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かかりつけ医の強みを生かして,患者さんに合わせた骨粗鬆症の診断・予防・治療を行うための必読書!高齢者の転倒・骨折を予防するための治療薬,食事療法,運動療法を網羅!
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骨粗鬆症の治療の始めかた 〜誰に始めるか・いつ始めるか
骨粗鬆症のリスク因子とその評価【矢可部満隆】
骨粗鬆症の定義・診断基準【今井教雄】
骨密度測定【鷹見洋一】
骨代謝マーカー測定の意義【佐藤友紀】
骨粗鬆症性(脆弱性)骨折の診断・評価【森 諭史】
骨粗鬆症の診断において鑑別すべき疾患【田井宣之】
骨粗鬆症薬物治療の開始基準【金沢一平】
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骨粗鬆症治療薬の選びかた・使いかた
骨粗鬆症診療の現状【中藤真一】
骨粗鬆症薬物療法の第一選択薬の考えかた【沖本信和】
カルシウム製剤【田中健一,岡田洋右,田中良哉】
活性型ビタミンD3製剤【遠藤逸朗】
ビスホスホネート(BP)製剤【井戸田裕貴,井上玲子,井上大輔】
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)【寺内公一】
副甲状腺ホルモン(PTH)製剤【田中伸哉】
RANKL阻害薬【髙士祐一】
ロモソズマブ【髙田潤一】
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骨粗鬆症治療薬の切替の判断 〜患者さんに合わせた治療
薬物療法開始後の経過における注意点と治療評価【山内美香】
治療効果不十分と判断する場合と切り替えのタイミング【蛯名耕介】
副甲状腺ホルモン(PTH)製剤からの切り替え,逐次療法【宮城正行】
ロモソズマブからの切り替え,逐次療法【宮内章光】
RANKL阻害薬(デノスマブ)からの切り替え,逐次療法【小早川知範】
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骨粗鬆症と合併症 〜注意すべきリスクとその管理
カルシウム製剤,活性型ビタミンD3製剤,PTH製剤における高カルシウム血症のリスクとその管理【野津雅和】
ビスホスホネート(BP)製剤における顎骨壊死のリスクとその管理【田口 明】
エストロゲン製剤やSERMにおけるリスクとその管理【倉林 工,森川香子】
RANKL阻害薬を用いた際の有効性,有害事象のリスクとその管理
~ステロイド性骨粗鬆症を含めた骨粗鬆症における栄養・運動・薬物療法とわれわれの取り組み【中村幸男】
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骨粗鬆症に対する薬以外の治療と骨折予防
骨粗鬆症における運動療法の意義と注意点【新井智之】
骨粗鬆症における食事療法の意義と注意点【上西一弘】
転倒と骨折【渡邉 剛】
転倒予防の方法【和田 崇,尾崎まり】
サルコペニアと筋骨連関【小川純人】
骨粗鬆症検診【堀井千彬,吉村典子,田中 栄】
BOOK REVIEW書評・読者の声
書評・読者の声
新型コロナウイルス感染症の流行が始まってから,はや数年がたったが,その間,皆さんの患者さんの中にも,外出を控えたことにより老化現象が進みすっかり足腰が弱ってしまった方が増えたのではないだろうか.
コロナ下で高齢者のフレイル有症率が増加したという調査結果もあるが,フレイルと骨粗鬆症には密接な関連があると言われており,今後,高齢者の骨粗鬆症患者の増加が予想される.
骨粗鬆症によって起こる代表的な骨折である大腿骨近位部骨折や椎体骨折は,骨折後の介護リスクだけでなく死亡率も高めることが知られており,骨粗鬆症の予防および適切な診断と治療が,超高齢社会を迎えたわが国において重要な課題である.
本書では,まず第1章で「骨粗鬆症の治療の始めかた」と題して,骨密度はもちろん,患者さんの年齢や過去の骨折歴,併存疾患の有無や生活環境(運動習慣の有無や栄養状態など)を含め包括的に評価し,骨粗鬆症の治療が必要かどうか診断する方法について解説している.
続けて,骨粗鬆症の治療では,近年新たに使用可能となった薬も含めて非常に多岐にわたる薬剤の中から,患者さん一人ひとりに合った治療薬の選択が必要であるが,第2章〜第4章で,各治療薬の特徴や使い分け,効果不十分な場合の切り替え,合併症が生じた時の対応などについて,かかりつけ医の視点でわかりやすく解説されている.
さらに,予防はもちろん治療においても欠かせない運動療法および栄養療法についても,第5章において,骨密度の維持改善に役立つ実践しやすい運動の例や,必要な栄養素の解説がしっかり示されている.
また,骨粗鬆症の予防や早期発見のための第一歩は,骨粗鬆症検診を受けて自分の骨量を知ることであるが,全国的に検診受診率は低く,国としても「健康日本21(第三次)」目標の一つに『骨粗鬆症検診受診率の向上(目標値15%以上)』を挙げて取り組んでいる.本書でも検診の現状と今後の展望,骨粗鬆症リエゾンサービスなどについても紹介されており,骨粗鬆症診療の現状についても知ることができる.
高齢者の患者さんの中には,通院が難しく訪問診療を利用されている方も多い.地域の医師と看護師,薬剤師,リハビリテーションスタッフなどのメディカルスタッフがチームとして連携をとりながらかかわっていくことで,一人でも骨粗鬆症そして寝たきり患者さんの減少をめざしていくことが期待される.本書はそのために非常に役立つ実践的なガイドブックとなるであろう.私も在宅医として本書より学びたい.
武藤 真祐(医療法人社団 鉄祐会 祐ホームクリニック)
『レジデントノート2024年1月号』より転載