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ヒストン修飾

ひすとんしゅうしょく

クロマチン構成タンパク質であるヒストンのN末端領域に認められるアセチル化,メチル化,リン酸化,ユビキチン化などの化学修飾は,染色体の高次構造を変化させ,ダイナミックに転写を制御し,発生,分化,細胞運命の維持において重要な役割を担っている.一般的に,ヒストンアセチル化は転写活性化に働くが,ヒストンメチル化の意義は標的アミノ酸残基の種類とヒストンテイルにおける位置により異なる.これらのヒストン修飾は,ヒストン修飾を付加または除去する酵素群により動的に制御されている.転写活性化に働くヒストンH3のリジン4トリメチル化(H3K4me3)活性を有するトライソラックス群(TrxG)および転写抑制に働くヒストンH3のリジン27トリメチル化(H3K27me3)活性を有するポリコーム群(PcG)は,それぞれヒストン修飾を担う複合体を形成している.ES細胞では,分化制御遺伝子のプロモーター領域に,H3K27me3(転写抑制)とH3K4me3(転写活性化)が共存する“bivalent domain”が形成されており,このバランスにより分化制御遺伝子の発現が制御され,ES 細胞の分化状態が規定されている.(実験医学増刊272より)

癌と微小環境

癌幹細胞,浸潤・転移,血管新生のメカニズムと環境応答を標的とした治療・創薬の新展開

江角浩安,高倉伸幸,宮園浩平,森 正樹/編

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

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