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強制実施権

きょうせいじっしけん

特許権者から許諾を得る努力を行って,合理的な期間内にその努力が成功しなかった場合,政府または政府に任命された第三者が,特許権者の承諾を得ていない特許対象を使用することが認められている.つまり政府は,製薬企業の承諾を得ていない医薬品を自国の製造業者に製造させることができるのである.それにより,医薬品を自国民に安価で提供することができる.強制実施権を発動した場合は,通常特許権者に適当な額の報酬が支払われる.強制実施権は,違法な模造品の製造を認めることではなく,法の抜け穴でも,知的所有権を盗用するものでもない.これまでは,強制実施権の発動を認めるための規定が明確でなく,また,この権利を行使しようとすると経済制裁などの圧力がかるため,開発途上国が実際に強制実施権を発動することは大変困難だった.しかし最近,各国政府は,制裁を恐れることなく,公衆衛生を守るために強制実施権を行使できることが明確にされた.強制実施権を許可する権利を各国が有すること,強制実施権の許可の基となる事由が緊急事態のみに限定されず,その決定は各国に委ねられることが明示されている.

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

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