
  • 肺癌のEGFR 標的治療薬への治療耐性機序に対するc-Met 標的治療薬の重要性
3. PI3K/Akt 生存増殖シグナル伝達経路を標的とした分子標的治療薬開発の現状【藤田直也】
  • PI3K/Akt シグナル伝達機構
  • PI3K/Akt 経路を標的にした分子標的治療薬開発の現状
4. ヘッジホッグシグナル伝達経路【青木裕子】
  • シグナル伝達機構
  • 癌とのかかわり
  • ヘッジホッグ経路阻害剤およびその開発状況
5. がんペプチドワクチン療法の現状と未来【吉田浩二/中村祐輔】
  • がんペプチドワクチン療法のメカニズム
  • ペプチドワクチン療法の実際
  • 評価方法のパラダイムシフト
  • がんペプチドワクチン療法の現状
  • FDA ガイダンス
  • がんペプチドワクチン療法の未来

第5章 治療からのリバーストランスレーション

1. ABL チロシンキナーゼ阻害剤─ CML 予後の劇的な改善と臨床経験が生み出す新薬【木村晋也】
  • c-abl 遺伝子の構造と機能
  • イマチニブの作用機序および臨床効果
  • 第2世代ABLTKIsの開発
  • 第2世代ABL-TKIs でも解決できない問題
2. KIT/PDGFR チロシンキナーゼ阻害薬─固形腫瘍治療の革命とGIST 治療向上に向けて【篠村恭久/新沼 猛/鈴木 拓】
  • イマチニブ
  • スニチニブ
  • その他のKIT/PDGFR阻害薬
  • GISTにおけるKIT/PDGFR阻害薬耐性を克服するための戦略
  • GIST以外の腫瘍に対するKIT/PDGFR阻害薬治療
3. EGFR チロシンキナーゼ阻害薬─肺癌への著効と耐性克服への戦略【矢野聖二】
  • EGFR-TKI を用いた肺癌治療の現状
  • EGFR-TKI に対する耐性とその分子機構
  • ’05年から’09 年までに明らかになった事項
  • HGF とMET 増幅
  • HGF とT790M
  • 耐性克服の戦略と課題
  • クロマチン修飾による耐性
4. HER2 標的治療薬─乳癌治療での臨床効果と耐性克服に向けて【山城大泰/戸井雅和】
  • HER シグナルとtrastuzumab, laptinib
  • trastuzumab の臨床効果
  • lapatinib の臨床効果
  • trastuzumab,lapatinib のクリニカルクエスチョン
  • HER2 の評価と治療効果予測
  • その他の抗HER 療法
  • 抗HER 療法の耐性と分子機構
5. VEGF/VEGFR 標的治療薬─腎細胞癌での治療成績と今後の治療戦略【金山博臣】
  • 腎細胞癌における腫瘍進展のメカニズムと標的分子
  • 進行性腎細胞癌に対するVEGF/VEGFR標的治療薬と治療成績
  • 進行性腎細胞癌に対する治療の現状
  • VEGF/VEGFR標的治療薬の今後の展望

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  • 【本書名】実験医学増刊:秒進分歩する癌研究と分子標的治療〜発癌から浸潤・転移に至るメカニズム解明とトランスレーショナルリサーチの最前線
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