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脱共役熱産生

だつきょうえきねつさんせい

熱産生は,主に筋肉の震えによるふるえ熱産生(shivering thermogenesis)と,主にBATで行われている非ふるえ熱産生(non shivering thermogenesis)にわけられる.このBATにおける非ふるえ熱産生はミトコンドリア内膜に存在するUCP1タンパク質の働きにより行われる.UCP1はミトコンドリア内外膜間のプロトン濃度勾配を解消させ,呼吸とATP産生を脱共役することで熱を産生している1).主に寒冷刺激などに伴うアドレナリン刺激により活性化されるが,この活性化にはミトコンドリアに発生するROSによるUCP1タンパク質の253番目のシステイン残基の酸化(スルフェニル化)が必要であること2)や,脱メチル化酵素であるJMJD1Aの265番目のセリン残基(S265)のリン酸化に伴いUcp1などの標的遺伝子が活性化されるといったエピジェネティックな調節機構が最近報告されている.(実験医学増刊352より)

糖尿病 研究の“いま”と治療の“これから”

綿田裕孝/編

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

本コンテンツは,2018年まで更新されていた同名コンテンツを元に,新規追加・再編集したものです