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デス・バレー

ですばれー

バイオベンチャーの問題点の1つが「ハイリスク,高コスト構造」である.特に創薬型バイオベンチャーの場合,PhaseIやEarly Phase IIといった臨床開発初期段階は通常「デス・バレー」(死の谷)とよばれる.なぜなら,リスクが非常に高く,市場化までの道のりは長く険しいため,米国のVCといえどもなかなか投資してくれないし,米国の大手製薬であっても提携には消極的で,この期間はほとんど提携しない.逆に,EPII終了後の臨床試験の結果いかんによっては,VCからの積極的な投資や大手製薬会社との提携も活発化する.さらに,臨床開発の最終段階までには相当高額の資金が必要だが,米国のVCといえど,1社での高額出資は非常にリスキーであるため厳しいだろう.日本のVCでは金額も少ないため,なおさら無理だろう. 日本では景気低迷の影響もあり,もともとエンジェル自体もその投資規模もまだまだ少数であることに加え,大学でのトランスレーショナルリサーチ(TRR)はまだ始まったばかりであり,本格的に機能するにはまだまだ不十分であり,法的にも課題が残っている.アメリカの場合,このTRRが普及しているため,ベンチャーであっても,比較的すんなりと臨床初期段階へ進むことが可能となっている.日本でもTRRについては予算も増加し,積極的に推進していく予定である.

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

本コンテンツは,2018年まで更新されていた同名コンテンツを元に,新規追加・再編集したものです