T細胞遺伝子の再構成
Tさいぼういでんしのさいこうせい
T細胞は胸腺における発生の過程でT細胞受容体(TCR:T-cell receptor)遺伝子の再構成を起こすことによって1億種類にもおよぶ抗原特異性を獲得する.TCRバリエーションの獲得は,いわゆるゲノム編集によって引き起こされる不可逆的な現象であり,生体内でもリンパ球に限って観察される.具体的にはTCRα鎖とTCRβ鎖をコードするTCRAならびにTCRB遺伝子を構成するために,それぞれのセグメント遺伝子候補群(TCRAではVαとJα遺伝子から,TCRBではVβとDβとJβ遺伝子)からランダムにセグメント遺伝子が選ばれ,1つひとつの胸腺内T細胞につき1〜2種類のTCRα鎖と1種類のTCRβ鎖が産生されるようになる.このTCRα鎖とTCRβ鎖の組合わせとセグメント遺伝子接合部に入った変異によって抗原特異性が決定される.(実験医学増刊332より)
再生医療2015 幹細胞と疾患iPS細胞の研究最前線
飛躍する基礎研究 加速する臨床への挑戦
解説は発行当時の掲載内容に基づくものです
本コンテンツは,2018年まで更新されていた同名コンテンツを元に,新規追加・再編集したものです