自発活動
じはつかつどう
痛みの非臨床研究では,機械的・熱的「侵害刺激」に対する急性の応答「誘発痛」を評価する.一方,ヒトの慢性痛患者の多くは,日常の特に刺激のない生活のなかで腰痛や頭痛や腹痛を感じており,これを「自発痛」という.動物の誘発痛は容易に評価できるが,ホームケージのなかでいつ痛みを感じているか報告してくれないため,自発痛が存在するかどうか知ることができない.そこで,中枢神経系のニューロンが特に刺激なく活動している状態をとらえ,もしそこに差があれば,自発痛に類似した脳の特異的活動が生じているのではないか,と想定することができる.このような自発活動の解析によって慢性痛における自発痛の存在を推定できる可能性がある.(実験医学2020年2月号より)
「痛み」を生み出す脳機構実験医学2020年2月号解説は発行当時の掲載内容に基づくものです
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