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「感染症診療のロジック」がわかれば抗菌薬選択に自信がもてる!幅広い診療現場で役立つので,外来医はもちろん,研修医・訪問診療医や,薬剤師・看護師・臨床検査技師などのメディカルスタッフの方々にもおすすめ!
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総論~感染症診療の流れ
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はじめに:抗菌薬使用のルーチンワーク ~誰もが実践できる,適切なアプローチ
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感染症診断のための発熱アプローチ4ステップ
診断:最低限必要なものは?
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原因微生物の推定をしよう ~最低限押さえておくべき微生物の基本知識
初学者が押さえておくべき抗菌薬の各論
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ソース・コントロール評価 ~抗菌薬以外に大切な治療成功要因
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重症度評価と抗菌薬の初期選択の方法 ~起因菌のカバー範囲を決める
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治療効果判定 ~臨床経過は「改善,横ばい,悪化」のうちのどれ?
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市中で感染症を診る~症候/疾患別アプローチ
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肺炎アプローチ ~「発熱+咳嗽+呼吸困難」症例の対応
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尿路感染症(膀胱炎,腎盂腎炎,前立腺炎)アプローチ ~主訴が「発熱のみ」症例の対応
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胆道感染症(胆嚢炎,胆管炎)アプローチ ~患者因子が複雑な症例への対応
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蜂窩織炎アプローチ ~クラスター化が重要な症例への対応
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これだけはダメ! 外来での感染症診療におけるNG行動
ウイルス感染症疑いに抗菌薬を投与する
フォーカス不明型に精査をせずに抗菌薬を投与する
不明熱型に精査をせずに抗菌薬を投与する
BOOK REVIEW書評・読者の声
書評・読者の声
実臨床で悩ましい状況をふまえてあってわかりやすかったです。
匿名
抗菌薬について書かれる医学書籍の書評を臨床検査技師である私が書くのは珍しいと思われるが,抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team:AST)の一員として感じた本書の素晴らしさについて紹介したい.
著者の三村一行先生とは関東労災病院時代に感染症チームとして共に働いたことがある.当時,感染症チームを率いていた岡 秀昭先生(現:埼玉医科大学総合医療センター 総合診療内科/感染症科・感染制御科 教授)が研修医教育に非常に熱心だった.落ち着いた語り口ながら研修医を惹きつけるレクチャーがとても素晴らしかった.三村先生もとても研修医教育に熱心であった.研修医に寄り添いながら,どのように説明したら理解しやすいのかということを大切に考えていたように思う.困ったときの駆け込み寺としての立ち位置で,うまいこと感染症チームの棲み分けができていたように思う.その三村先生が執筆した本が出版された.
読む前からどのような内容なのか想像できた.と,思っていたが読んだ今はその想像を改めたい.想像を大きく超えたわかりやすさだった.
1つ目として,とてもシンプルである.ちなみに本書は抗菌薬の解説書ではない.抗菌薬の「選び方」と「使い方」の本である.難解な専門用語が連なる抗菌薬の解説は他の専門書に任せて,シンプルに選び方と使い方の基本的思考に浸ってほしい.
2つ目に覚えやすさに配慮している.感染症カンファレンスで何度となく繰り返されたやりとりが,「STAST」や「クラスター化」,微生物もPEK(Proteus,E. coli,Klebsiella)やSEC(Serratia, Enterobacter, Citrobacter)などキャッチーなフレーズに置き換えられている.
3つ目として(ここが一番重要である),抗菌薬の選択はその前段階の思考プロセスが重要であるが,このプロセスの説明がとてもわかりやすいのである.診断,微生物,ソースコントロール,重症度評価,治療効果判定など感染症科に相談した場合に必ず出てくる話題であり,ベテランと若手医師の問答という形も取り入れてとっつきやすい構成となっている.感染症診断のプロによる思考プロセスの基本を垣間見ることで,本書でいう「裏技的思考」という短絡的な抗菌薬選択方法(「〇〇感染には××マイシン」)からの脱却の光が見えてくるはずである.
本書の冒頭部分でも触れているが,非専門家の医師やメディカルスタッフに対して伝える場合に大切なことが本書の骨格となっており,医師だけではなく抗菌薬適正使用支援やDS(診断支援)活動を行うスタッフにとって必読の書になるであろう.
佐々木 雅一(東邦大学医療センター大森病院 臨床検査部 技師長補佐)
レジデントノート 2024年8月号 に掲載
看護師の立場でも、抗菌薬の選択という一般的には難しい内容が、トーク形式でとてもわかりやすかった。医師だけでなく看護師やメディカルスタッフ全体で抗菌薬を考えられるような1冊だと思います。
三澤 拓巳(医療法人啓和会 野末整形外科歯科内科 訪問診療 特定看護師)