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パスツール効果

ぱすつーるこうか

解糖系はグルコースの代謝経路であるが,哺乳類の細胞では酸素が存在しないと解糖系の産物であるピルビン酸は乳酸に変換される.一方,酸素が存在すると,ほとんどの哺乳類細胞では解糖系は阻害され,その結果ピルビン酸はミトコンドリアで代謝され,最終的に水と二酸化炭素に分解される経路が活性化する.この酸素によるグルコース利用の阻害効果は,最初の発見者Louis Pasteur にちなんでパスツール効果とよばれている.がん細胞が低酸素に暴露されたときに解糖系が亢進する現象は,このパスツール効果の逆解釈である.つまり,がん細胞でも酸素がなければ解糖系が亢進する.(実験医学増刊3017より)

活性酸素・ガス状分子による恒常性制御と疾患

酸化ストレス応答と低酸素センシングの最新知見からがん,免疫,代謝・呼吸・循環異常,神経変性との関わりまで

山本雅之/監,赤池孝章,一條秀憲,森 泰生/編

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

本コンテンツは,2018年まで更新されていた同名コンテンツを元に,新規追加・再編集したものです