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雑種発育不全

ざっしゅはついくふぜん

1970年代にアメリカのKidwellらによって発見された興味深い現象で,P因子の発見のきっかけともなった.P因子は1950年代に水平伝搬によって他の種からキイロショウジョウバエに広がったと考えられている.古い時代に野外から採集されたキイロショウジョウバエの系統はこのP因子をもたず,その雌と,P因子をもつ系統の雄を交配させると,次世代の生殖細胞でP因子の活発な転移が起こり不妊を引き起こす(P-M系).その逆の組合わせ(P因子をもつ雌とP因子をもたない雄との交配)では,この現象は起こらない.その後,同様の現象がIエレメント(I-R系)などを含む他のトランスポゾンについても報告された.近年のpiRNAの発見によって,長い間謎であったその分子機構がようやく解明された.(実験医学2009年2月号より)

生殖細胞サイクル

転写,small RNAによる制御機構と生殖幹細胞の維持

松居靖久/企画

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

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