均等論
きんとうろん
均等論とは,特許請求の範囲に記載された発明と均等な発明は技術的範囲に属するという理論であり,この理論のもとでは,特許請求の範囲の発明と本質部分は同一で微細な部分のみが異なる製品を製造,販売等する行為は,特許権の侵害を構成すると判断される.例えばアミノ酸が数百並んでいる中で,1つだけ違っていた場合,当然特許にクレームとして書かれたものとは同一ではないと考えられる.しかし,アミノ酸1つ置換しただけで機能が変わっていないものは,同じもの,つまり「均等である」と見なす,という考え方である.均等であるかどうかを判断するのは,出願時点ではなく,原告が特許を侵害されたと主張した時点.均等論という特許法の新たな解釈によって,技術大国が特許の利権を拡大し,行使するための制度へ,特許法の役割は大きな質的変貌を遂げた.
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