序
この序文の執筆時点では,全国で新型コロナウィルス感染症が猛威をふるっています.新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴い,日本の医療の問題点が次々とあぶりだされてきました.多くの医療機関で専門でなくとも新型コロナウィルス感染症患者に対応しなければならなくなり,「コロナ」を軸にどんな患者さんにも対応することが多くの医療者に求められています.
自分の専門外の患者さんを診療することに抵抗がある先生方が多いかもしれませんが,昔は,大半の医師が何でも診療する医師でした.どんな診療科を専門にしようと,開業すればあるいは地域の病院に赴任すれば地域を守り,何でも診療する医師が一般的でした.しかし,現在は専門診療が主流となり,何にでも対応する医師が少数派になったのではないでしょうか.…
Contents目次
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- 序 目次詳細
- 呼吸器:Non-resolving pneumonia/肺野腫瘤状陰影/間質性肺炎/気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)/アレルギー性肺疾患/睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- 循環器:急性冠症候群/心房細動/心不全1/心不全2/高血圧1/高血圧2/心臓弁膜症/肺高血圧症
- 消化器:ヘリコバクター・ピロリ関連疾患/胃食道逆流症(GERD),機能性ディスペプシア(FD),過敏性腸症候群(IBS)/炎症性腸疾患(IBD)/消化管出血/慢性肝炎,肝硬変/非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/慢性膵炎/胆石症/膵囊胞
- 腎臓:ネフローゼ症候群/急性腎障害(AKI)/慢性腎臓病(CKD)/多発性嚢胞腎(PKD)/腎代替療法/検尿異常
- 神経:ふるえ/パーキンソン病および関連疾患/脳梗塞/くも膜下出血/てんかん/頭痛/特発性正常圧水頭症
- 血液:貧血/汎血球減少症/多発性骨髄腫と類縁疾患/不明熱/リンパ節腫脹
- 代謝・内分泌:糖尿病/副腎不全/原発性アルドステロン症(PA)/甲状腺疾患/骨粗鬆症/脂質異常症/高尿酸血症
- 膠原病:全身性エリテマトーデス(SLE)/血管炎/リウマチ性多発筋痛症(PMR)/関節リウマチ(RA)/体軸性脊椎関節炎/自己炎症性疾患
- 感染症:ワクチン/感染性心内膜炎(IE)/尿路感染症/インフルエンザ/結核/非結核性抗酸菌(NTM)症
- 精神:摂食障害/うつ病/不眠症
- 腫瘍:免疫チェックポイント阻害薬/がん検診/発熱性好中球減少症(FN)/オンコロジック・エマージェンシー/子宮頸がん
- 全科共通:認知症/意思決定支援とアドバンス・ケア・プランニング(ACP)/ポリファーマシー/呼吸困難
- その他:月経前症候群(PMS)/更年期障害/喫煙/アルコール依存症
BOOK REVIEW書評・読者の声
書評・読者の声
40年ほど前の医学生の頃,日本内科学会の「内科専門医」は,内科全般に秀でた特別優秀な方というのが私の認識であった.家庭医も総合診療医もわが国にまだ影も形もなかったその頃は,日本内科学会の「内科専門医」はGeneral志向の若手がめざすひとつの方向であった.しかしながら,時を経て,「内科専門医」は「総合内科専門医」になり現在に至っているものの,かつての「内科専門医」とはだいぶん変わってしまったと感じているのは私だけではあるまい.
本書では,Genespelistという見慣れない言葉が使われている.本書の序文で「Genespelistは,何らかのspecialistであり,自分の専門分野に関して自信をもって診療しながら,同時にgeneral mindをもち,さまざまな診療場面で目の前の患者さんのニーズをできる限り満たす医療を提供できる医師のことを言います」とある.本書を企画編集したのは,かつての「内科専門医」をめざし,現在も米国内科学会(ACP)日本支部などで活躍されている先生方で,specialistにもっと他の分野にも興味をもって診療していただきたいと願っておられる方々である.そういう意味でも非常にchallengingなタイトルと内容となった本書を世に送り出した先生方に拍手を送りたい.
本書は,主に内科の各分野の疾患について専門医からGenespelistをめざす方に対して,知っておくべき知識をわかりやすく各4〜5ページにまとめて書かれている.各項目の著者は,general志向の医師に親和性のあるspecialistが選ばれており,非常に読みやすくなっている.全体を読み終えて,この本はわからないことを調べるためのものではなく,自分の得意でないところも得意なところも含めて全体を読んでいただいて,総合的な知識を深めるのに最適なものであると感じた.
本書の特筆すべきこととして,女性診療の項目,ポリファーマシーの項目,精神疾患の項目など通常の内科書で扱うことの少ない項目を専門の先生方に非常にわかりやすく解説していただいていることがあげられる.そのことを考えると,本書はGenespelistをめざす方のみならず,総合診療,家庭医療専門医をめざす専攻医や指導医の方にも通読していただき,教養を深めていただたいと思う次第である.今後も編者の先生方にはGenespelistをめざす方のみならず,総合診療の専攻医,指導医に向けても有用な情報を提供していただくことを期待している.
雨森正記(医療法人社団弓削メディカルクリニック 滋賀家庭医療学センター)
Appendix補足・追加情報
発行後の追加・訂正情報
領域② 循環器
高血圧1[基本編] 〜初診で高血圧を診たら何をする?
頁 | 場所 | 修正前 | 修正後 | 掲載 |
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61 | 本文左段②血圧と同時にチェックしておきたいポイント7行目 | 甲状腺機能低下症 | 甲状腺機能亢進症 | 21/11/12 |
領域③ 消化器
頁 | 場所 | 修正前 | 修正後 | 掲載 |
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92 | 文献2) | 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会:B型肝炎治療ガイドライン(第3.4版).2021 https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b.html |
転載元は改訂されているため,実際に使用する際には必ず最新版をご参照ください. 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会 編「B型肝炎治療ガイドライン(第4版)」2022年6月 https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b.html |
23/11/02 |
93 | 図 | 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会 編「B型肝炎治療ガイドライン(第3.4版)」2021年5月,P78-80より転載(2021年7月参照) https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b.html |
転載元は改訂されているため,実際に使用する際には必ず最新版をご参照ください. 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会編「B型肝炎治療ガイドライン(第4版)」2022年6月,P98-100(2024年10月参照) https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b.html |
24/10/18 |
領域④ 腎臓
腎代替療法 〜適正な療法選択のために知っておきたいこと
頁 | 場所 | 修正前 | 修正後 | 掲載 |
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127 | 本文右段下から3行目 | ライススタイル | ライフスタイル | 21/11/19 |
領域⑦ 代謝・内分泌
糖尿病〜血糖コントロールを超えた治療とは?
頁 | 場所 | 修正前 | 修正後 | 掲載 |
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184 | 文献9のURL | https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2017_tsutsui_h.pdf | https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/06/JCS2017_tsutsui_h.pdf | 21/11/12 |
191 | 表3 | 生理食塩水負荷試験の方法(フロセミド40 mg静注2時間立位)とフロセミド立位試験の方法(生食2 L 4 時間点滴静注)が逆になっておりました | 生理食塩水負荷試験の方法(生食2 L 4時間点滴静注)フロセミド立位試験の方法(フロセミド40mg静注2時間立位) | 21/12/10 |
領域⑫ 全科共通
呼吸困難〜オピオイド,どう使えばいい?
頁 | 場所 | 修正前 | 修正後 | 掲載 |
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315 | 文献14のURL | https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2017_tsutsui_h.pdf | https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/06/JCS2017_tsutsui_h.pdf | 21/11/12 |
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『逃げない内科診療』出来!③ 編者がまだまだ語る“Genespelist”
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