数多くの実験初心者を救ってきたベストセラーがついに改訂!「白衣を着る理由とは?」など,今さら聞けないような基礎知識から,実験の成否を分ける工夫やコツまで,研究生活で必ず役立つ情報が満載!!
A. コンタミ,プライマーのデザイン,アニーリングの温度設定などが原因です.
非特異的な増幅の原因には色々あります.よくある原因を列挙してみましょう.
例えば,GC含量が高かったり長さが短かったりして他の配列にもアニーリングしやすい場合があります.また,プライマーダイマーができている場合もデザインに問題があります.
対処:GC含量は50%を超えないようにデザインするようにします.また,マルチプレックスPCRで複数のDNA配列を複数のプライマーで増幅する場合は,可能な限りプライマーのTm値を一定にします.配列上,デザインが選べない場合は,高温になるまで酵素反応が始まらないホットスタートで対処できる場合もあります.ホットスタート法には,A) ワックス法,B)抗体結合耐熱性酵素を用いる方法,C) 組換えにより高温になってから活性をもつ酵素を用いる方法などがありますが,B),C) が一般的です.また,インキュベーター自体が高温になった状態でチューブをセットするなど,非特異的増幅を最小限にする方法が広く用いられています.
アニーリングの温度が低すぎるために非特異的にプライマーが無関係な配列にアニーリングし非特異的な増幅が起こることがあります.
対処:アニーリング温度を振って検討します.
対処:伸長反応は,1サイクル当たり2分以内にします.サイクル数は,35サイクル以内がよいです.
市販されているさまざまな耐熱性酵素(DNAポリメラーゼ)により差が出ることがあります.
対処:酵素の性質を比較します.可能ならば先行サンプルを入手します.
対処:終濃度1.5 mMを中心に濃度検討を行います.濃度が高いと増幅率は上がりますが,非特異増幅も増えてきます.
PCR産物は低分子ですから,ピペッティングの際に産物が空中を舞って仕込み中のPCR反応液にコンタミする可能性があります.
対処:PCR反応の仕込みと増幅を行う部屋と,産物を解析する部屋は分けます.部屋の間取りを変えましょう.
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「再現性」や「正確さ」ってどういうこと?/実験のスピードアップをはかるには?/試薬調整で生じる誤差を減らすには?/機器を使って安定した データを出すには? …etc
A. 反応を促進(抑制)し,実験を安定に保つ役割があります.
緩衝液には,緩衝能を起こす成分ばかりでなく,塩,キレート剤,界面活性剤,金属などを含んでいることがよくあります.これらの成分は,実験を安定に保つために必要なものです.以下に遺伝子工学実験でよく用いる成分とその役割を示します.
酢酸とその塩(酢酸緩衝液),リン酸1ナトリウムとリン酸2ナトリウム(リン酸緩衝液),トリスと塩酸(トリス緩衝液)他
界面活性剤には,非イオン性界面活性剤とイオン性(陽イオン,両性,陰イオン)界面活性剤があり,さまざまな役割をもっています.
タンパク質と細胞膜の疎水結合の形成を弱める作用により膜系のタンパク質を溶出させることができます.
代表的なものにDNA分解酵素の阻害剤であるEDTAがあります.
ジチオスレイトール(DTT),2-メルカプトエタノール(2-ME)などがあります.タンパク質のS-S結合を還元して切断,タンパク質の変性を促進します.SDS-PAGE(電気泳動)において,高次構造(立体構造)をもったタンパク質の変性に界面活性剤とともに寄与します.
酵素の活性化には金属が必要なことがあります.
制限酵素反応にMn2+,Cu2+,Co2+,Zn2+などの金属イオンが加わるとスター活性が起こることがあります.
酵素タンパク質の制限酵素の保存溶液には最終濃度50%のグリセロールが含まれています.これは,保存中のタンパク質の安定化を図るものです.
ハイブリダイゼーション溶液に加えることがあります.見かけのTm値を下げ,低い温度(42℃)でのハイブリダイゼーションを可能にします.
低濃度の酵素タンパク質溶液にBSAを加えることで,チューブに加えた全タンパク質の濃度を上げて酵素タンパク質のチューブへの吸着を防ぐことができます.他に,ポリビニールピロリドンなどのポリマーを用いることもあります.
タンパク質の変性剤で,RNAの抽出におけるRNA分解酵素(タンパク質)の阻害剤として用いられます.
タンパク質や二本鎖DNAの変性剤です.サンガー法によるDNAシークエンシング実験の電気泳動で一本鎖DNAの状態を保つために用います.
初めて実験を行う場合は,成分の至適濃度を検討する必要があります.しかし,多くの実験は先人のデータが文献に掲載されているため,文献の条件を踏襲することがあります.できるだけ,原著論文を参照し,成分を加えた理由や濃度決定の根拠を確認しましょう.成分の意味を知ることで実験の問題解決や実験系の改良に役立ちます.
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危険な薬品はどう処理する?/“rpm”と“g”の違いとは?/「濃度」と「絶対量」の関係とは?/試薬調整で生じる誤差を減らすには? …etc
A. 白衣には,自分を危険物から守る役割と,実験系を守る役割があります.
普段着で実験している人を見かけることがあります.白衣の袖口をまくっている人もいるし,まくっていない人もいます.白衣の役割は何でしょうか? 白衣には,自分を試薬,病原微生物などの危険から守る役割と,チリや自分の汗などを実験系に入れない役割があります.さらに,現在実験を行っているので,気を使って欲しいという周りの人へのアピールの意味もあります.しかし,白衣が実験の妨げになっては困ります.白衣を着た場合,前ボタンを閉め,袖を伸ばしてできるだけ体を覆い危険物から身を守る必要があります.しかし,必要に応じて,腕まくりをした方がよいときもあります.
酸・アルカリ,劇物などを用いる場合は,袖は伸ばし定石通りに体を覆います.酸やアルカリが体に触れるのを防ぎます.
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研究生活で守るべきルールとは?/研究資金はどうやって集めるの?/実験結果を効果的に発表するコツは?/バイオ実験に英語力はどの程度必要? …etc
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