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ネオ抗原と効果予測バイオマーカー

ねおこうげんとこうかよそくばいおまーかー

体細胞変異により生じたがん抗原はアミノ酸配列が変わるおかげで,自己であった配列が非自己になる.そのためウイルスなどと同じように免疫系を強く活性化できるとされている.ネオ抗原を認識して腫瘍細胞を攻撃しているようなT細胞をこの薬剤が活性化していると考えられており,「体細胞変異数が多いと,ネオ抗原も多く,それによってT細胞が強く活性化し,活性化したT細胞が腫瘍局所に浸潤し,T細胞の攻撃から腫瘍細胞が逃れるためにPD-L1という分子を利用している」というバイオマーカーの一連のストーリーにつながる.もちろん例外はあるが,T細胞活性化(「腫瘍浸潤T細胞」)の原因が,ネオ抗原(「体細胞変異数」)で,T細胞活性化の結果が「PD-L1の発現」というわけで,このストーリーと耐性メカニズムは表裏一体のものである.(実験医学増刊3815より)

ゲノム医療時代のがん分子標的薬と診断薬研究

「治療」の選択肢を広げる新しい標的、併用療法、横断的・マルチコンパニオン診断薬、リキッドバイオプシー

西尾和人/編

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

本コンテンツは,2018年まで更新されていた同名コンテンツを元に,新規追加・再編集したものです